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大麻のある暮らしを認め合える、多様性のある社会へ

今日は2021年4月20日だ。「420(フォー・トゥエンティ, four-twenty)」という数字は、大麻愛好家にとっては特別であり、この日も特別な一日である。そのため世界各国で大麻にまつわる催しが行われている。日本でも、この日に向けて「CBDアドベントカレンダー 2021」というネット上でのイベントが行われており、光栄にも僕がそのトリを務めさせていただくことになった。この催しはCBDに特化したもののようだが、今回僕は、THCによる陶酔作用と大麻問題についての所感を述べさせて頂こうと思う。

大麻の大きな特徴に、THCによる陶酔作用がある。これは、大麻を使用した際の、「ハイになる」とか「トリップする」とか「飛ぶ」と表現される精神変容作用である。そして大麻を取り締まる大きな要因が、THCによる作用である。社会が大麻を嫌悪する原因も、このTHC作用にある。


多くの場合、差別や偏見は、その対象物への知識の低さや誤解から生じる。大麻に対する嫌悪感もそこからうまれてくるのだろう。大麻に関心のない人にとっては、大麻に対する正しい知識を得る必要もないし、そのことを責めるつもりはない。しかし大麻取締法によって、今日も多くの人が不当な扱いを受け、罰せられているのだ。そんな問題があることは、是非知ってもらいたい。そして、大麻への偏見を捨てて、大麻を愛する生活を認めてほしい。もちろん、法律を犯すことを認めてほしいとは言わない。しかしせめて、この法律で罰せられた人たちの人生そのものを否定せずに、そのような生き方もあるのだということを認めてほしいのだ。

大麻とは効き方が異なるが、アルコールやタバコやその他のドラッグにも陶酔効果がある。そのため、それぞれの物質が、その身体的、公共的な悪影響の程度によって規制されている。ご存知のとおり、日本ではアルコールは20歳に達しないと飲むことはできない。アルコールの多量摂取は死亡することもあり、長期間の飲酒は依存症や内臓機能の障害を起こすこともある。タバコも同様に害がある。ヘロインやコカインや覚せい剤にも陶酔作用がある。そして、心身への強い依存性がある。ヘロインに至っては、長期間摂取したのちに急激に使用を停止すると、死亡する可能性もある。しかし、これらの物質と異なり、大麻には身体的な依存はなく、カフェイン程度の精神的な依存性があるだけだ。大麻は、日本で言われているほどの害はない。それは科学的に証明されている。

例えば、1899年から現在まで、世界で最も売れている医学の教科書であるメルクマニュアルにも、大麻について以下のように書かれている。
「マリファナは最も多く使用される違法薬物であり,一時的に用いられることが多いが,社会的または精神的な機能不全を示すというエビデンスはない。米国ではマリファナは一般に,乾燥させた植物の花と葉から作られたタバコとして,またはその植物をプレスした樹脂であるハシッシュとして用いられる。2010年に米国の特定の週で娯楽用マリファナが合法化されたことにより,経口摂取,吸引,蒸気吸入,およびチンキ,ローション,スプレーの形態で外用塗布されるマリファナ製品の大規模な市場が作り出された。活性成分Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)の経口摂取用の合成型であるドロナビノールは,癌化学療法に伴う悪心や嘔吐の治療に,およびAIDS患者における食欲増進に用いられている。」(メルクマニュアル

このように大麻には医療効果もあり、健康な生活をおくるサポートをしてくれる。このことは、数年前に合法化されたカナダやアメリカのコロラド州などの様子を見れば明らかである。タイをはじめとしたアジアの動きをみてもそれは分かる。それらの国で重篤な健康被害や社会的な混乱が起きたという事実はない。未成年者や自動車運転時の摂取などを制限すれば、大麻は安全な嗜好品なのである。

大麻についての日本の規制は大変厳しい。単純所持でも5年から7年の懲役刑が科せられる。起訴されなくても、逮捕されれば多くの場合は会社をクビになり、退学処分になる。これにより、その先の人生は破壊される。日本の大麻取締法は、個人や公共への害と、刑罰とのバランスが取れていないのである。日本で大麻が危険である大きな原因は、所持していると逮捕され懲役刑にさらされるというところにあるのだ。

大麻による陶酔作用は、嗜むものの人生を豊かにする。それは、音楽や芸術に接することや、恋愛を楽しむことと同じものだ。様々な恋愛の形を認めるのと同様に、日本も、大麻のある生活を認め合える多様性のある社会になってほしい。
セクシャリティの問題同様に、大麻を嗜む生き方も個人の問題だと僕は思っている。そのような観点から、大麻を認め合える社会に、日本も変わっていくことを、僕は強く願っている。

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