セクシーフットボールを貫いて上を目指せ、山田くん

記事の初公開日:2014年 07月 18日

J1も再開してまた週末土日はJリーグの日常がきた。
長崎はここ数週間で大きく選手が変わった。なんでもセルビア人だけでなくクロアチア人までいるようだが、今んところはそんなことチェックする気分ではない。そのうち分かるだろう。

去る7月12日、バックスタンド組の私たちは天皇杯岐阜戦後に山田晃平選手の移籍挨拶があることは知らず、帰宅してチェックしたtwitterで知った。その前の週には水永翔馬選手と藤井大輔選手の移籍も同じように試合後家に帰って知った。ものすごい喪失感。
そういえば木曜日に練習見学したが、いつになく山田選手と由紀彦選手がずっと一緒にいて、練習後もストレッチしながら長いこと話し込んでいたのが気になっていた。最近出場機会のない山田選手のメンタルケアを由紀彦キャプテンが引き受けているのかなと思っていたが、まさかこんなことだったとは…。
Sさんに連絡を取ったら、翌日のトレーニングマッチに行こうよと言う。即決。

TM前半の途中で間に合った。その時点で50人以上いる見学者。その後もどんどん増えて200人くらいになったという。いつもバックスタンド常連の高杉ファンのご夫婦も「山田くんが移籍というんで最後の姿を見に来ましたよ」と駆け付けてきた。
後半、左サイドに入った山田くん。終始彼らしいプレーの連続。
ドリブルを仕掛けるときの独特のリズム。16分の1拍くらい早い仕掛けで相手を抜く。山田くんのドリブルは相変わらず魅力的だった。イケイケサッカーのシンボル的な山田くんのドリブルからのクロスをフンソンくんだったと思うけどゴールして山田くん1アシスト!その後果敢にゴール前までせめこんでPKまでもらうし、それを自ら決めて今シーズン初ゴール!
最後の最後に1アシスト1ゴールって、かっこつけすぎだよ。セクシーフットボールを掲げて高校サッカー選手権で優勝した野洲高校サッカーチームの一員だった山田くんは最後まで彼らしいセクシーフットボールを見せてくれた。
試合後、長崎の選手たちが並んで観客席に向かい、山田君の最後の挨拶をサポートした。クールダウンして練習場を離れる山田くんを待つファンの長い行列。一人一人に丁寧なファンサービスをする山田くんの笑顔がいい。ファンサを受けた人たちも、だれもがこの場を、山田君の周りを離れ難そうに遠巻きにしていた。
本当に愛された選手がまた一人チームを去った。
レンタル移籍とはいえ、長崎に帰る保証はない。

山田晃平選手 25歳 
負けん気のドリブル、試合後ぶったおれるほど目一杯闘い切る姿、分かりやすい感情表現のできる隠れたクレバーさ。サッカー好きでなくても彼の出た試合を見た人が次のときは33番のユニフォームを着ているというくらい人を惹き付ける魅力を持っていた。

「山田って、私の中では世良恭平だわ」というと、自分もそう思っていたという人が多い。
「世良恭平」サッカー漫画「ジャイアントキリング」の登場人物の一人。
主人公で監督の達海は世良を評してこう言う。
「世良みたいな選手ってのは、自分に何ができないかを知ってる。
それはつまり自分にできる限られたことがわかってるってことだ。
だからピッチで迷わない。選択肢がない分、プレー中の判断が早い。
おそらく世良みたいな連中は劣等感から始まってる。
できないことを消去法で削ぎ落とし、できることだけを磨いてプレーしてる。
磨いて輝かないものなんてない。
だから期待するんだ俺は。
そういう奴が才能ってもんを凌駕すんのを。」

「ジャイアントキリング」の中でも名言と言われているフレーズの一つ。
この世良の部分が長崎では山田に置き換えられる。素人ながらそんな感じがしていた。


昨日、AC長野パルセイロのホームページ選手紹介欄に山田晃平のプロフィールが追加された。
新しい背番号は「26」
長野パルセイロのスタジアムに背番号26のユニフォームがどんどん増えて行くことを願っている。そんなプレーを見せてくれる選手だから。

最後に山田くんに贈る言葉はやっぱり「ジャイアントキリング」から
「そのまま行け、何度でもしくじれ。
その代わり、一回のプレーで観客を酔わせろ、敵のド肝を抜け。
お前ん中のジャイアント・キリングを起こせ。」

長野の君も見続けているからね。

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