見出し画像

小金井市の申請書は2度書く


簡単に言うと

昨年4月1日に変更された小金井市公共施設予約システム。今まで公民館の窓口に行かないとできなかった利用団体登録の申請用紙記入がウェブ上でできるというので(申請自体は窓口に行く必要あり)、早速やってみましたが、結局、集会施設窓口で手書きでの申請書記入が必要でした。サイトの説明には「システムでご登録頂くと、申請書の記入が省略できます」って書いてあったんですが。

おそらく、「手書きをできるだけ減らして業務を効率化」というのがシステム開発者の意図でしょう。しかしこれでは、まったく効果がないばかりでなく、かえって申請者の手間が増えています。現場にシステムを展開するときに、後の流れを何も考えずに導入してしまったとしか思えません。

行政改革やDXの推進という大きな枠組みはもちろん大事です。しかし、今回のように現場の職員が、漫然と業務を流してしまうと、本来の目的を達成できないばかりか、かえって誰かの手間を掛けさせることにもなります。

今までと同じことをやっていれば安全と思うのではなくて、そもそも業務の流れがどのようになっているのか、その業務の流れは本来の目的に沿っているのかを能動的に判断し、業務を行くことが必要なのではないでしょうか。

行政改革やDXの推進には、現場の職員の意識改革や業務スキルアップが欠かせないと思います。小金井市の職員の人材育成、キャリア形成支援などが今後どのように進んでいくのか注視が必要です。

 結局、申請書を2度書いた

2023年4月1日の施設利用分から、小金井市の公共施設予約システムが変更され、同時に、小金井市の集会施設、公園施設(定期利用者のみ)の予約方法が変更になりました。今までも、公民館とスポーツ施設については、インターネット上の公共施設予約システムを使用してオンラインで抽選・申し込みが行われていましたが、今回、今まで窓口で受付をしていた集会施設・公園施設の抽選・利用申し込みもオンラインで行うように変更されています。

詳しくは、市のホームページを参照してください。
https://www.city.koganei.lg.jp/smph/kurashi/455/shiryo/yoyakusisutemukousin.html

で… 本題です。私は以前、自分の主催する団体を登録し、公民館や集会施設(集会施設の利用は以前は集会施設窓口での直接申し込み)を利用していましたが、団体登録の有効期限が切れてしまっていました。今回利用したかったのは集会施設だったので、あらためて利用者登録を行うことにしました。

予約システムの「ご利用の手引き」を見ると、登録には、

1. 申請書を窓口で提出
2. 利用者事前登録を利用

の2つの方法が記載されています。「お、小金井市も進化したな」と思いながら、「2.」を選んでみました。

当該ページのキャプチャー。「システムでご登録いただくと、申請書の記入が省略できます」と書いてある

「システムでご登録いただくと、申請書の記入が省略できます」と書いてあったので、「申請書の記入は要らないんだ」と感心し、「受付窓口で『事前登録済み』の旨を伝え、本人確認書類を提出してください」とあるので、内心は「登録画面の印刷、または登録メールの提示などがないと、申請者の特定はできないのでは」と思いながらも、何も持たずに集会施設に向かいました。

窓口で、「事前登録したんですが、登録申請をお願いします」というと、窓口の方は慣れていないのか分からない様子。少し離れたところから上司のような事務の人が現れて、団体名を確認してもらうと、事務室のパソコンには、申請内容は届いているようでした。

しかし…

事務の方が「申請書を書いてください」と言います。ホームページに書いてあることと違うなと思ったので、「ホームページには『システムでご登録いただくと、申請書の記入が省略できます』と書いてありましたよ」というと、事務の方は、「事務室に申請書を保存しないといけないので、お手数ですがお書きください」と。

そして、その紙に書いた書類をパソコンに表示された申請書を私の手書きのものと照合し、申請は完了。しかも、パソコンで印刷されたウェブからの入力内容にサインまでしろと。それが印刷できるならなんで手書きで同内容を書かなければいけないのでしょうか。市民が事務の人がするはずだった入力作業を代わりにやっただけで、市民としては何の得もありません。

問題点は他にもあった

  •  登録ページのどこを見ても、受付番号がない。画面を印刷して持ってきてくれとの指示も書いていないので、当然持って行かなかったが、公民館・集会施設の受付に行っても集会施設窓口担当者は、パソコンの画面上で名前を目視で探すしかない

  • 登録者はあらかじめ自宅でウェブ上で入力しているにもかかわらず、現場で手書きで再度記入しなければならない。入力内容をすべて覚えているわけでもないので、元の入力内容と異なる内容を記入してしまう可能性がある。実際、よく見たら私も郵便番号を書き間違えていた。

  • 登録ページには身分を証明するものを持参せよとあるのだが、実際には登録内容と付き合わせるわけではなく、ほんのちらっと見るだけでほとんど確認していない。何のための照合なのかわからない。

職員のスキルアップを

公民館に加え、集会施設の予約をオンライン化し、従来システムの改善を行ったのは、時代の流れとして当然のことです。さらに、その過程で申請自体もオンライン化し、申請者の負担を減らそうとするのも間違っていません。しかし、今回、システム開発者は、すべての業務の流れを把握しているわけではなく、現場の職員は、従来の業務を守ろうとした結果、オンラインのデータフローと現場の手書きによる紙データの保存という2種類の業務フローが残ったのでしょう。おそらく、業務フロー全体を確認している担当者がいないものと思います。

本来であれば、新しいシステムを追加するときは、所管する市の担当職員がシステム以外の部分についても、その目的に沿った、業務フローを考え直さなければいけませんが、それがなされていません。

今回の件は、ほんの些細なことであると同時に、おそらく同じような事例が市役所の中に多数あると私は考えています。従来、「行政改革」というと、民間への委託、職員の削減、調達方法の改善など仕組みの問題がテーマでしたが、それだけでは、せっかくの仕組み作りも功を奏しません。職員の意識、仕事の仕方、業務への取り組み方法の改善もも必要になると思います。そのためには、職員の資質の向上、能力の向上などを進めるためのモチベーションの向上、研修の充実、人材の確保、などが必要だと考えます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?