大藪大麻裁判 弁護人冒頭意見陳述


令和3年(わ)第296号大麻取締法違反事件
被告人 大藪龍二郎

法律上の意見(冒頭意見陳述書)

以下に述べる理由により、本件において被告人を有罪にする合理的根拠はなく、本件は実質的ないし可罰的違法性がない事案であると同時に本件を有罪にすること自体憲法第13条(幸福追求権の保障)・31条(適正手続きの保障)に各違反するもの(適用違憲)である。 
令和3年10月26日

前橋地方裁判所刑事第1部 御中

弁護人 丸 井 英 弘



第1. 大麻草は精神的にも物質的にも日本人のシンボルともいえる植物であり、大麻取締法の制定過程に根本的な問題点があること。
1。大麻取締法は、日本人にとって、大自然のシンボルであり罪・穢れを祓うものとされてきた大麻草を、聖なるものから犯罪にしたものであって、まさに日本人の精神を根底から否定するものである。それは例えば日本人に英語のみを話すことを強要するのと同様な日本文化の否定であり、さらに大麻草の持つ産業用や医療用の有効利用を妨げているものである。
大麻草つまり大麻とは、縄文時代の古来より衣料用・食料用・紙用・住居用・燃料用・医療用・祭事用・神事用に使われ、日本人に親しまれてきた麻のことであり、第二次大戦前はその栽培が国家によって奨励されてきた重要な植物である。このように大麻草は精神的にも物質的にも、日本人のシンボルともいえる植物であり、桜が日本の国花とするならば、大麻草つまり大麻は日本の国草である。
 第2次大戦前の日本人の生活、特に明治以前の生活では、生まれる時のへその緒は麻糸で切り、赤ちゃんの時は麻のように丈夫にすくすく育つようにとの親の願いから麻の葉模様の産着で育てられ、結婚式では夫婦が末永く仲良く幸せであることを願って夫婦の髪を麻糸で結ぶ儀式をしていたのである。そして、葬式で着る衣は麻衣であった。日常生活では、麻の鼻緒で作った下駄を履き、麻布でできた着物(なお、下着は褌であり江戸時代以前は麻布が使われ、成人式の記念に親から褌祝いとして麻褌が与えられたようである)を身に付け、麻の茎の入った壁や天井に囲まれた家に住み、麻糸で作った畳の上で過ごし、夏は麻糸で作った蚊帳で休んでいたのである。また、麻の油は食用や灯油として活用された。また、麻糸は漁業用の網としても多く使われたが、凧糸や弓の弦としても使われたのである。麻の茎も炭にして、花火の原料としても使われた。
 このように、大麻草つまり大麻は、伝統的な日本人の生活にとって必要不可欠な植物であったのである。そして、伊勢神宮のお札のことを神宮大麻というが、大麻は天照大御神――つまり太陽――の御印とされている。そして、日本の国旗の日の丸は太陽のことであるから大麻草は日の丸つまり日本の象徴ともいえるのである。なお、大麻は神道においては、罪穢れを祓うものとされており、大和魂ともいわれている。
 ところが、第二次大戦後の米国による対日占領政策で、大麻草の栽培が一方的に規制された。占領政策の目的は、日本古来の文化を否定し、アメリカに従属する産業社会を作ることにあったと思われる。
 日本人にとって罪・穢れを祓うものとされてきた大麻草つまり大麻を犯罪として規制することは、大麻草つまり大麻に対する従来の価値観の完全なる否定である。また大麻草つまり大麻は、自給自足型・環境保全型の社会にとって極めて有用な素材であり、これを規制し石油系の資材に頼る産業構造にすることは、米国に経済的にも従属する産業構造への転換を意味していたと思う。
 日本は、明治維新によって近代化の道を歩んだが、特に第二次世界大戦後は、戦後生活の建て直しということもあり、物中心の競争原理に立った経済活動を優先してきた。また、生活習慣も、例えば、食生活が米からパンに変わり、畳の生活も椅子の生活に、薬の分野でもいわゆる化学的合成薬が取り入れられ、従来の東洋医学は軽視されてきたのである。大麻草は薬用としても何千年も使用され、日本薬局方にも当初から有用な薬として登載されていたにもかかわらず、大麻取締法の施行に伴って薬局方から除外されてしまった。
