入院した話

 少し前に入院したので、その時のメモ代わりに。

 その日、いつも通り街を散策していたのだが、歩いている最中に心臓に違和感を感じた。

 数年前から心臓に違和感があり、二年前にそのことで病院に行ったらその場で入院を勧められ、三泊四日の病院生活をするハメになった。その違和感というのが心臓に起きている不整脈であり、血液検査の結果として血中に本来ならあり得ないほどの数値が一部にあったことで、医者が検査入院をすぐに始めた方が良いと言ってきたのだ。
 BNPという数値なのだが、これは通常だと10~20ほどの値で、このときは300ほどあったため、心臓になにかしらの異常があるとのことだった。
 で、心臓の異常に関しては「冠攣縮性狭心症」という突発的に発生する狭心症らしい。これはいつ発生するのかもはっきり分からないのですぐに対処できるわけではない。問題は身体のどこかに血栓が発生している可能性があるとのこと。
 これのために造影剤を投薬されてカテーテルを体内に入れられて体内の血流を確認することになった。

 と、これが二年前の話。

 今年の夏、街の散策中にまた心臓に違和感。過去に何度もこの違和感を感じていて、たいていの場合は30分もすれば治まっていたからその日もちょっと休んでいれば落ち着くだろうと思っていた。
 が、一時間近く経っても一向に治まらない。
 だんだんと息苦しくなってきた気がした。
 本当にたまたまだが、歩いて数分のところにかかりつけの病院があったので、歩いて向かう。
 午後三時頃だったこともあって他に待っている人もほとんど無く、すぐに呼ばれた。
 いつもの担当の医者では無かったけれど、看て貰うことに。

 血圧を測るが、上が180の下が70とか、心拍数が140とかあり得ない数値。
 で、看て貰っているうちに医者が「『きゅうがい』手配して」と女性の看護師に指示出している。きゅうがい? 九階のこと? 手術室……じゃないよな? と頭にハテナマークを並べていると、医者から「ちょっと移動して貰いますね」と言われたので立ち上がろうとした。
 が、あれ? 立てない?
 そのタイミングで看護師が車椅子を持ってきたので、それに乗って別室へ向かうことに。

 で「きゅうがい」は「急外」、つまり救急外来だった。

 ん? 手術とかじゃない?

 で、その場でストレッチャーに寝かされる。
 なにやら注射を打たれ、血圧計を巻かれる。

 血圧計を巻かれたのだが、まともに計れない。不整脈のせいで正常値を導き出せないらしい。そのため血圧計がずっと空気を取り込み始めていて、だんだんと左腕が痺れてきた。
 医者が「手足にしびれはありませんか?」と聞いてきたので、「あるんだけれど、これって血圧計が巻かれているせいだと思うんですが」と答えると、すぐに外してくれた。
 その後、特にしびれを感じないというと、今度は点滴のようなものを付けてきた。

 周囲を見ると、十人くらいの医者や看護師さん達が慌ただしく動き始めていて、「あれ? これ、もしかしてヤバい?」とその時になってやっと自分が不味い状況にあることに気付く。

 で、やっと医者から自分の身体の状況を聞かされる。

 不整脈が治まらず、このままでは生命の危険に関わるため、全身麻酔をして電気ショックで強制的に心臓を正常な状態に戻します、との話。

 あ、これ本気で生死の境目にいる、と気付いたため、実家の電話番号を伝えてそちらに連絡して貰うように話した。

 すぐにマスクが付けられ、数を数えている内に意識が底で切れた。

 目覚めたのは、同じ部屋だった。
 すぐに状況を思い出し、心臓の違和感も無くなっていることが分かり、声も出そうなので、近くにいた看護師さんに声を掛けた。
 が、そこからまた少々ざわついた。

 どうやら本来なら10分ほどで目が覚める予定だったのだが、一時間近く眠っていたらしい。
 それについてはスイマセン、ちょっと寝不足だったので、普通に睡眠だった可能性がががが。

 まぁ目も覚めたし、心臓も落ち着いているし、これで大丈夫かな。

 そんなふうに思っていた時期もありました。

医者「意識がはっきりしていて痛みもないから分かっていないかもしれないけれど、現在、予断を許せない状況なのでこのままICUに入って貰いますね」

 え?

医者「五日から七日くらい様子を見ますので。あ、私の方から先ほどの連絡先に電話しておきましたので、家族の方へは連絡付いてますから安心してください」

 ……そして人生で初めてのICUへ。
 っていうか普通に生活していてもICUになんて入らんよ……

 結局五日ほどICUに入って、そこから一般病棟で三日ほど入って、やっと退院。
 途中、点滴薬が強すぎて頭痛が酷すぎるために眠れなかったりしたが、なんとか普通の状況で退院できた。

 そんな一週間だった。


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