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④コロナの馬鹿野郎、そして「約束」

こんにちは。凪です。

前回までの流れです↓

彼、Hさんが私の誕生日お祝いを企画してくれると言ってくれたものの、そこから具体的な話が全く進みません。

そりゃそうだ。
個人の連絡先交換してなかったし。

何より、約束したのがちょうどコロナの感染者が増えて、緊急事態宣言が出るどうかの時期。

『外食や外出控えた方がいいよね』という風潮でした。
コロナがほんとに忌々しかった。

さらに、話し掛けるのも難しい状況でした。

同じフロアで仕事はしているけど、業務では全く絡みがないので、会話をすることがないのです。 

逆に仲良く話してたら不自然なくらい。

『コロナが増えつつある』
『気軽に話せない』

2つの要素が重なり、私の焦りや不安は募る一方でした。

「誕生日祝いを企画します」と話してから、翌月。
突然のギフトがやって来ました。

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Hさんがトイレに行ったのを見て、私も向かいました。
偶然を装って話したかったから。
待ち伏せとか作為的にならないと、ほんとに全然話せなかったのです。
どうか引かないで下さい 笑。

トイレはフロアの一番奥、ドアの向こう側にありました。
ドアを開けるとコンパクトな給湯室になっていて、左右に男子トイレと女子トイレに分かれていました。

その空間はちょっと密室っぼくなっていたのです。
男子トイレと女子トイレが向かい合っていて、距離感も近くて。

Hさんがドアから出てきたのを見計らって、私もドアから出ました。

「あ、お疲れ様です」
「お疲れ様」

ちょっとおどけた様に微笑んだHさん。
何か言いたそうな雰囲気。

「誕生日過ぎちゃいましたね」

この日は2月最終日。
今月誕生日だったことちゃんと覚えててくれた!!

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些細なことかもしれないけど、私はものすごく嬉しかったのです。

「そうですよ。今月で2月終わっちゃいますよー。早く飲みに連れて行って下さいよー!」

と、ちょっと甘えて言ったら、

「これは約束ですか?」


えっ!??

約束??

約束していいの??

わずか0.1秒の焦りの後、

「はい。約束です」
と、答えました。

さらに追い討ちで

「私、社交辞令嫌いなんで」と言ったら、

「分かりました」と微笑むHさん。

彼の口から出た「約束」と言う言葉。
2人だけの秘密の約束。

この約束がどれだけ私を支えたか。 
きっと彼は知らないでしょう。

2月最終日にこんなにも素晴らしいギフトをもらえて、嬉しくてどうにかなりそうでした。

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