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1955年(昭和30) 出版の「吹奏楽教本」における標準編成

 山口常光*1氏は、吹奏楽の指導や歴史に関する著作もあり日本吹奏楽の指導的立場を長く務められました。

 山口氏が示す最小編成は、クラリネット・コルネット・バリトン各1名と打楽器2名の計5人編成です。秋山紀夫氏が11名、深海善次氏が17名と考えていた最小編成を山口常光氏が5人としているのは、実際にそのような人数での活動のバンドが存在していたということだと思われます。5人編成では、打楽器のリズムにコルネットのメロディ、その1オクターブ上にクラリネット、1オクターブ下にバリトンが斉奏を行う。時にはクラリネットとコルネットのメロディにバリトンがバスの動きをします。10人編成になればメロディとハーモニーとバスパートを分担することができます。
 20名編成になってもサックスが使用されていないこと、ピッコロは導入されてもフルートは括弧付きであること、コルネットをトランペットに先駆けて導入すること、ホルンの導入は想定せず「アルトまたはメロホン」が使用されています。

*1 山口常光(やまぐち つねみつ1894-1977)氏は、陸軍軍楽隊出身 クラリネット奏者 指揮者 初代警視庁音楽隊長 相愛女子大学教授 日本吹奏楽指導者協会(JBA)初代会長

                       writer Hiraide Hisashi

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