買い物袋
仕事が終わり外に出ると、日はすっかり落ちていて、冷たい風が私の頬をさした。
私は風を避けるように、顔を少し俯きながら、急いで駅へと向かう。
ふと、顔を上げると
前から歩いてくる2人組の女の子が、こちらに向かって歩いてきた。
大きな大きな買い物袋を、2つもさげているのに
彼女たちの足取り軽く、何だかとっても楽しそうにおしゃべりしている。
…何を買ったのかな?
うん!
あれはとってもいいモノ!だな!
2人の笑顔を見ただけで、何も買っていないのに、私までとってもいいモノを手に入れた気がした。
何だか嬉しくなってきて、駅に向かう私の足取りも軽くなる。
小さな小さな幸せをおすそ分けしてもらった、ある冬の夜の出来事。