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【任意団体クリアライト声明】大麻取締法改正について

参議院議長 尾辻秀久 様
厚生労働委員会委員長 比嘉奈津美 様 
厚生労働委員会委員 各位

はじめに)

大麻取締法等改正案(正式名称:大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案)が、本国会で審議されています。75年ぶりの法改正に、長きにわたり改正点を指摘し、活動を続けてきた私たちも大きな期待を寄せています。
衆議院を経て現在までの議論の内容についての私たちの見解を述べさせていただくことで、大麻取締法のより良い改正の一助となることを願っています。

1) 健全な国内大麻産業の支援・育成が必要である

①大麻農家への支援:現在、日本の大麻農家は27軒しかおらず、栽培技術を持つものが、事実上皆無に等しい現在の状況である。そのため、法改正とともに多くの海外企業が進出してくることが予想される。国は、国内の大麻産業を支援していく必要がある。

②国産品種の確保:現在、THC濃度を管理した大麻の品種は、栃木県で繊維用に栽培されている「トチギシロ」という品種しかない。そのため、初期段階では、海外からの大麻品種を導入せざるを得ないことが予想される。種苗法などの問題もあるので、早急に、国産大麻草品種を開発すべきである。

③野生大麻の活用:戦前は、各地の特産品として米同様に大麻の品種があった。戦後70年間で野生化した各地の大麻草は、その土地に適した日本産大麻の原種である。これらの野生大麻の研究と品種開発を行う必要がある。

2) 大麻草の研究を促進していく必要がある

①大麻産業の育成のためには、大麻草の研究を幅広く行っていく必要がある。一部企業などの大資本以外の参入を難しくするような免許基準にせず、新規の研究機関についても開設しやすくし、民間からの参入を促すべきである。

②研究開発においては、THC濃度に関わらず医療以外の品種においても行う必要がある。

3)使用罪導入による厳罰化に反対する

大麻規制を今以上の厳罰化を行うのであれば、THCや「大麻」はどれほど有害な物質なのかを科学的に明らかにした上で判断する必要がある。
2023年6月23日に、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が声明を発表した。国連人権高等弁務官事務所はこの声明の中で、国際社会に対し、個人のための薬物使用と所持は緊急に非犯罪化されるべきであるとし、違法薬物犯罪の扱いについて処罰を支援に置き換え、人権を尊重・保護する政策を推進することを求めた。また、アメリカのバイデン大統領も、2022年10月6日の声明の中で、「大麻の所持を理由に人々を刑務所に送ることで、あまりにも多くの人生を一変させてきた。多くの州でもはや禁止されていない行為のために人々を投獄してきた」と述べた。さらに、「大麻所持の犯罪歴は雇用や住宅、教育の機会にも無用な障害をもたらしている」と続け、統計的に、人種的マイノリティが大麻で投獄される確率がはるかに高いと付け加えた。つまり世界の薬物政策は、厳罰化とは真逆の方向へとシフトしているのである。

①THCや「大麻」の有害性を、国は明らかにする必要がある
大麻は、逮捕されてしまうほど有害な物質なのか。海外の情報や報道をみても、合法化している国や地域の様子を見ても、大麻に重篤な害があるようにはおもえない。最長懲役七年の厳罰化をするのであれば、THC及び「大麻」の有害性について、国は明確なエビデンスをだす必要がある。

②大麻は厳罰で規制するほど危険な物質ではない
世界的医学雑誌『ランセット』(2010年11月)に掲載された論文によると、薬物等の有害性の最大値を100とした場合、有害性が最も高かったのがアルコールの72であり、大麻の有害性は20である。私たちは、大麻規制は、アルコールやタバコ程度で十分だと考える。

③大麻の嗜好利用に対しての偏見がスティグマを生む
嗜好用に大麻を使用することは、しばしば怠惰で反社会的なネガティブな印象を持たれる。しかし大麻は、気持ちの余裕や休息のために必要な効果をもたらす。それにより、健全な精神生活を送ることができるのである。社会不安に対して、国内で一般的には向精神薬を使用するが、それよりも効果的なハーブが大麻草である。身体的な依存がなく、精神的依存はカフェイン同等、離脱する際にも幻覚や幻聴をみることもない。
嗜好大麻を他のハードドラッグ同様に扱う「ダメゼッタイ」という抑止方法は、社会に誤解を生み、スティグマの原因になると考える。

④マスコミ報道やデジタルタトゥーで若者の一生が台無しになる
最近の大麻事犯の場合、少量の自己使用に対しても逮捕者を実名報道する場合が多い。そして、その情報はSNSなどに拡散され続ける。大麻取締法違反者の多くは若者であり、これらの情報拡散により、彼らの一生は台無しになる。今後、使用罪が導入されると、多くの逮捕者が出ることが予想される。若者たちの乱用を抑止するための厳罰化ということであるが、多くの若者を逮捕し報道することで恐怖心を与え、抑止していくという方法が本当に正しいのかを、より深く議論していただきたい。
一度の逮捕で若者の人生が台無しになるようなことは、あってはならないと考える。

