⑥激震走る

こんにちは。凪です。

前回までの流れです↓

彼と飲みに行く約束を胸に日々過ごしてきた私に、それは突然やってきました。

Ｈさんがうちのフロアにやって来て、男性社員さんと雑談をして帰って行ったあと、その社員さんたちがコソコソと話をしているのです。

「そういえばさ、凪さんはこの事知ってるの？」

私の名前が出てきたので、思わず反応しました。

「何がですか？」

と聞くと、

「Ｈさん、退職するんですよ」

それは予想もしない言葉でした。

瞬間、
その言葉が理解できませんでした。

「Ｈさんが退職する」

わずか数秒の間に何度も何度も頭の中で反芻しました。

信じられなくて、信じたくなくて、喉の奥がぎゅっと詰まり、苦しくて本当に言葉が出てきませんでした。

でも、あまりショックな顔をしたら怪しまれるので、

「そうなんですか」
と、やっとの思いで言いました。

「いつ退職されるんですか？」
「来月末ですけど、有休消化で明日で最後らしいです」

えっ。

待って。
明日？？

瞬間、再び頭がパニックになりました。

明日でいなくなるの？
約束は果たされないの？
二度と会えないの？

退職だけでも十分ショックなのに、さらに追い討ちをかけられて私の心は限界でした。

情けないことですが、どうしてもこのショックを一人で抱えることが出来ず、私は携帯電話手にフロアを出てフラフラと下へ降りました。

そして人目の付かないところで、友だちに電話をしました。

その友だちは、Ｈさんとの事を全部話していて、いつも相談に乗ってくれて、私が一番心を許している大好きな友だち。

今、どうしても彼女に話を聞いて欲しくて電話をすると、ラッキーな事にすぐ出てくれました。

「ごめん、急に」
「どうしたの？」
「Ｈさん、退職するって」
「え！！！」
「私、もうダメだ。どうしよう」

声も震えて、気を許したら泣きそうで。

パニックで完全にマイナスにしか考えられなくなっていた私に彼女は言いました。

「凪さん、ここからだよ。絶対に何としても繋がるんだよ。ここで終わりにしちゃダメだよ」

この友だちの力強い言葉に、ハッとして正気を取り戻しました。

そうだ、ここで終わらせない。

この3年間の想い伝えなくていいの？

何よりＨさんのこと好きでしょう？

ここで諦めたくない。

「凪さん、Ｈさんと連絡先交換しなよ」
「うん！そうする！」

彼女のおかげで奮い立ち、フロアに戻った私はさっそくＨさんに社内チャットで連絡しました。

最終日は明日だから、すごく焦りました。
早く連絡しないと、メッセージ見てくれないかもしれない。

『退職すると聞きました。明日最終日とのことで連絡しました。これからも仕事のことで相談に乗ってほしいから、連絡先交換したいです』という内容を急いで打って、ドキドキしながら送信すると、

しばらくしてＨさんから返信が！

「明日が最終日じゃないですよ」　

え。そうなの？

と、拍子抜けした後、ドッと安心感が押し寄せました。

ああああー！！
よかったーーー！！！

不定期だけど、来月半ば位までいるとのこと。
心底ほっとしました。

その後、LINEのIDと携帯番号が送られてきて、無事にLINE交換完了。

なぜ携帯番号？？
ちょっとえろさを感じた私です 笑。
だって、LINE電話あるのに、わざわざ携帯番号いりますか？？

今思うと、これから起こることの伏線でした。

さて、このLINE交換から関係が一気に進んでいくことになります。

いよいよ話も佳境に入ります。

どうぞよろしくお願いします。

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