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#7_「アジア」だからこその経営課題とは何か?

このマガジンにおいて我々は「アジア」という言葉を使い、「アジア戦略」の姿を論じている。企業のアジアでの戦略を考えるにあたっては、日本とも欧米とも異なるアジアならではの課題に対する取り組みが重要だと感じている。

戦略とは、「比較」「対比」することに他ならない。企業が日本とも欧米とも異なるアジアならではの課題を認識せず、一緒くたに考えているとすれば、アジアでの戦いには黄信号が灯る。

では、アジアならではの課題とは何か?まず1つ目。市場を「日本ではなくアジア」と考えるとどうだろう。浮かぶのは、我々は強者ではないという市場の構図だ。知名度も、地の利もない中で事業体を運営し、事業を成功させなければならない。それはとても難しいことであるはずだ。では、その「難しいこと」に向けた十分なリソースと支援が行き届いているだろうか?

次に2つ目。「欧米ではなくアジア」と考えてみる。すると、経営における組織・人材の問題が浮かび上がる。過去を振り返ると、欧米については「消費地」とみなした事業展開が多かったために、現地に権限を移し、経営を任せてきたケースが多いように思う。

一方で、アジアは「生産地」としての展開が多かったのではないだろうか。そのために、現地に経営を任せる考えは浸透していない。時代は変化し、2020年現在において、アジアは「消費地」として期待を背負っている。日本企業が向き合うべき課題は、進出当初とは打って変わった経営のゴールに対し、既存の組織や人材をどう適応させていくか、という側面が大きいように思う

最後にもう1つ問いを。「アジアは成長が見込める今後の成長市場だ」という考えは正しいだろうか?実際、次の50年を見るとアジア市場は、世界的にも注目の成長市場であることは疑いがない。そのため多くの日本企業は、アジアに対して期待を抱いているように思う。

ただ、少し視点を変えれば異なる認識が存在していることに気づく。「アジアは全世界の企業が競争する厳しい市場」であるということだ。つまり、欧米企業も現地の企業も、目の色を変えて勝負をかける市場になるということである。
一例を挙げると、ダイソンは、一部の本社機能を2019年にシンガポールに移転している。基本的な機能はイギリスに残るとされているが、ビジネスの成長の中心はアジアにある、と言い切ったことは多くの日本企業にとって示唆深い出来事である。

さて、あなたの所属する企業はアジアならではの経営課題にきちんと向き合い、戦う準備・体制を作れているだろうか?世界の競合企業は準備万端である。今一度考えてみる必要があるように思う。


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