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自己肯定感を育むと、いじめや不登校はなくせるのか…?


20日の都議会一般質問で
都民ファーストの会のつじの栄作議員が
“子どもの自己肯定感を育む教育”
について質問していました。

わたしは
この内容にとても疑問を持ちました。

どのような質問と、答弁だったのか
そして
わたしの思いを、書きます。

*・*・*

つじの議員は
適正な自己肯定感や自尊感情の形成を子どもの頃から促すことは重要であるとし
小池知事が日頃から「人」が大切であると述べていることから
教育はまさに人への投資ではないか、と指摘。

教育の中での自己肯定感の形成の重要性について、認識を問いました。

また
自分に対する肯定的な感情や
自分を大切に思う気持ちから
仲間をはじめとする他人の気持ちや立場を尊重できる心を持ち
思いやりの心も形成されると言い、

いじめや不登校の問題も
根本的にはこのようなところにある、としました。

自己肯定感を育むことによって
いじめや不登校は未然に防止できる

というのが彼の見解でした。


それに対する知事の答弁は

全ての子どもたちが個性を発揮して、生きがいを持って豊かな人生を切りひらいていけるように、自分の良さや可能性を自ら肯定的に認めていくことは重要であり
共生社会の中で多様性を尊重する態度を育むことができる。
それは、(知事が目指す)ダイバーシティの実現につながる。

というものでした。


教育長の答弁は

自己肯定感を育む教育の重要性について、
都教育委員会が実施した研究で
自己肯定感の高い子どもは友人関係が良好で
進路の目標が明確であるといった傾向が明らかになっていること
都の学力調査では、
自己肯定感の高い子どもは各教科の平均正答率が高いことを挙げ
その一方で
国際比較調査では
自分に自信のない子どもが、諸外国と比べて多いことを挙げました。

そして、
意図的、計画的に自己肯定感を高めていくことが重要としました。

いじめや不登校の未然防止については

不登校や他人をいじめた経験のある人は
自分の良さを実感できない傾向にあり
その防止には自己肯定感を育むことが重要であるとの答弁でした。


わたしは
これらの質問と答弁を聞いて
モヤモヤした気持ちになりました。

自己肯定感と
いじめや不登校、学力、友人関係は
そんな単純に、簡単に
結びつけられるものでしょうか?

そもそも、自己肯定感とは…?

もちろん
自分を肯定できたほうが生きやすいかもしれません。
自分を否定して生きるより、楽しく毎日を過ごせるかもしれません。

でも、
自己肯定感を高めることで
全てがうまくいくとは、わたしは思えません。
また、自己肯定感を持てないから
いろんなことがうまくいかないとも、思いません。

自己肯定感が低ければ
友達が少ないかというと、そうでもないと思います。
試験の点数が悪いかというと、それも違うと思います。少なくとも、“他人に褒められること”を渇望していた高校時代のわたしは、自己肯定感なんてほぼなかったけれど、試験も成績も、学年で上の方でした。人として価値がない自分は点数という揺るぎないものでしか、認められないとおもっていたからです。
もし、成績が良い、というだけで、自己肯定感が高いと言われたら、とても困ってしまいます。

いじめや不登校も
「自己肯定感」というひとことで片付けるのはとても乱暴なことだと思います。
わたしは
不登校の経験も
いじめる側に立ったこともないので
当事者として書くことはできないけれど
いじめも不登校も
様々な要因があると思うし
それらを
「自己肯定感」と個人の問題にしてしまうことは、いじめる側に立ってしまった子どもや、不登校の子どもを追いつめることにしかならないと、わたしは思います。

それから
耳で聞いただけなので、聞き間違えてたら恥ずかしいのですが
教育長の答弁の中で

意図的、計画的に自己肯定感を高めていくことが重要

という言葉がありましたが
自己肯定感って、意図的・計画的に高めるものなんでしょうか?

子どもたちが
自分をかけがえのない存在だと
自分らしく居ていい、ありのままでいいんだと
そう思える教育は大切です。
セクシュアリティなどの自己否定も
そういう教育が抜け落ちていることによるものも多いと思います。

でも、
いくら答弁という“堅い言葉”で話されるものだとしても
「意図的・計画的」って、何なんだろう…?と思いました。

そもそも自己肯定感って
自分を大切に思う気持ち
自分を認めること
だと思います。
(それだけじゃないと思いますが)

それは…うまく言えないのだけれど
日々の中で、お互いを認め合い、周りからあなたはあなたのままでいいんだよと思われ、自分でもそう思えることで
自然と得ていくものだと思います。

誰かに
「自己肯定感を高めよう」って
計画されて、得るものじゃないと思います。

自己肯定感を高める、っていう目標設定がおかしいし、
自己肯定感を持てていない子どもが諸外国と比べて多いというデータがあるなら
それはまずいから自己肯定感高める教育を!
ってなるんじゃなくて
なんでそういう結果が出てるのか、に向き合うべきだと思います。
低いから高くしよう、じゃなくて
なんで低いのか、考えてほしい。

今回質問に立ったつじの議員は
精神科医だといいます。
そうであるなら
安易に、自己肯定感を高めることがいじめや不登校を防ぐことになる!などと言わないでほしいと思いました。

最近、なんでも自己肯定感に結びつける傾向があって、嫌だなあと思っているのですが
安易に使わないでほしいし
自己肯定感が全てを解決する、みたいに言わないでほしいと改めて思います。

最初に書いた
自己肯定感とは…?
という疑問は
まだわたしの中できちんと答えが出ていないので、ゆっくり考えたいです。




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