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着圧ソックスで脚のむくみを改善できるか?

1)着圧ソックスを使用していますか?

唐突ですが着圧ソックス、着圧ストッキングを愛用している方は多いですよね。

お越しくださる皆さんに理由を尋ねてみたのですが、「脚がむくまないし、綺麗にみえるから」とのこと。

なるほど、脚のむくみに悩まされる女性は多いですから納得です。

いきなり水を差すようで恐縮ですが、着圧ソックス、着圧ストッキングだけでは、脚のだるさやむくみを根本的に解決することは不可能です。

誤解のないように予め申し上げておきますが、着圧ソックスは、脚の冷えやむくみ、あるいは、だるさを改善できる優れたアイテムであることは確かです。

ただし、着圧ソックスを履き続ければ、いつの間にか冷えたり、だるくなったり、むくんだりしない健康的な脚になるのかと言えば、決してそうではありません。

間違った使い方を続ければ、健康を損ねてしまう可能性が高いので気をつけてくださいね、ということです。

2)身体の使われない部位は劣化する

着圧ソックスを履けば、立ち仕事でも、デスクワークでも脚がむくまず、だるくもならない。さらには脚のラインが綺麗にみえるので、女性にとっては良い事づくしなのだとか。

確かに圧力が強めのソックスなり、ストッキングを履けば脚はむくみませんが、その一方では、強い圧力が生じているぶんだけ本来の動きが制限されることになります。

骨折をしたことがある方なら容易に想像できると思いますが、骨折した箇所を固定すると安定はするものの、動きが制限されるため該当部位の筋肉は急速に衰えて生きます。

骨折だとイメージしにくいのであれば、腰痛ベルトでも同じことです。痛めた筋肉をサポートしてくれますので、痛みは軽減しますが、やっぱり筋力は低下してしまいます。

ギプスや腰痛ベルトと着圧ソックスとの差は、固定するレベルが違うため、身体機能が低下していく速度が違うことです。

ギプスや骨盤ベルトと比較すると、着圧ソックスの方が、締め付けも緩いぶん、筋力が低下し、血管機能が低下するまでに時間の猶予があります。

幸か不幸か着圧ソックスのように、徐々に低下していく場合は実感しにくいわけです。

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3)着圧ソックスが普及した背景

それではなぜ着圧ソックスが、これほど女性に支持されているのか考えてみると、医療用ソックスの存在が、着圧ソックス全体に安心感を与えている点は否定できないでしょう。

医療用ではない着圧ソックスにも価格に差があります。綿密に設計されたうえで、しっかり作りこまれた商品と、価格を下げるために素材等で劣る類似商品がありますね。

「医療用ソックスは、医療現場でも使用されているから問題ないよね」「医療用ソックスではないけど、しっかりしたメーカーの商品だから安心」おそらく、そんなところではないでしょうか。

それで、着圧ソックスを愛用する女性が増えはじめ、後はそれに倣って、類似商品を利用するユーザーが増加していき、「みんな履てるから大丈夫」という流れが形成され普及していったのでしょう。

