小笠原選手の残した言葉に思うこと

記事の初公開日:2014年 07月 22日

20日の退団あいさつで小笠原侑生選手が、一生忘れないと言った昨シーズンプレーオフの録画を見た。
もう何度も見ているので、解説の早野さんの言葉も頭に入っている。
改めて見て、すごく感じることが多かった。
とにかくあの試合の長崎の選手たちのプレーは見ている人を惹き付ける健気さと必死さがあった。
京都の選手にボールが入ると、瞬時に2人、3人で取り囲んでボールを猟る姿は野生のハイエナみたいだ。何者でもない者たちが栄光をつかもうとする気迫が見ている側にビンビン響いてきた。
味方にボールが出たとたんフルスピードでサイドを駆け上がり攻め込む小笠原は、相手の脅威だったし、至近距離で打たれたシュートをお腹でブロックして顔色一つ変えない藤井の気迫は早野氏をうならせた。格下のチームでありながら京都を押さえ込めたのは全員が惜しみないハードワークに徹したからだ。
ハードワークこそが長崎の武器であったはずだが、今のチームはこの徹底したハードワークは陰を潜めている。
この試合では、決して技術的に相手に勝っているといえない長崎のほうがセカンドボールが取れている。昨年のチームより技術的にも優れた選手を多く集めた今シーズンの長崎らしいが、ホームでの試合を見る限り、競り合いからのセカンドボールが圧倒的に長崎にでた試合を見た記憶がない。相手を上回るハードワークが陰を潜めている証拠ではないだろうか。

松本戦後の高木監督のコメントでは、ヨンジェのプレーを評価し今度は周りの選手がサポートしていかなければならない。うちの選手には丸裸になってほしい。皆さんの前やピッチでもかっこつけることもやめて、気負うことも、恥じらいも何も捨ててとにかく相手からボールを奪う、相手の陣地に入る。原点の部分に立ち返る以外、これ以上良くなることはないと思う。と言っている。
本当にヨンジェはあれでいいのだろうか。たしかに目を引く激しいプレーはしていたが、独りよがりのプレーになりそうな危険性をはらんだ選手だなと感じたが…。
山田や水永、藤井たちまで出して獲得したヨンジェたち外国人プレヤーたちが本当に機能するのだろうか。

昨シーズンと今シーズン加入の選手たちには大きな違いがある。
昨シーズンの選手たちはホームゲームのある週は自ら街頭に立って集客ビラ入れをしていた。
異例のことなのだろうが、それが日常になっていた。
その気持ちに応えるためファンもわざわざそのビラをもらいに行った。そこにささやかだけどいっしょにチームを盛り上げましょうという共通認識と仲間意識が生まれたし、これほど必死な選手たちのプレーを応援したいという気持ちも芽生えた。
考えてみれば、昨シーズンのチームは選手もサポーターもファン初心者もみんなが一緒になってVファーレン長崎というチームをJ2にふさわしいチームにしようとしてきたのだ。
小笠原選手もそのひとりだった。
昨年夏、ある会合のゲストスピーカーが高木監督ということだったが、監督の体調不良で急遽宮田社長と金山選手、小笠原選手がピンチヒッターで登場した。キンキンに冷えたホテルの会場に練習着姿で現れた小笠原選手と金山選手は人柄の現れた自然かつ軽妙なトークでいつの間にか会場を温かな雰囲気に変えてしまった。金山選手の天然さの現れたトークが長引けば、自分の話を少なめにして時間調整までしてくれる小笠原選手のさりげない気配り(?)も印象的だった。

足りないものばかりで不自由な選手生活だったはずだが小笠原選手は「このVファーレン長崎が大好きでした」という言葉を残してくれた。
彼が大好きだといってくれたVファーレン長崎は、Vファーレン長崎という入れ物ではなく、一緒に闘った仲間、ファンサポーターを含めてのものだろう。
こんなことを気づかせてくれた小笠原選手の新しい挑戦が長崎以上の「大好き」になりますように祈って今後を見守りたい。

水永選手、山田選手が移籍先でスタメン出場し早速結果を出した。
ピッチの上で闘うことに飢えていた彼らは水を得た魚のようだっただろう。
果敢に攻め込む彼らの姿はそれぞれのチームのサポーターに明るい希望として迎えられている。
彼らを手放した私たちに新しい希望はまだ見えてこない。


小笠原選手の退団あいさつがyou-tubeにあったので記録として貼っておくhttps://youtu.be/jq04oy5zrG4

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