 日本人の伝統の中には、自然を聖なるものとして大切にしてきたものがあった。しかし経済復興の名のもとに、例えば原子力開発や大規模ダムの建設等、自然生態系とそこに住む人々の生活を破壊する経済開発が国策として進められてきたために、川や海、そして大気は汚染されてしまったのである。大麻取締法は、日本人にとって、大自然のシンボルであり罪・穢れを祓うものとされてきた国草ともいえる大麻草を、聖なるものから犯罪にし、さらに大麻草の持つ産業用や医療用の有効利用を妨げているのである。
2。私は1974年から弁護士を開業しましたが、翌1975年に初めて大麻取締法違反事件を担当して以降46年が経過しました。46年間にわたり多くの大麻取締法違反事件を担当しましたが、私の実感としては、憲法上人権を守るべき司法当局が普通の市民生活を送っている善良な市民を何らの被害が無いのに逮捕するという逮捕権の濫用を繰り返して来たと言えると思います。
前述したように、大麻取締法の制定の出発点は1945年の米軍による日本占領に始まります。しかしながら、大麻草は日本人の衣・食・住・医療・祭祀などを支えてきた縄文時代からの大切な植物です。米軍は戦後の日本を石油製品の市場とすることなどを目的として大麻草の規制を始めたのです。
この大麻草の規制は縄文時代の古来から日本人の生活の基本を支えてきた大麻草の活用を刑事罰で禁止するものですから、大麻取締法はそもそも立法目的や保護法益が不明確なものです。そして、大麻取締法は、日本人の人権を守ることを目的とするポツダム宣言及び日本国憲法13条の国民の幸福追求権の保障や適正手続きを保障した同法31条、さらには大麻草の栽培を不自由にするものですから同法22条1項の職業選択の自由に各違反するものです。
大麻草は、平和で持続可能な環境循環・衣食住エネルギー自給型の社会を構築するための基本的な素材であり、日本社会の立て直しに向けて今こそその有効活用が必要な植物です。大麻草の有用性を事項で紹介します。
弁護士法で規定する弁護士の基本的使命は人権の保障と社会正義の実現であり、大麻取締法を廃止して大麻草の有効活用を推進する法体制を作ることが、人権の保障と社会正義の実現を使命とする私の弁護士としての使命であると思います。
以上の私の見解を裏付ける以下の私の論文、大麻取締法の運用の改善と改正を求める請願、アンドリューワイル証言、厚生省麻薬課長証言速記録を紹介します。
私の管理しているホームページ「麻と人類文化」http://www.asahi-net.or.jp/~is2h-mri/ からの引用です。
1.「マリファナ解禁と大麻取締法」
法学セミナー(日本評論社)1980年7月号より
http://www.asahi-net.or.jp/~is2h-mri/seminar_1.html
2.「薬物使用と非犯罪化」
法学セミナー(日本評論社)1980年12月号より
http://www.asahi-net.or.jp/~is2h-mri/seinar_2.html
3.「大麻取締法の運用と改正を求める請願」
http://www.asahi-net.or.jp/~is2h-mri/seigan/maruiseigan.html
4.『アンドリュー・ワイル博士の証言録』
https://www.asahi-net.or.jp/~is2h-mri/andrew.html
5. 『厚生省麻薬課長証言速記録』
https://www.asahi-net.or.jp/~is2h-mri/kachou.html

