見出し画像

体験価値を上げる「予防・回避・アクセス」④‐vol.18‐

前回はネットフリックスの「サブスクリプションの自動キャンセル」体験を元に、体験価値を上げる「予防・回避・アクセス」の中でも”予防”についてご紹介しました。

そこで今回は、ダイソンの掃除機を例にして「アクセス」の話をしていきます。

話そうdyson 買う前も、買った後も

皆さんはダイソンの掃除機お持ちでしょうか?
あまり気にしたことないかもしれませんが、ダイソンの掃除機の取っ手部分にはこのような刻印がされています。

画像1

「話そうdyson 買う前も、買った後も」と書かれているんです。
そして、その下にはカスタマーサービスの連絡先が載っていて、故障したときにはすぐに連絡できるようになっています。
では、なぜダイソンはこの持ち手部分に連絡先を載せているのでしょうか?

ダイソンのMOT

ダイソンが懸念していることは、「故障したときに顧客が諦め、他社製品に乗り換えられる」ことです。
もし故障したときに、「連絡先が分からない」「連絡するのが面倒くさい」と思われてしまったら、家電量販店に行かれる方もいるかと思います。そうすると、Panasonicなどほかの掃除機に浮気しちゃう可能性もありますよね?
つまり、この故障した瞬間がダイソンのMOTになる訳です。
MOTとは、Moment of Truthの略で日本語では「真実の瞬間」と訳されていますが、「闘牛士が闘牛のとどめを刺す瞬間」を表しています。
スカンジナビア航空のヤン・カールソンが提唱した考え方になりますが、飛行機の体験をこのように語っています。

ヤン・カールソンが提示した真実の瞬間とは、この15秒の事をさします。つまり、一見航空機を利用する顧客はフライト時間の間ずっと消費体験をしていると思われますが、実際の顧客満足度を左右するのは直接スタッフと向き合っている15秒に集約されるという考え方です。つまり、真実の瞬間とはこの15秒間でいかに顧客満足を高められるか、というものになります。

私のなりの理解では、「顧客ロイヤルティに最も影響を及ぼす瞬間」と考えています。ダイソンで言えば、最もロイヤリティに影響を及ぼすのが故障した瞬間になる訳です(※ダイソンの方に聞いた訳ではないので、私の理解です)。
よって、このようにMOTを捉えることで、ダイソンはすぐにカスタマーサービスに連絡できる「アクセス」を提供しているわけです。

ダイソンから学べること

ダイソンはMOTを見極め、アクセスを提供することを施策として実行しています。このように、企業はMOTを捉え、アクセスを提供・改善する余地があるのではないでしょうか?

次回予告!

身近な事例でいくつか「アクセス」がしっかりしていると思うものベスト3を書いていきたいと思います

参考書籍・URL

〇真実の瞬間―SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか
https://www.amazon.co.jp/%E7%9C%9F%E5%AE%9F%E3%81%AE%E7%9E%AC%E9%96%93%E2%80%95SAS-%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%8A%E3%83%93%E3%82%A2%E8%88%AA%E7%A9%BA-%E3%81%AE%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9%E6%88%A6%E7%95%A5%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E6%88%90%E5%8A%9F%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%8B-%E3%83%A4%E3%83%B3-%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%B3/dp/4478330247

〇「最初の15秒で決まる」航空業界の世界最年少CEOが提唱する真実の瞬間とは
https://www.emotion-tech.co.jp/resource/2015/ceo-yan-kerson

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?