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わたしのしごと

1回目から2回目の記事の間の2か月間、何をしていたかといえば、コ行課の担当職員は今回の新方針の関係課との調整や、レク(幹部職員や課長へのレクチャー)で連日忙しく動き回っていました。

「従来の計画、方針の策定作業では、一部の関係職員だけが検討に参加していて、できあがったものの職員への浸透がうまくいかない」
こんな問題意識から、今年度の策定作業再開にあたり、
「職員、ひいては世の中の皆さんを巻き込み、"対話"をしながら策定業務を進めていくべし」との指示がありました。

とはいえ、我々地方自治体の、とりわけ総務部の「事務屋さん」(行政職員のことです)が従来している仕事といえば、組織内での情報伝達や意思決定が大きなウエイトを占めます。

…具体的にどういう仕事かといえば、ようするにレクで使用する資料を取りまとめるべく、パソコンに向かって黙々と作業をしていたり、会議などの場で決定事項を粛々としているだけだったり、課長以下担当が部長室へ何やら勇んで駆け出していったと思いきや、小一時間(ときに2時間?)経ってなんともいえないかなしそうな顔をして帰ってきたりする。
(ああ、また「再トライ」になったか「宿題」もらっちゃったんだな…お疲れ様です)
…といった感じで、その様子だけを淡々と追っていたのではいまひとつドラマに欠けるのです。

noteをどのように書いていくことが、実のある検討を後押しし、さらに深めることができるのか。
庁外への発信を仰せつかった私は、この2か月間、作業に奔走する上司やシマの担当をしり目に、考えていました。

方針というものは、成果品の都合上、明確な取組内容、つまりは「我々長野県は、これからの5年間で○○の取組を進めます!」ということを書く形になります。これは何も行政が作るものに限らず、ひとつの目的を共有する組織、会社が作成するものであればごく当たり前のことと思われます。
しかし、そうすると、内部の担当課が書くことを考えて、それをとりまとめる調整をするとき、課と課、担当と担当の間で認識のずれが生じ、足並みが揃わないことが多々あると感じます。

最近では、組織内にも職員の「多忙感」が蔓延していたり、新しいことに一発挑んでみよう、というムードが職員間で共有されづらく、足がすくんでしまうような空気もときどき感じられます。

何か大きな課題が発生して、早急に対応策を立案しなければならないときも、「みんな忙しいんだから、担当が一人で考えて!」「案が固まったら説明にきて!」と。
そして一人の担当が抱え込んでしまい、同じ係の同僚にも相談できず、ときに苦しい思いをしてしまう…いわゆる「タコツボ化」というやつですね。

場合によっては「何年度までに、目標の○%まで」とか「この段階までは進めます」、と詳細に書くケースも想定されますが、そうなると今後数年間に向かっての方針に「これをやります!」といった前向きな、挑戦的なことを堂々と書きづらくなる。

取組の重要度や緊急性にもよりますが、これはあくまで方針。
予定通りに事が進まないことだって想定されます。
書いたことをそのとおり達成できればそれに越したことはないのですが、たとえば社会情勢の変化などでプランどおり進めることが上策とは言えない場合もあるでしょう。しかし、多少の無理があっても達成させる、つまり「帳尻を合わせる」ことだけが優先されてしまうと、適切な見直しや作戦の練り直しが図られないようなことも起こりうると思います。
そうなってしまえば、せっかく方針を作っても、本当に目指さなければいけない形からはかえって遠ざかることになってしまうでしょう。

これも、策定の作業自体はそれなりの時間と労力を割いて行われる一方で、
作った方針をどのようなものととらえ、進めていくのか、つまり方針そのものをどのように解釈し、具体的な行動に移すのかについて、組織的な共通認識が作られていないことが原因にあると思います。

これからの時代、前提条件が異なる時点で作られた目標をなんとか「こなす」ためだけに、一人の職員の努力、へたをすればやせ我慢のような仕事のスタイルに組織の重大なミッションを預けてしまう働き方が望ましいのか、そもそもそんな働き方が今後世の中に受け入れられるのか。
「チームで協力して仕事をする文化」をどうにかして組織に根付かせなければいけないのではないか。コ行課でもたびたび話題に上ります。

組織運営に関する方針には、県組織で働く職員自身が期待するところも様々あります。
これまでコ行課が職員向けに行ったアンケートでは、
「無駄な作業や手続を無くしてほしい」とか、
「しごとの効率化を進めたい」
「超過勤務を減らし、取りたい時に休暇がとれるワークライフバランスを!」
といった要望が毎回のように多数寄せられます。
(これに関しては、ただ方針を策定すればすべてが解決されるかといえばそんなことは決してなく、我々職員も自分の職場の様子をよく見渡し、どうすればいいかと考えて行動しなければうまくいかないのでは…と常々思います)

しかし、こうした話も、組織としての仕事の成果を挙げなければならない、
県民の皆さんによりよいサービスを提供できるよう、もっと早く、より多くの事業をつくろうと頑張る中、検討の過程でどうも優先順位が後回しにされてしまう節があります。
モチベーションを例にとっても、職員一人ひとり異なる仕事への向き合い方をつかまえきって書き表すには、組織の統一した「方針」という形ではやりづらいところもある。

限られた作業時間では、こうしたちょっと遠回りのような議論や、簡単に結論に到達しなさそうな話がじっくりできないことも少なくありません。

「行間」を書き留める

…このようなことを色々と考えて、6月の後半ごろからは私も、
「方針策定のためのワーキンググループをやるので一緒に話を聞きに行ってほしい」と策定のメイン担当に連れてもらい、各課のみなさんとお話しさせていただいています。今まで知らなかった各課のみなさんの努力やこれまでの成果を聞かせていただく機会になり、毎日勉強させていただいています。

これまでコ行課では、組織内の職員向けに庁内報のようなものを発行し、職員のみなさんと情報共有、雑談込みの双方向の対話を続けてきました。かれこれ3年になります。
しかし、職員のみなさん、特に上司にあたる年代からの発信がまだまだ弱い、と正直思います。
各所属の「長」のつくみなさん、まさか「コ行課がやってればいいや♪」なんて、思ってないですよね?(笑)

この度、発信の範囲を組織の外に拡大してお送りするわけです。
職員の中にも、これをお読みいただく組織の外のみなさんにも、 このページに期待する発信の形、ぜひ知りたいこと、話してみたいことがおありかと思います。そうしたことも、ぜひコ行課にお聞かせいただくことができたらと思いつつ、さしあたり書き手の狙いを一つ挙げてみると、

策定の裏側にある「行間」の部分、方針の「本体」にはなかなか落とし込めず検討の過程で抜け落ちて、下手をすれば消えて行ってしまうようなこと。
みんなが課題と感じていて、議論が多くありそうだけれども、簡単には意思統一を図ることが難しそうな、「継続検討」を要する話。
頑張る職員の働きぶりや、仕事の合間に感じていること。


こういうことを少しでも多く形に残し、みなさんと共有をしていくことが、新たな方針に対する考えを深め、より分厚いものにしていくために必要だと思います。
どこまで完成に近づけるかはやってみなければわかりませんが、私の仕事の方向がぼんやり見えてきたところです。

次回に続きます。



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