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問い

 いつ繋がったか覚えていない海外の知人から「金が無くて食うものがない。助けてほしい」とメッセージをもらった。

 こういうときに、どうすればいいのか、とても悩む。要点は3つある。

  1. 彼は本当のことを言っているのか

  2. 彼の状況が分からない

  3. 助けることの意味

 (1)に関して言うと、端的に詐欺の可能性がある。詐欺とまではいかないまでも、金持ってそうな国のやつに適当にメッセージを送りまくって、小金を巻き上げよう、的なことはありそうである。

 (2)に関して言うと、仮に彼が本当のことを言っており「金が無くて食うものがない」場合だとしても、彼の状況が分からないと、お金を渡すことが良い選択かわからない。例えば、実は薬やギャンブルの中毒で、渡したお金をそちらに回してしまうなども考えられる。

 (3)に関して言うと、「金が無くて食うものがない」人は、世界中にたくさんいる。他にも、様々な困難の中で生きており、助けを求めている人はたくさんいる。そんな中で、「私」が「彼」を助ける理由や意味は、どこにあるのだろうか。しかも何なら自分も経済的にかなり不安定な状況にいる。

 まとめると、お金を渡すことが本当に良いことなのかは、わからない。分かることは、自分にとって一番安全な選択は、こういうことには関わらない、ということだ。しかし「安全な選択」が「善い選択」とは、限らない。

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 実は、数年前にも一度、似たようなことがあった。その時は、思案した結果、連絡をくれた人にお金を贈ることにした。信頼に足る人だと思ったからである。また、当時一端の営業マンをしていた自分にとって、彼のある種の「オンライン飛び込み営業」の努力と根気に、共感と尊敬の念を抱いたからでもある。

 結果どうなったかというと、自分が渡したお金は有効に使われていそうであった。ちょいちょい連絡が来て、彼は彼の住む国でNPOを立ち上げ、人道的な活動に取り組んでいるようだった。ただ、お金を渡して以降、メッセージのたびに「金くれ金くれ」と言ってきて、正直鬱陶しくなった。なので、途中から無視し始めたのだが、それでもめげず、現地の写真と「金をくれ」と言うメッセージを数年間ずっと送り続けてきている。初めは鬱陶しかったのだが、ここまで来ると逆にその粘りに感動し始めている自分がいる。彼から、多くのことを学んだ。

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 今回も、どうやらお金を渡してしまいそうである。どうなるのか分からないが、彼と、今回の縁を、信じてみようと思う。

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