3。大麻草の有用性
 大麻草は、有害どころか、次に述べるように、人類に対し精神的にも肉体的にも有用である。
 このような有用な大麻草は、規制するどころか第二次大戦前の日本の様に、その栽培を奨励することが必要ではないかと思われる。それが農林業や観光業その他の産業の活性化と熱帯林の伐採の禁止や空気の浄化さらには温暖化対策(大麻草には、木と同等以上の炭酸同化作用がありうる。)にもつながる可能性があるのではないかと思われる。大麻草は環境循環型の持続可能な社会を作るための重要な素材である。
1)人類がこの地球で生きていくために必要な燃料を生産できる。大麻草の茎や葉を発酵させるとエタノールやメタンガスなどの燃料が生成されるが、それは石油や原子力に替わるエネルギー源になりうる。
2)環境上安全な紙や建築材料が生産でき、森林を守ることができ地球温暖化対策にも有効である。
 大麻草の茎に含まれるセルロースを原料として有機塩素による漂白を必要しない紙が作れる。なお、今から1200年程前の西暦770年頃に中国で作られた仏典は麻から出来ているし、 アメリカなどでは国旗や紙幣が麻の茎から作られた。
 大麻草の生育期間は木に比べて非常に早く半年程度であるので、大麻草から紙や建築材料を生産すれば永続可能な状態で原料の供給ができ、森林伐採をする必要がなくなり、地球の緑を守ることが可能である。その結果、地球温暖化対策にも有効である。
3)環境上安全な生分解性のプラスチックが生産できる。大麻草の茎に含まれているセルロースを原料として自然に土に分解するプラスチックが生産できる。石油からできるプラスチックの場合には、土に分解せずまた燃焼するとダイオキシンなどが含まれている有毒ガスを発生する可能性があるので、現在深刻な環境問題になっているが、この問題を解決できる。
4)麻の種は、栄養食品として極めて価値が高い。
 現代食は、脂肪の量の増加、脂肪の質の低下、必須脂肪酸のバランスの崩れ、植物繊維の不足などにより、生活習慣病(便秘、肥満、高血圧、高脂血、糖尿、ガンなど)の原因になっている。
しかし、麻の実はこの様な食生活を改善し人間の持つ免疫力を高めることができる。麻の実にはコロナウイルスに対する抗体が含まれておりコロナワクチンにもなりうるものであるので、コロナ禍対策としても極めて重要な役割を持っていると思われる。
A 良質なタンパク質で必須アミノ酸をすべて含む。
 人体が必要とする9つの必須アミノ酸を十分に理想的な割合で含んでおり、大豆よりよい栄養価をもっているといわれている。
B 植物油で最も必須脂肪酸が多い麻実油(おのみゆ)
人体にとって極めて大切な必須脂肪酸はリノール酸とαーリノール酸であるが、これらは体内で合成することが不可能なので食事から採らなければならない。麻の実の重量の30%から35%は、麻実油(おのみゆ)と呼ばれる脂肪油である。麻実油は、植物油の中で必須脂肪酸の割合が80%と最も高く、しかもそのリノール酸とαーリノール酸のバランスが3対1と理想的な割合で含んでいる。
C 食物繊維が豊富。
 麻の実は、古くから血糖降下作用、潤腸通便作用が高い漢方薬として使われてきました。麻の実には、食物繊維が約23%含まれている。
 食物繊維は、「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性の炭水化物」と定義され、老化抑制や、ガンの予防にも効果があるとされている。そのため、5大栄養素である糖質(炭水化物)、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルに加えて、食物繊維を第6の栄養素という。一日最低17gの摂取が必要とされ、最近問題になっている生活習慣病の予防のためには一日30g以上が必要といわれている。
 食物繊維の働きは、次のとおりです、
 1, カロリーの取り過ぎを防ぎ、コレステロールなどの余分な吸収を防ぐ。
 2, 血糖のコントロールを助ける。
 3,よい腸内細菌が住みやすい環境を作る。
 4,通便を助ける。
D ミネラルとビタミンがバランスよく含まれている。
 麻の実のミネラル分には、骨や歯の形成と成長に欠かせない「マグネシウム」、「リン」、「カルシウム」、が多く含まれている。また、血液中のヘモグロビンの構成成分であり、酸素の運搬に重要な「鉄」やヘモフロビンの合成や骨や血管壁を強化する「銅」も多く含まれている。そのため、麻の実は、貧血の90%の原因になっている鉄欠乏に非常に有効であるといわれている。さらに味覚異常や生殖能力に関係が深い「亜鉛」も含まれている。
 ビタミンとは、動物の生理機能を調整する働きともつ微量の有機化合物の総称で、体内で合成することができず栄養素として食物から摂取しなければならないものです。ビタミンは、体内の生理作用を調整する潤滑油としての役割だけで無く、生活習慣病や老化の予防、細胞のガン化抑制物質として高い評価をされている。麻の実には、活性酸素から体を守って老化を防ぎ、また血栓の予防や治療に効果があり、さらに最近の研究ではアルツハイマー病で脳細胞が死滅していくのを抑制する効果があることがわかってきた「ビタミンE」、赤血球や細胞の新生に不可欠な「葉酸」が多く含まれています。
 種子(麻の実)の100グラムあたりの食品成分表を参考までに紹介します。

