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「地域を盛り上げたい!」杜氏や農家たちが挑むハードサイダープロジェクト【第3回放送レポート#01】

ラジオとYouTube LIVEによる同時生放送を行っている「ながのKEN!JIN!KAI!」。今回は、1月11日(月)の第3回放送を振り返っていきます。

ハードサイダーで、NAGANOを元気に

長野県の企業の“良いところ”を取材する「信州トピックス」のコーナーでは、酒蔵×農家によるハードサイダープロジェクトを取り上げました。

「サイダー」と言っても、アルコールが入ったれっきとしたお酒。100%のりんご果汁をそのまま発酵させてつくる、いわゆるシードルです。アメリカでは、アルコールの入っていない炭酸飲料をサイダー、アルコールの入っているりんご酒のことをハードサイダーと呼んでいます。

近年アメリカを中心に人気が高まっているハードサイダーが、なぜ長野と関係があるのか。まず話を伺ったのは、長野市にある日本酒の酒蔵・西飯田酒造。なんとこの西飯田酒造、創業が江戸末期という歴史ある造り酒屋で、近くを流れる犀川の伏流水を汲み上げて仕込まれる「信濃光」「積善」の醸造元としても知られています。社長で杜氏の飯田一基さんに話を伺いました。

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飯田さん
「西飯田酒造は、私で9代目。先代からは継げと言われたことはなかったんですが、大学で酵母の研究を行ったときに面白いと思って。そこから日本酒の沼にはまっちゃいましたね(笑)。だから売るよりも、つくる方に興味があって、社長でもあり、杜氏でもあるというかたちになっています。」

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飯田さん
「長野県って小さい蔵元が多くて、地元の人に飲まれる機会が多い県外から見ると特殊な県だと思うんですよね。ただ、その代わり県外に打ち出すのがあまり得意ではない一面もあって。長い目で見たときに、酒蔵として生き残って、酒造りを継続させるために県外や海外にも視野を広げることは意識しています。」

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飯田さん
「戦時中に日本酒をつくってはいけないというお触れがあったんですが、そのときに果実酒製造の免許をとって軍に納めることにしていたんです。そして、戦後もその免許は継続。果実酒の製造を行う体制をつくり続けてきました。実は、僕はワインの方にも興味があって。でも、せっかくりんご栽培が盛んな地域だから、ぶどうではなくてりんごの発泡性ワイン、シードルを製造しようと思ったんです。シードルにチャレンジすることで得た知見を、日本酒にFBできたらいいなと考えています。」

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飯田さん
「西飯田酒造は、酵母と米の組み合わせが多く、花酵母という天然酵母を全ての種類に使用しているのが特徴です。果実の発酵って意外とシンプルで、果汁の糖分を酵母が食べて、アルコール発酵するというかたち。そこに花酵母を使用しています。」

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飯田さん
「今は、若い世代にとっても、日本酒は敷居が高いものではないんだぞと伝えていきたいですね。アルコール飲料を飲まない若者が増えているので、例えば気軽にシードルから入って、そのうち日本酒の世界に辿りついてもらったらいいなと思います。幅広い世代に興味をもってもらうために個性的なお酒をつくっていきたいです。」

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復興への希望も込めて……ハードサイダープロジェクトに関わる28歳りんご農家の想い

スタジオでは、ハードサイダーに関するトークが展開。長野県出身のAKB48チーム8髙橋彩香さんは「未成年なので、まだお酒は飲めないんですけど、もし飲めるようになったときはシードルだったら敷居が低くてチャレンジしやすそう」とコメント。
柿次郎さんは「ハードサイダーの聖地・アメリカのポートランドに行ったことがあって。そこから興味があってよく飲むようにしています。甘さが控えめでドライな飲み口なので、どんな食事に合わせるかって考えると、展開が広がるかもしれないですね」とのこと。

