高杉選手のすみませんが耳に残る対ロアッソ戦

記事の初公開日:2014年 10月 28日

湘南戦の勢いを信じて、かきどまりに「ロアッソ熊本」を迎えたその日は、朝から小雨が降ったり止んだりのおかしな天気だった。
山の上、霧がかかったりするかきどまりだからと雨具と防寒準備をし、ウルトラさん企画「勝手にハロウィン」にもちょいと乗っかるいでたちででかけた。

なんの根拠もなく勝つ勢いだったが、スタメンを見て「おやっ」と違和感が走った。なぜ山口選手がサブなの?良い状態のチームはいじらないというのが普通なんだろうけど湘南戦で山口選手が抜けたのは契約の都合であってコンディションの問題ではなかったはず。センターバックの要、チームの要の選手を外しても大丈夫なのかしらん。
ポジショニングや守備力では高杉選手も遜色ないのだが、山口選手がいると高杉選手の持ち味でもあるステルスのような攻撃参加やリズムをかえる縦パスが遺憾なく発揮できチームの攻撃の厚みが増す。チームに危機感や不安が芽生えた時は山口選手の叱咤激励によってチームは平常心を取り戻す。長崎の守備の安定感はこの二人の絶妙のバランスがもたらしていると思う。せっかく二人が使えるのならなぜ使わないんだろう。

前半まもなく、目の前でロアッソのコーナーキックは意外なショートコーナー。瞬間、これつながると崩されると直感、コーナーフラッグの延長線上からスペースが空いているのが見えていた。案の定失点してしまった。
取り返す時間はたっぷりあるし、攻めるしかないのだから思い切りガンガンいけるねと思っていたけれど、なぜか前線の選手達が安全策ばかり選んでいる。シュートを打てばいいのに安全なパスを選ぶ、そのパスがつながればいいのだが相手の素早いチェイス&チェックにボールを奪われてしまう。

選手のコンディションもプレーも悪くないのになんだか淡々とした静かなゲームというような感じがする。のどかなかきどまりの風景のせいかなあ。
メインA席の私の周辺もウルトラさんのチャントに合わせて一生懸命応援しているのだが、いつものような必死な盛り上がりが今ひとつ周囲から感じられない。

前半の1点が返せなくて、喉から手が出るほど欲しかった勝ち点がするりと相手に渡ってしまった。
試合終了後、ピッチサイドでの高杉選手へのインタビューがオーロラビジョンに映し出された。
テンションの高いインタビュアーの声とまだ気持ちの整理もついていない高杉選手のぼろぼろの声が対照的で、ついビジョンに見入ってしまった。短いインタビューの最後、インタビュアーのファンへ一言という元気な声に、顔もあげられず絞り出すように「すみませんでした」とこたえる高杉選手。タオルを投げ捨ててバックスタンドへの挨拶のためにピッチを横切る高杉選手の後ろ姿。バックスタンド、ゴール裏、メインスタンドと挨拶を終えて去り際、高杉選手は悔しそうに腕からキャプテンマークを外していた。
彼はこの試合を背負ってたんだ。山口選手の分まで背負っていたんだなあ。

高杉選手の「すみませんでした」がずっと頭に残っている。
選手に「すみませんでした」と言わせてしまうほど、みんな必死で応援したか?
一緒に闘っているんだから、謝らないで欲しい。
私たちは勝ち負け以前に応援できる選手とチームがあるという恩恵をあなたたちから貰っている。
高杉亮太っていう魅力的な選手を、そしてVファーレンのすべての選手のプレーを間近で見られて、応援できることが生活のスパイスになっているんだから、謝るのはなしにしてよね。

彼ら選手達を長崎の選手として応援できるのもあと4試合しかない。奇跡のプレーオフも入れて5、6試合
シーズンが終われば、彼らすべて一旦長崎の選手ではなくなる。再契約でどれだけの選手が残ってくれるか、長崎を離れる選手も当然出てくる。
愛着のある選手達とともに闘えるのは本当に少なくなってしまった。
ホームでの2試合、彼らの姿をしっかりと脳裏に焼き付けて、悔いのない応援をしたい。

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