     出所「四訂 食品成分表」女子栄養大学出版部
エネルギー  469kcal     マグネシウム 640mg
水分    5.9g            鉄    13.1mg
タンパク質 29.5g           銅   390マイクロg
脂質     27.9g           亜鉛   6000マイクロg
糖質     9.2g      ビタミンA効力    11 IU
繊維    22.1g     ビタミンAカロチン   20マイクロg
灰分     5.4g      ビタミンB1     0.35mg
カルシウム 130mg      ビタミンB2    0.19mg
リン     1100mg     ナイアシン  2.3mg
ナトリウム  2mg

5。医薬品として利用できる。
大麻取締法では禁止しているが、大麻草の葉や花穂は副作用が大変少ない喘息や痛み止め・不眠症などの医薬品として過去何千年も中 国、インド、アラブ、アフリカ地方さらには日本で使われてきた。
 1895年(明治二八年)12月17日の毎日新聞には次のような広告が載った程である。
「 ぜんそくたばこ印度大麻煙草」として「本剤はぜんそくを発したる時軽症は1本、重症 は2本を常の巻煙草の如く吸う時は即時に全治し毫も身体に害なく抑も喘息を医するの 療法に就いて此煙剤の特効且つ適切は既に欧亜医学士諸大家の確論なり。」(小林司著『心に働く薬たち』192頁、発行株式会社筑摩書房)
 なお、「印度大麻草」および「印度大麻草エキス」は、1886年に公布された日本薬局方に「鎮痛、鎮静もしくは催眠剤」として収載され、さらに、1906年の第3改正で「印度大麻草チンキ」が追加収載された。これらは、1951年の第5改正日本薬局方まで収載されていたが、第6改正日本薬局方において削除された。また、種に含まれているオイルには健康に有用なものが含まれておりさらに皮膚に対する浸透力もいいので、マッサージオイルとしても大変有用である。

第2.本件には実質的ないし加罰的違法性がない。
1。第二次世界大戦後日本を占領し大麻取締法の制定を指示命令した米国で、以下に述べるように既に連邦レベルで大麻草規制の解禁の動きが始まっていることからしても、本件において被告人を有罪にする合理的根拠はなく、本件は可罰的違法性ないし実質的違法性がないものである。
なお、米国では既に1973年には大麻草の無害性について
「大麻と薬物の乱用に関する全米委員会報告」が出されている。
ニクソン大統領は、1971年に前年に議会を通過した薬物規制法に基づき前ペンシルベニア州知事のロイヤルド シェイファを委員長とする「大麻と薬物の乱用に関する委員会」を設置した。この委員会は、保守派といわれる13人の委員によって、構成されており、1年に及ぶ調査の後、1972年3月に『マリファナ:誤解の兆し』と題するレポートを発表し、更に1973年には、最初のレポートと結論を同じくする最終報告を提出した。この報告の結論であるが、生田典久氏が、ジュリストのNo.654の42~43頁で、次のように簡潔にまとめられている。
A 大麻には、耽溺性がない。
B 大麻使用と犯罪またはその他の反社会的行動との関連性はない。
C 大麻使用は、ヘロインなど危険な薬物への足掛かりにもならない。
長期間の大麻常用者には、ある程度の耐性が生じることがあり得るが、その程度は、煙草以上のものではない。
D 大麻の使用者も大麻自体も公衆の安全に対して、危険な存在を成しているとはいえない。