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そして実は、このハードサイダー、長野県を元気にしようというプロジェクトの一環なんです。県内の酒蔵や製造業のメーカー、映像制作会社の若いスタッフが手を結び、新規就農・酒蔵・飲食店を後押しできる魅力的な商品づくりをしたいという想いからスタートしました。

そして、ハードサイダーづくりに欠かせないりんご。ハードサイダープロジェクトで使用しているのは、2019年10月の台風19号で被害を受けたエリアのひとつ、赤沼産のりんごです。このりんごを生産しているのは、徳永虎千代さん28歳。長野市赤沼地域でフルプロ農園を経営しています。もともとこの地域は高齢化や市場の低迷が重なって耕作放棄地が増えていたところ、地元を活性化したいと5年前に立ち上げました。

そんな徳永虎千代さんに話を伺ってきました。

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徳永さん
「りんご生産者になったのは5年前。この地域を担っていくために、辞めてしまう農家さんから畑の土地を借りていきながら、徐々に農地が広くなっていきました。」

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徳永さん
「フルプロ農園も徐々に軌道に乗ってきたところ、台風19号で農園の90%近くが被災してしまって。50トン近いりんごを廃棄しなくてはいけない状況になりました。何百件、何千件と送ることができるはずだったお客様に届けられない現実を突きつけられました。」

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徳永さん
「さすがにこれから商売にならないのは明らか。『この事業も閉じないといけないのか……』と一瞬頭によぎりましたね。それでも頑張ろうと思ったのは、多くの方が助けに駆けつけてくれましたし、応援の声が届いたから。そこで、復興もしていきたいという気持ちになりました。災害に遭って後ろ向きなことばかりではなくて、明るい話題もあると教えてくれた方もたくさんいたので、それが希望になって今も活動できています。」

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徳永さん
「どうしても災害の爪痕は残っているんですが、今年からやっと多くのお客様にりんごを届けることができて、嬉しいお声もいただくことができています。フルプロ農園メンバー一同、張り切って活動しています!」

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徳永さん
「若い力でどんどん活動を拡げて復興も推し進めていきたいという想いはあるんですけど、この力を私たちの農園だけではなく、他の農園さんも含めて農村全体が盛り上がっていく必要も絶対あるはず。そんな地域全体を盛り上げていく活動の一環として、今回のハードサイダープロジェクトに参加させてもらっています。」

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徳永さん
「酒蔵とりんご農家の掛け合わせって今までなかったことだと思うんです。フルプロ農園だけでハードサイダープロジェクトを拡げていくのではなくて、私たちが先進モデルとなって、チャレンジしたいと思う酒蔵や農家の方々が増えて、6次産業化が拡がれば県内としてもいい展開になるのではないかと思っています。」

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スタジオには、出来たてホヤホヤのハードサイダーが登場

徳永さんのお話を聞いたあとのスタジオでは、長野県出身の声優・新田恵海さんが、「自分たちが大切にしているものをつなげて地域の未来をつくっていこうとする姿勢に感動しました」と、コメント。
そして、徳永さんと知り合いだという柿次郎さんは「徳永さんは台風19号の直後にクラウドファンディングを立ち上げていたんですが、こうして商品をつくっておくと、今後また台風が起きかねない状況の中で再度クラウドファンディングを立ち上げたときにも、リターン商品として用意できるので良いと思います……何か、今日の僕、専門家みたいな話し方ですね(笑)」と、話しました。

スタジオでは、出来たてホヤホヤの発売前のハードサイダーも用意。4種類のラインナップで3月末の販売を予定しています。使用されているりんごは、「シナノスイート」「シナノゴールド」「フジ」。各種450本限定、375ml瓶、660円(税込)の予定です。

YouTube Liveのコメントでも「ハードサイダー飲みたいです!」「凄い……信州に行ったら絶対ハードサイダー飲んで協力します!」など、ハードサイダープロジェクトに共感する多くのコメントが寄せられました。

次回のnote更新は、1月25日(月)の予定です。

どうぞお楽しみに!




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