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[都議会第2回定例会]総務委員会を傍聴しました。


東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例(仮称)
について
11日に行われた説明に対する質疑が行われるということで
傍聴に行ってきました。

いくつかの会派の質疑を聞きましたが、
ここでは
原のり子都議(共産)の質問、その中でも「性自認や性的指向」に関する部分(条例案概要の“多様な性の理解の推進”)について書きたいと思います。

*・*・*

わたしが原さんの質問の中で
特に大事だな…と思ったことは
みっつあります。

ひとつめは
この人権条例が
すべてのひとに関わる条例である
ということです。

性的指向も性自認も
それは、セクシュアルマイノリティと総称されるひとたちだけでなく
異性を愛する人たちも、シスジェンダーも、すべての人たちに関わることです。

だから、誰であっても、どんな差別も許されない。これは、特定の誰かのための条例ではなくて、すべてのひとに関わる条例だと、わたしも思います。


ふたつめは
カミングアウトが前提になってはならない
ということ。

もし、カミングアウトを前提にしてしまうと
本来は
オープンにするかどうかはその人の自由であるし、
声をあげたくてもそれができない人もいるのに
カミングアウトした人の人権だけが尊重される、ということになってしまう。
差別をなくそう、という条例によって、差別が助長される状況になってしまいます。

絶対に、カミングアウトを前提にしてほしくないです。


そしてみっつめは
差別を受けた人の心の問題(受け止め方)ではなく、
“行為”を問題にしていくことが必要だということです。

差別というのは
言われた側の受け止め方じゃないか、と言われることが多々ありますが
言動そのものがもうすでに差別なのであって
言われた側が差別と思うかどうかではありません。(もちろん言われた側の受け止め方は人それぞれ違いますが)

条例をつくる以上は、「解消」ではなく「禁止」と明確にするべきだと
原さんも言っていましたが
わたしも
「解消」とふんわりすることで、言われた側の心の問題にされたら嫌だなと思います。
差別を「なくす」と言うのなら、明確に「禁止」としてほしいです。


そして原さんは
教育」の重要性も訴えました。

都が出している資料は
条例案のポイント
条例案の概要
のふたつなのですが

ポイントのほうには

性自認や性的指向を理由とする差別の解消の推進と、啓発及び教育の推進を、セットで条例に規定

と書いてあるにも関わらず

概要には
(1)目的、のところに

性自認や性的指向等を理由とする差別の解消及び啓発等を推進

と書かれているだけ。

「啓発及び教育」が「啓発等」になってしまっています。

なぜ、「教育」と言えないのでしょうか。

原さんの質問に対しては
啓発の中に教育も含まれている
という答弁でしたが
そうであるなら
なぜ、ポイントでは明記できていることが、できないのか。
きちんと明記すべきだと思います。

原さんは、
Twitterで高校生が、LGBT講話を受けたことについて書いていたことに触れ、

まわりのクラスメイトが引いている状況
気持ち悪い、などの声があったこと
それらの状況の中で
感想用紙に本心は書けず、自身のセクシュアリティを隠して書いたこと
などを読んで
教育は大事だと、改めて思ったと話しました。

わたしも
中学生のとき、誰も何も教えてくれないことで苦しんだ経験があります。
自分の気持ちは変なのでは、人に言ってはいけないことでは…と思い、ひとりで抱え込んでいました。まわりの、好きな人いないの?気になってる子とかいないの?は、男子なのが前提で、その悪意のない前提がとてもつらかったです。

差別をなくす、というのは
今まさに差別を行う人に指摘することや、差別を差別と思わない環境で生きてきた人にそれは差別なんだと伝えていくこともそうです。
それも、もちろん大切です。
でも
教育の中で多様な性の在り方
あなたはあなたのままでいいんだと伝えていくことも、差別をなくすことにつながるとわたしは思います。


原さんが、質疑の冒頭で
公開されてある概要はざっくりしていて
これでパブコメを書くのか?!という声も寄せられている
と指摘したように
あまりに具体性のない「概要」だと思います。

でも、その中で
原さんはとてもポイントを押さえた素晴らしい質問をしてくださったと思います。
わたしが言いたかったこと、大事だと思ってることを全部言ってくれた感じです。

ここに書いたこと以外にも
相談窓口について
被害にあった方の救済について
なども質問されました。

総務委員会はこの定例会から試験的にインターネット中継が行われています。
数日中に録画が公開されると思うので
ぜひ見てほしいです。

最後に。
原さんは早急にやってほしいこととして
現在やっているパブコメのために
少なくとも概要とポイントの中で使われている文言について
その用語説明を入れてほしいと要望しました。
そうしないと、それらの言葉がすぐにわかる人しか意見がかけなくなるからです。

わたしはこういう様々なひとの視点に立って考えることができる、ひとりも排除しない
そういう原さんの在り方を本当にすごいな、さすがだな、と思います。

都側の答弁は
「わかりやすくやっていこうと思う」
というものでした。
ぜひ、用語解説つくってほしいです。

概要とポイントを読んだだけではよくわからなかったけれど
原さんの質疑によってすこし、どういうものなのか見えてきた気がしました。

わたしもパブコメは書こうと思うし
これを読んでくださった方も
ぜひ都にご意見を出していただけると嬉しいです。(パブコメについてはこの下に)


*・*・*

○パブコメについて

1.募集内容
「東京都オリンピック憲章にうたわれる理念実現のための条例(仮称)」に関すること

2.募集期間
平成30年6月5日(火)から同月30日(土)まで
(消印有効)

3.応募方法
こちらをご参照ください。





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