1)コロナ禍でも急成長する「アメリカの大麻産業」
新型コロナウイルスの世界最大の感染国となった米国ではロックダウンや外出制限などで多くの産業が深刻な打撃を受けている。そんななか、飛躍的な成長を続ける産業がある。かつては非合法薬物として禁止されていた大麻である。
大麻はいま、「有害性(危険性)よりも有用性の方が大きい」と広く認識されて世界中で解禁が進んでいる。病気の治療などに使用する医療用大麻は47カ国で、一般成人が娯楽目的で使用する嗜好用大麻はウルガイとカナダ2カ国で既に合法化されている。
米国内でも2021年9月現在、36州で医療用が18州で嗜好用が合法化され、大麻関連ビジネスが活況を呈している。その勢いから「グリーンラッシュ」と呼ばれるほどだ。
米国ではコロナ禍で大麻産業は必要不可欠な「エッセンシャルな業種」と見なされた。これは大麻が人々の生活の中に深く入り込んでいることを示す象徴的な出来事となった。(2021/09/29 11:00付け https://share.smartnews.com/DBVAHの情報の要約)
2)2020年12月4日、米国連邦議会下院が大麻を禁止した連邦法を改正し、大麻の生産・流通・所持などに対する刑事罰を廃止する「マリファナ機会・再投資・抹消法(MORE法)」の法案を可決した。これには過去の大麻犯罪記録の抹消、大麻の取締りで打撃を受けた地域社会への再投資、合法的に生産・販売される大麻製品への課税などの条項が含まれるが、大麻を連邦法で合法化する法案が下院で可決されたのは米国史上初めてである。
米国連邦議会下院での可決を受けて、米国連邦議会上院民主党は2021年7月14日、MORE法とほぼ同じ内容の法案(CAOA)の討議草案を提案した。
そんななか、合法化の賛成派に「強力な援軍」が現れた。インターネット通販最大手のアマゾンが、「MORE法を積極的に支持する」と表明したのである。アマゾンは大麻に比較的ゆるやかなスタンスを取っており、従業員や応募者の大麻使用の有無を調べる薬物検査も実施していない。大麻の連邦合法化を求める活動をしている団体「マリファナ規制法の改正を求める全米組織(NORML)」などはアマゾンの支持表明を大いに歓迎し、同社が上院での法案可決のためのロビー活動をしてくれることを期待していると述べた。するとアマゾンは2021年9月21日、自社サイトで、法案可決に向けて議会へのロビー活動を開始したことを明らかにした。豊富な資金力と多大な影響力を駆使した同社のワシントンでのロビー活動には定評があり、これは法案賛成派にとって大きな助けになるだろう。多くの米国人に身近な存在のアマゾンがそうしたことで、大麻に対する否定的なイメージが改善される可能性がある。
大麻産業の市場調査や分析を行っている「BDSA」は、米国の大麻の年間売上高は2026年までに410億ドル(約4兆5100億円)に達すると予測している。2020年の売上高の約2.3倍である。
上院民主党トップのチャック・シューマー院内総務らは現在、連邦合法化に否定的な共和党議員との話し合いや説得を積極的に行っている。この法案が上院で可決されれば、大麻に寛容なバイデン大統領によって署名される可能性は高い。そうなれば、米国の合法大麻市場はこれまで以上の水準で成長を続けるだろう。
(2021/09/29 11:00付け https://share.smartnews.com/DBVAHの情報の要約)

2。最高裁判所「最高裁昭和60年(あ)第445号昭和60年9月10日第1小法定決定・裁判集(刑事)240号275頁、最高裁昭和60年(あ)第735号昭和60年9月27日第1小法定決定」は、大麻草の有害性を認定しているが、その具体的内容は、自動車運転に対する影響のみである。そして、自動車運転における酒やその他の薬物の規制はすでに道路交通法66条(過労運転等の禁止)で、「何人も、前条第1項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。」と規定し、その違反者に対しては、道路交通法第117条の2で「五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」とされているので、それ以上に大麻草を規制する具体的理由は存在しないものである。
 本件は「過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。」ことは全くしていないので、実質的ないし可罰的違法性がないものである。