⑤私たちは、大麻の自己使用の自由を求める。
世界の薬物対策では、自己使用の非犯罪化が進んでいる。逮捕して厳罰に処すのではなく、社会復帰への回復プログラムを提供する「ハームリダクション」という考え方である。前述のとおり、大麻の有害性はカフェイン程度である。だとするならば、大麻問題でもっとも有害なことは、量刑が釣り合わないことである。さらに自己使用を罰するということは、自傷行為について罰するのと等しい。私たちは大麻の個人使用についての自由を求める。

⑥私たちは、大麻の自己栽培の自由を求める
自己使用のための自己栽培は、アンダーグラウンドでの違法売買者との接触を避けるためにも重要な行為である。現実的に、反社会的存在との接触を避けるために自己栽培を行っている一般人もいる。違法売買同様に、自己使用のための栽培による量刑が重いということも大きな問題である。海外では、オランダで5株までの個人所有を認めている。
私たちは、大麻自己栽培の非犯罪化をもとめる。

【任意団体クリアライト声明】 大麻取締法改正について

呼びかけ人
任意団体クリアライト
 代表理事  丸井英弘
 副代表理事 長吉秀夫
 副代表理事 大藪龍二郎

賛同人(順不同・敬称略)全144名
石塚伸一(一般社団法人刑事司法未来代表)、山本奈生(佛教大学社会学部准教授)、佐久間裕美子(著述業)、加藤武士(一般社団法人回復支援の会 木津川ダルク)、川中孝胤(有限会社ステイゴールドカンパニー代表取締役社長)、舩木隆司(ENJOY CBD代表)、立花秀太(Dispensary Japan取締役)、小池貴士、仲田啓太、佐野正喜(大麻産業、医療用途を望む活動家・CBD取り扱い店経営者)、宮下直也(GreenDelta CBD)、長坂りえ、藤田侑己(HighWide)、早川利明(Himalayan Activity Old Manali主宰)、野中烈、林真梨子、廣橋大、中村和泉(鶴巻温泉病院緩和病棟看護師)、小林久美、武田雄嗣、南口芙美(一般社団法人刑事司法未来)、石川望、森みどり、森紀貴、森下知世、生田ふみえ(木津川DARC)、潮平寛人、大門正岳、山本太郎、芝山洋平、岡林武則、中山敬志、四本隼慈(カンナビボタニカル株式会社代表取締役社長)、白坂和彦(株式会社あさやけ代表)、平山まゆみ、山口玲子、山崎博之、まえだけいこ、竹島義徳、鷲尾綾乃、クドウトビヲ(麻解禁派SSWアポカリライブ代表)、高野泰年(メイヂ食品株式会社代表取締役)、秋國万貴(VapeMania恵比寿店店長)、五十嵐海聖、和田幸之、Daisuke Goto、渡邉祐哉、熊倉聡也、みかみさちこ、鈴木淳士(会社員)、綾部奈美、嘉数璃恩、福山治(BRAKICHI 画家・デザイナー)、萩原基(CBD&VAPE Salon NSPV代表)、藤田治、内山麻美(Entourage代表)、内藤信忠・aka RasNobu(麻党)、首藤崇宏、桑島岳彦(株式会社オカモトパートナーズ代表)、あさのあさこ(麻の妖精)、竹中裕人、伊原勝、野口正義、小池紗嘉、六反田剛、須藤正浩、杉本直久(里地化学研究所・代表)、淺田広二郎、佐藤青、藤野順一(2023・マリファナマーチ東京、マリーちゃん笑)、福正大輔、岡邊健(社会学者)、小谷明(真宗大谷派行圓寺第15世住職)、大津咲貴、酢谷宜子、山崎達弥、マシンガンキノコ君(YouTuber)、ジョー横溝(ライター、ラジオDJ)、松宮隆(株式会社グリーンプラネット代表)、山縣朋嗣、穀田史子、穀田音和、土屋啓、淺田広二郎、高野航介、松本賢(自営業)、矢郷桃、篠澤道治(カルマと業病研究所)、吉野優、木下紫乃、横川江美子(NPO法人全国薬物依存症者家族会連合会理事長)、Mellow yellow (HN)、岡田友一郎、松藤渡(Dispensary Japan代表取締役)、井上寿毅(チラクシー合同会社代表)
他48名

【連絡先】
〒185-0021
東京都国分寺市南町3-26-10 ユアステージ国分寺503
武蔵野共同法律事務所内
任意団体クリアライト
担当 長吉秀夫 info@clear-right.org
HP: https://www.clear-right.org/

【多くの方に声明への御賛同を頂きました】

2023年11月26日に締切らせていただきました
多くの方にご賛同いただき感謝申し上げます

使用罪による厳罰化については、2021年に関係者の皆さんが声明を発表するなどの働きかけを行いました。今回は既に衆議院を通過しているため、遅きに失するという意見もいただきました。しかしながら、嗜好用も含めた大麻取締法についての議論が国会でしっかりと行われたのは、今回が初めてです。私たちクリアライトは、このタイミングで私たちの考えを参議院に対して明確に伝えることが大切だと考えます。
100名を超えて、賛同する方々が集まりました。
2023年11月27日に責任をもって国会へ届けます。
大変ありがとうございました。
任意団体クリアライト

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