もちろん、着圧ソックスが、「脚のむくみを改善する」、「脚のだるさを改善する」という女性の要望を満たした商品であったからこそ、ですけれども。

4)サイズは3種類しかない

着圧ソックスは、足首やふくらはぎ、それからふとももと圧力が違っていますので、なんとなく自分の身体構造に合わせて設計されているような気になってしまいます。

ところが、着圧ソックスをオンラインショップでいくつか拝見してみると、サイズはM、Lの2種類か、Sもしくは、LLを加えた3種類が基本のようです。

男性用に至っては、悲しいことに1種類のみという商品もありました・・・。

「脚をむくませないため最適な圧力があり、綿密に計算されたうえで生産されている」というのは本当の事でしょう。

とはいえ、よくよく考えてみると、脚が細い人もいれば、太い人だっています。それを2~3種類に分類し、それぞれのサイズでジャストフィットするか、と言えば否です。

脚が細すぎても、太すぎても効果は微妙になるでしょう。

さらに、10代から年配の女性まで幅広く愛用されていますが、10代の女性と60代の女性では、筋力も血管の状態にも大きな差があります。

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5)医療用ソックスも対症療法

医療用ソックスは、静脈瘤を患った患者さんが使用するために開発された商品ですが、静脈瘤に悩まされるのは、相応に歳を重ねた女性が大半です。

血管や筋力の衰えにより、自力で下肢に溜まった血流を心臓に戻せないという事態に陥り、痛みや苦痛を取り除くために、やむなく取られる措置です。

そもそも医療用ソックスであろうとも、静脈瘤の根本的な解決策にはなっていません。あくまでも、対症療法として急場を凌ぐために使用されている事実は把握しておくべきでしょう。

つまり、医療用ソックスは緊急時に使用するものであって、常時着用するものではなく、特性を把握しタイミングを見計らって使用する、使用しないを考える必要があるわけですね。

これも骨盤ベルトを使用する時と同じで、正しく使えば絶大な効果を発揮しますが、何も考えずに常時使用し続けると、筋肉や血管は劣化していきます。

そうしますと、半永久的に使用せざるを得ない状況に陥ってしまうことになりかねません。

実際に、「お風呂に入るとき以外はずっと履いています」という方もいらっしゃいましたが、これを機会に着圧ソックスの使い方を改めて考え直してみることをお奨めしたいです。

6)末梢の血流を下げる事が意味するもの

着圧ソックスがどういう理屈で、脚のむくみ、だるさを解消しているのか調べてみました。

メーカーのサイトを拝見すると、「段階着圧で筋肉ポンプ機能が増進される」という感じの説明が多かったですが、少しわかりにくいので他のサイトから拝借してきました。

《yahoo 知恵袋》 『なぜ着圧ソックスをはくと浮腫がとれるのか?

足は身体のなかで一番下にあるので、重力に逆らって静脈から心臓まで血液が返ってきます。長時間立っていたりすると、戻りが悪くなりむくみの原因になります。これを改善するために、きつめの靴下を履くと毛細血管のような細い静脈を圧迫し血流量を減らし、奥にある太い静脈を使って心臓に返すようにしています。何本に分かれて運ぶより一本道にしたほうが血液量が多いため勢いよく流れるようになり、うっ滞しないようになりむくみ防止になります。

分かりやすい解説だと思います。つまり、脚に圧力を掛けることによって、血管の末枝である毛細血管への血流を減少させているわけですね。

そうすることにより、心臓ポンプの圧力は特定の血管に、より強く伝えることが可能になります。つまり、末枝の毛細血管を犠牲にすることによって、主要な血管の血流を維持しているわけです。

一方、毛細血管にとっては、血流が悪い状態を作り出しているわけですから、その先にある細胞には、「本来必要な栄養が届かない」という事です。

さらに懸念材料として、毛細血管は使われないと劣化し、数そのものが減少していく傾向があります。

その結果として、足の裏や足の甲、ふくらはぎは栄養不足から、肌は徐々に潤いをなくし、カサカサになってしまうという事態が起こり得るわけですね。

脚のむくみ対策、あるいは脚を綺麗にみせるために利用し始めたはずが、使い方を間違えると、逆効果になりかねません。

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7)結論と致しまして

従いまして、着圧ソックスや着圧ストッキングは、常時履き続けるものではなく、状況に応じて使用する必要があります。

さらに、脚の血管や筋肉の劣化を避けるために、着圧ソックスの利用と平行して、毎日お風呂で脚のマッサージをしつつ、お風呂上りにはストレッチ等のエクササイズをしっかり行うことが不可欠と言えるでしょう。

脚が冷えてむくんだ状態のまま過ごしていると、その状態が定着してしまいむくみを解消することが難しくなってきます。

それを回避するために、着圧ソックスは、脚のむくみ・だるさを取り除くことが出来る優れたアイテムであることは確かです。

着圧ソックスの特性を理解したうえで上手に使い分けて、美脚と健康を維持して下さい。


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