3。大麻草に対する規制は、酒や煙草に対する規制(以下に引用する未成年者飲酒禁止法・酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止に関する法律や未成年者喫煙禁止法)と同様で十分である。
本件は酒や煙草に対する規制(未成年者飲酒禁止法・酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止に関する法律や未成年者喫煙禁止法)に違反することは全くしていないことからして、実質的ないし可罰的違法性がないものである。
① 未成年者飲酒禁止法(大正十一年三月三十日法律第二十号)最終改正:平成一三年一二月一二日法律第一五二号
第一条  満二十年ニ至ラサル者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス
2 未成年者ニ対シテ親権ヲ行フ者若ハ親権者ニ代リテ之ヲ監督スル者未成年者ノ飲酒ヲ知リタルトキハ之ヲ制止スヘシ
3 営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ満二十年ニ至ラサル者ノ飲用ニ供スルコトヲ知リテ酒類ヲ販売又ハ供与スルコトヲ得ス
4 営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ満二十年ニ至ラザル者ノ飲酒ノ防止ニ資スル為年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス
第二条  満二十年ニ至ラサル者カ其ノ飲用ニ供スル目的ヲ以テ所有又ハ所持スル酒類及其ノ器具ハ行政ノ処分ヲ以テ之ヲ没収シ又ハ廃棄其ノ他ノ必要ナル処置ヲ為サシムルコトヲ得
第三条  第一条第三項ノ規定ニ違反シタル者ハ五十万円以下ノ罰金ニ処ス
2  第一条第二項ノ規定ニ違反シタル者ハ科料ニ処ス
第四条  法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ前条第一項ノ違反行為ヲ為シタルトキハ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ対シ同項ノ刑ヲ科ス
② 未成年者喫煙禁止法(明治三十三年三月七日法律第三十三号)最終改正:平成一三年一二月一二日法律第一五二号
第一条  満二十年ニ至ラサル者ハ煙草ヲ喫スルコトヲ得ス
第二条  前条ニ違反シタル者アルトキハ行政ノ処分ヲ以テ喫煙ノ為ニ所持スル煙草及器具ヲ没収ス
第三条  未成年者ニ対シテ親権ヲ行フ者情ヲ知リテ其ノ喫煙ヲ制止セサルトキハ科料ニ処ス
2 親権ヲ行フ者ニ代リテ未成年者ヲ監督スル者亦前項ニ依リテ処断ス
第四条  煙草又ハ器具ヲ販売スル者ハ満二十年ニ至ラザル者ノ喫煙ノ防止ニ資スル為年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス
第五条  満二十年ニ至ラサル者ニ其ノ自用ニ供スルモノナルコトヲ知リテ煙草又ハ器具ヲ販売シタル者ハ五十万円以下ノ罰金ニ処ス
第六条  法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ前条ノ違反行為ヲ為シタルトキハ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ対シ同条ノ刑ヲ科ス    
③ 酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止に関する法律第4条(罰則等)1項 では、 「酩酊者が、公共の場所又は乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をしたときは、拘留又は科料に処する。」とし、2項では、「 前項の罪を犯した者に対しては、情状により、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる。 」と規定している。そして、拘留又は科料の内容としては、刑法第16条・17条で次のように規定している。
 (拘留) 第16条  拘留は、一日以上三十日未満とし、拘留場に拘置する。
 (科料) 第17条  科料は、千円以上一万円未満とする

4。本件は軽犯罪法違反にもならない事案であるので、このような観点からしても本件は実質的ないし可罰的違法性がないものである。
 軽犯罪法1条2項では「正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」は罰金もしくは過料になるのであるが、本件は大麻草という植物の所持であるからこのような軽犯罪法違反にもならない事案である。

5。本件大麻によって大麻取締法の保護法益される「国民の保健衛生上の保護」を具体的に侵害する証明が本件において検察官から何らなされていないことからしても本件は実質的ないし可罰的違法性がないものである。

6。被告人は本年8月8日に逮捕されてから同月31日に保釈許可によって釈放されるまですでに24日間その身柄を拘束されたことにより、心身共に既に十分な制裁を受けている。
 既に述べたように、酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止に関する法律第4条(罰則等)1項 では「酩酊者が、公共の場所又は乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をしたときは、拘留又は科料に処する。」とし、2項では、「 前項の罪を犯した者に対しては、情状により、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる。 」と規定している。そして、拘留又は科料の内容としては、刑法第16条・17条で次のように規定している。
 (拘留) 第16条  拘留は、一日以上三十日未満とし、拘留場に拘置する。
 (科料) 第17条  科料は、千円以上一万円未満とする。
ことからして、本件はこれ以上に被告人を有罪にする社会的必要性はないものである。


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