見出し画像

市長就任から57週。子育て環境整備のための大きな一歩

みなさまこんばんは。日置市長の永山です。

就任から57週が経過しました。

今回は市長就任前からどうにかしたいと思っていた「保育認定におけるフリーランスと会社員との間の格差是正」について、日置市の運用を一部見直すことができました。

これまでは保育認定の要件を厳密に適用するなかで、自営業や農業などのいわゆる育児休業制度を活用できない方は、第2子以降の出産にあたって、上のお子さんの保育利用の継続が難しくなる場合がありました。

今回の見直しにより、フリーランスや自営業・農業などに従事する方も、育休利用者に近い運用が可能となりました。

少し長文になりますが、とても大切なテーマにつき、保育に関わる皆様にはぜひご覧いただきたい内容になっています。お付き合いいただけますと幸いです。

1.問題の所在は「保育認定」の難しさ。通称「2人目の壁」

こども園(2号・3号)および保育園の利用には市町村が保育の必要性を認める手続き:通称「保育認定」が必要になります。

この保育認定は1.就労、2.妊娠出産、3.保護者の疾病・障がいなど、10項目の認定事由のいずれかに該当する場合に認められるという運用になっています。すでに一人以上の子どもを園に預けていて、第2子以降を妊娠した場合、保育認定要件の「妊娠・出産」にあたるとして、上の子どもを継続して預けることができます。

問題は、出産後2か月を経過した時点です。2か月が経過すると「妊娠・出産」を要件とした保育認定の期間が切れてしまいます。

そのため、2人目の出産直後、3か月目の段階で、保護者が上の子どもを継続的に保育園に通わせようと思うと、生後3か月の赤ちゃんを保育園に預ける必要がでてきます。(生後3か月の赤ちゃんを自宅でみることができると市が判断した場合、同時に上のお子さんも保育認定要件を満たさないということになってしまうのです。)

ただし、会社員や公務員などの社会保険が完備された方であれば、育児休業期間中の継続利用も保育を必要とする事由として認められています。この場合は、下の子の育児休業期間中、上の子の保育園利用が認められるというわけです。

つまり、育児休業制度を活用できるかどうかで、第2子以降の出産・育児における保育園利用環境に大きな開きが出てしまっているということです。

フリーランスや自営業、農家の方々においては、この問題は「2人目の壁」と言われ、日置市においても相当数のご家庭がこの壁に苦しんでおられました。

2.フリーランスや農家、自営業の皆さんの悲鳴

育児休業を選択できる保護者に対しては、「当該育児休業に係る子ども以外の小学校就学前子どもが特定教育・保育施設等を利用しており、当該育児休業の間に当該特定教育・保育施設等を引き続き利用することが必要であると認められること。」という規定があり、生後3か月になったタイミングで上の子どもの保育認定が切れてしまうというリスクを回避できていました。

一方で制度上育児休業を取得できないお仕事に従事しておられる保護者にとっては、①上のお子さんを継続的に保育園に通わせるために生後3か月で下のお子さんも保育園に入れるか、➁下のお子さんを自宅でみるために、上のお子さんの保育園通いをあきらめるか、という選択肢を迫られているわけです。

日置市のように農家世帯や、自営業の方が多い地域においては、この制度では手の行き届いていないところがあり、泣く泣く生後3か月のお子様を保育園に入れるというご家庭も少なくありませんでした。

私が市長就任してからのこの1年間でも、複数のご家庭に対して、ルール通りの運用をお願いせざるを得ない立場として悔しい思いをしてきました。

3.「市長の特に認めるもの」という項目を突破口に

今年の4月以降、育児休業を取得するのが難しい職種の方であっても、育児休業に近い制度上の対応ができないかを検討してきました。

こども未来課の職員が中心となって、法律・政令・省令などの法解釈に再度挑戦し、保育認定の要件を内規として再整理することにしました。

ポイントは、保育認定の要件の10番目「市長が必要と認める事由」についてです。

そして今回、市長が必要と認める事由を下記の通りと定めることにしました。

既に保育所等へ入所している児童であって、以下に掲げる場合等、児童福祉の観点から継続入所が必要であると認められる場合。
1.次年度に小学校への就学を控えているなど、入所児童の環境の変化に留意する必要がある場合
2.当該児童の発達上環境の変化が望ましくないと思料される場合

この内規を整備したことにより、今後はフリーランスや自営業、農家として活躍中の保護者に第2子、第3子が生まれた際、この内規の条件に該当すれば上のお子さんを継続的に保育園に預けながら赤ちゃんを自宅で見ることができるようになります。

懸案事項であった「2人目の壁」の制度運用上の格差を解消し、フリーランスや自営業・農家の方でも状況に応じて上の子どもを継続保育できる道筋をつくることができました。また、合わせて、小学校への就学を控えている年長クラスのお子さんについても、例えば保護者がお仕事を辞められたとしても、小学校入学までの間、継続入所することができるようにしました。

このことで、お子さんがお友達と離れることの不安が解消され、また小学校入学の準備を今までと同じ環境で行うことができることで、お子さんだけでなく、保護者の不安の解消にもつながればと考えています。

4.頑張ってくれた職員にも最大限の感謝を

今回のこのチャレンジにあたっては、今年4月に新設したこども未来課の職員が本当に頑張ってくれました。

こども未来課の職員たち

部署新設にあたり厚生労働省から来ていただいている山田さんも含め、まさに職員全員で取り組んでくれています。

特に入庁2年目の市来原さんは普段保育園の申込の窓口を担当していることもあり、これまでも複数の保護者さんに「2人目の壁」を理由に厳しい結果をお伝えしてきた立場から、本当に苦しんでいました。

今回、市来原さんにも「運用によって制度の限界を越えられる」ということを感じてもらえたのも大きかったと感じています。

こども未来課、まずは新設から3か月で大きな一歩を踏み出してくれました。今後も、こども政策の最前線として、私も精一杯応援してまいります。

ひおきち君と一緒にみんなで一枚。

ーーーーーーーーー

永山レポートは、2021年5月29日の日置市長就任後、永山が毎週の動きや感じたことを広く皆様にお知らせするものです。

毎週金曜日の夕方に更新しておりますので、よろしければ今後もお付き合いいただけますと幸いです。

永山由高

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?