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AI上司、AI先生を育てる価値

上司は自分で選べない。
先生も自分で選べない。

これは今始まったことではなく昔から言われていることです
ツイテル、ツイテナイ、アタリ、ハズレなどとも揶揄されたこともあるかもしれません。

かつては、上司や先生の方が圧倒的に立場が上だったので、部下や生徒の好き嫌いに付き合っている暇はないという考えだったと思います。
企業であれば成果を出すことが組織の目標ですし、学校であれば学力をつけることが目標ですから、上司や先生にとっても自分の教えやフィードバックが部下や生徒の目標達成に対して効果的でありさえすれば、特に個人的に気に入られる必要もなく、アタリ、ハズレと言われることを気にすることでもなかったでしょう。

ところが、今のような正解が1つでない時代は、そうはいきません。上司や先生の考えだけが正しいとは限らないからです。
そうなると、生徒や部下にとって、上司や先生を選べないことは大きい問題となります。

私はここで上司や先生の個人的な育成能力を問いたいわけではありません。

ここでの問題提起したいことは、「限られた人からの学びだと偏った考え方になってしまう」という問題です。

上司や先生もそれぞれ経験を積んでいます多くのことを学んでいます。
私は、特定の上司や先生からの学びは、偏りが悪いことでなく、むしろ個性的でとても良いとさえ考えています。ただ、限られた人からしか学べないことは成長の幅が狭まるとも思っています。
数あるビジネス書や教科書やネットに載っている学びは、上司や先生から教えてもらうだけでなく、どんどん自ら学ぶことができる時代ですから。

やはり、閉じられた組織や教室という装置は、学びが狭く、ときには閉塞感があるのです。今の時代は、多様性・ダイバーシティと言いながら、組織や教室の仕組みがそうなっていない現実があります。

では、この”上司や先生を選べず学びが狭くなる問題”を、今後はどのような仕組みで解決することができるでしょうか。

そこで登場するのがChatGPTに代表される生成系AI(以降AI)です。
この図をご覧下さい。

AI経由の振り返りとフィードバックの共有

これは、AI経由で上司・先生と部下・生徒がコミュニケーションしている図を表しています。運用ステップはこうです。
①部下や生徒は、日々の活動の振り返りや相談をAI経由で上司や先生に報告します。
②上司や先生は、自分の部下や生徒からの報告に対してAI経由でアドバイスやフィードバックを行います。
③AIは多様な考え方で生成された言葉で、部下や生徒にアドバイスやフィードバックを届けます。
これらはすべてチャットベースになるでしょう。

企業では、日報や相談ごとを書かせた報告文データに上司がフィードバックするときに有効だと思っています。
学校では、授業の振り返りを書かせたリフレクションデータに、先生がフィードバックするときに有効と考えています。

このように、AI経由の振り返りとフィードバックの共有の仕組みを構築すれば、それぞれの上司や先生の個性も活かしつつ、特定の上司や先生の意見だけの狭い学びから解放され、より幅広い学びとなるのではないかと考えます。なぜなら、数多くの上司や先生が経験した学びを得ることが可能となるからです。

上司や先生にとっても、自分の意見だけを届けるのではないですし、自分の知見が蓄積されていくことになるので、思う存分、個性を発揮することが可能となります。周りの顔色をみてアドバイスやフィードバックをする必要もなくなります。堂々と”偏った個性的な意見”を伝えればいいのです。
会社全体、学校全体で運用すれば、どんどんAIも学習していきますので、次第に1つの会社や学校に所属する人たちの集合体として、味があるAI上司、AI先生を育てることができます。行動様式や理念浸透にも役立つでしょう。学校なら横断的に運用し地域独自のAI先生を育てても面白いと思います。もちろんAIはそれ以上にネットワーク全体から学び続けていますので、運用設計によってはAIの学習の幅はより多様になるでしょう。

これは個別最適化として現代の学びに必要な仕組みの1つになり得るのではないかと考えます。

以前、これからの学校は教員が「教える」ということを手放せるかが重要と書きましたが、なかなかそうなるには時間がかかりますし、今の管理職試験、教員養成・採用の仕組みや学校文化・教員文化が変わらないなら100年経っても無理かもしれません。
だとしたら、今のまま教えるのが大好きな先生であってもOK!という仕組みを作り上げれば良いのではと考えた次第です。教員はある意味その教科の専門家でありその学問の魅力を十分に知っている人です。個性を思いっきり発揮して生徒に学ぶ面白さを伝えているのであれば、むしろティーチング型の授業だっていいのではさえ考えます。

最近、管理職になりたくない社員が増えたと聞きます。また先生採用の応募人数が激減しているとも聞きます。たくさん経験をして学んでいる人たちが生かされないのはとてももったいないし悲しいことでもあります。

上司や先生は、部下や生徒に対して
「自分の言っていることは自分の意見であり正解は1つではありません。
だからより多様な視点のフィードバックを受けて考えてください。
もちろん私の経験から生まれた私自身の考え方・意見もあることも尊重してください。」

と堂々と言っていいと思います。

すべての年代の人が上司であれ部下であれ先生であれ生徒であれ、お互いをリスペクトして尊重し合い、「自分らしく成長したい」という気持ちをお互いに大事にする社会が作れらどんなに素晴らしいだろうなと思います。

そのような心地いい社会が作れるかどうかは、ベテランや年配者のあり方次第でないかとも思います。(先輩面してしったかぶって威張らない)
私自身も律する心を持つ必要があると肝に銘じて筆を置きます。

以上