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[都議会第3回定例会]総務委員会を傍聴しました②


12日は総務局関係の質疑が行われました。
ここでは主に
原のり子都議の
東京都性自認及び性的指向に関する基本計画(素案)について」の質問について書きたいと思います。


◆人権条例が成立したことの意義

まず、原さんは
昨年の定例会で人権条例が成立したことに触れ
そのことによって
セクシュアルマイノリティの方たちが救われたり、うれしい気持ちになった、ということが大事ではないかと述べました。
そして
この条例が“一部の人ではなく、すべての人に関わる条例になっている”ということが重要であると改めて強調しました。

また、
原さんは「これは全都民に関わる計画であること。人権条例の趣旨をどのように広げていくのか」と質問していて
都は、「施策の柱のひとつとしていて、教育や啓発に取り組む」と答弁しています。


◆当事者の声を聴く

この素案をつくる過程で、当事者の声はどのくらいの聞いたのでしょうか。

都は、42名の方の声をもとにしていて、
また8名の方には個別に、
そしていくつかの団体からも意見を聞いているとの答弁がありました。

これが多いか少ないかは、意見の分かれるところだと思うのですが
原さんも述べていましたが
聴取自体は丁寧にされていると思います。
そのことはとても大切なことだと思います。

しかしこれで終わり、では困ります。
恒常的に意見を聴いていく、どんな人でも参加できるような仕組みづくりが必要ではないかと原さんは求めました。

それに対して都は
「必要に応じて聴いていく」と答弁。

でも、
“必要に応じて”って何でしょうか。
それでは、誰でも自由に、という形は保障されません。行政の都合で、行政が必要だと思う時ではなく、意見を聴いていく仕組みは、きちんとつくってほしいです。


◆SNSの活用

人権条例成立後、電話相談の実績は
昨年10月以降142件となっていて
30〜40代の方からの相談が多く
10〜20代は少ないといいます。
(自民・鈴木委員の質問に対する答弁より)

そこで、
若年層の相談をもっと受けられるようにしていくために、SNSを活用していく、という答弁がありました。
原さんも、
「誰にも言えない苦しさを何かの形で言葉にするのは大事なこと」として
SNSの取り組みは重要であると述べました。

人権条例の質疑の中でも
電話相談については
原さんは、
電話だけで良いのか?
なるべく相談のハードルを低く、匿名で、時間や場所も選ばず相談できるように、と求めてきています。

SNSでの取り組みが始まれば
相談のハードルはさがるのではないでしょうか?期待します。


◆東京都人権施策推進指針について

東京都人権施策推進指針とは
都が取り組むべき人権施策の基本理念や施策展開にあたっての考え方を示す指針のことです。

しかし、これが策定されたのは2015年。
その内容には、見直しが必要な部分もあると思います。

たとえば、
基本計画素案では、

令和元(2019)年5月に、世界保健機関(WHO)が発行している ICD から性同 一性障害が「精神疾患」から除外され、「性の健康に関連する状態」という分類の中に gender incongruence(仮訳「性別不合」)が新設されました。 〈基本計画素案12ページ〉

と書かれているのに対して
人権施策推進指針では、「性同一性障害」という言葉が使われています。

都が新たに策定する計画に
いまの到達点が明記されていることは大切なことですが
それ以前に策定されたものが、当時の到達点のままでいい、ということにはならないでしょう。

原さんの質問に対して、都は
「見直しは慎重に検討」と答弁しましたが
必要な見直しは、きちんとしていただきたいと思います。


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◇ 東京都犯罪被害者等支援条例の構成に関する基本的考え方(案)について

最後に、
原さんが意見表明と要望をした
東京都犯罪被害者等支援条例の構成に関する基本的考え方(案)」について
少しだけ触れたいと思います。

案を読むと、6箇所に「二次的被害(の防止・配慮)」という言葉が出てきます。

二次的被害について言及している点は
とても重要なことだとわたしも思います。

しかし、
防止だけでいいのか…
原さんは二次的被害について
「長く続いたり、広がったり、何度も起きたり、時間がたってから起きたりする」と指摘。

また、
二次的被害というのは、認識・理解の不足や、悪意のないところから起こるものだけではありません。
あえて加害の側に立ち、それを広げるようなケースもあります。

そういったことを考えたときに
配慮や防止だけで、本当に被害者の苦しみに、気持ちに寄り添えるのでしょうか。

また、
「二次的被害」といっても
具体的にどういうものがそれに当たるのか分からないということもあるでしょう。
ただ「二次的被害に配慮」と言うだけでなく
もう少し具体的に、分かるようにしてほしいなと思います。


「性自認及び性的指向に関する基本計画」も「犯罪被害者等支援条例」も、わたしにとってとても大切な問題です。
引き続き、考えていきたいです。


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