【木祖】木曽アート・ダンス留学の終着点
今年3月から始まった、武井琴さんの木祖滞在が10月25日をもって終了となりました。
▲少し、街より寒いでしょうか。紅葉が進んでいます。
小雨の降るなか「藤屋レジデンス」にて振り返り会を行いました。滞在の拠点となった薮原宿には今、各所に作品が展示されています。武井さんもコマ撮り映像の展示で参加された「木曽ペインティングス」の出展作品たちです。
▲夏のワークショップ前には獅子のお面の張り子をひたすら作っていた台所
滞在を終えてみて感想を、武井さんに伺うと「本当に良い経験だった!」と柔らかな笑顔で答えられました。続いて、こんな言葉が返ってきました。
それまで、一人で作品を作って発表するということを繰り返してきたばかりだったけれど、今回木祖に滞在する中で、同年代のアーティストに関わる機会がたくさんあり、彼らの生き方を見て「肩の荷がおりた」とのこと。
アーティストが”ある地域”に滞在すること。
それは、ただ作品を作り発表することが目的ではなく、その地域に関わり、彼らの目線で観察することで、住人にはただの生活の場でしかない土地が、実はとても価値のあるものであることを発見できたりする。
その発見が、十分アーティスト活動になるのだと気付いたそうです。
そして、その活動の拠点として木祖村が新たに加わったことも大きな成果の一つであるとおっしゃっていました。
ここに来れば、この人たちがいる。あそこに行けば、何ができる。拠点が増えることで、自分のできることの幅も広がってゆくのだと。あとは単純に「帰れる場所」が増えたということが嬉しいとお話しされていました。
NOAコーディネーターとして、大きな気付きであったことは「アーティストが住んでいる場所と滞在する場所の関係性も大事」だということ。
長野県というと、自然が豊かで「田舎」であるという先入観がありますが武井さん曰くお住まいの地域はもっと山奥で、街に降りない限り人に会うこともあまりないほどだそうです。
木祖に来ると人にたくさん出会うとのこと。軽井沢に滞在されていた渡邉さんも同じことをおっしゃっていたようです。
確かに、東京や大阪から比べたら木祖はだいぶ山奥で、人口密度の低い地域ですが、さらに人里離れた土地というのはあるでしょう。どこで「滞在制作」をするのかというのは、もともと住んでいる地域も深く関係するのだと感じました。
▲藤屋レジデンス、お世話になりました!コーディネーターとともに。
さて、振り返り会を終えてから作品展示を見に行きます。
向畑(むけばた)という場所に立つ、元々は土蔵である建物使用した展示場です。2階の天井の低いお部屋にありました。
▲入り口には「きそきそ円舞曲」の可愛らしいロケ地マップが。
▲衣裳とともに、夏のワークショップで子どもたちが作ったお面が展示されています。当日の子どもたち、とても賑やかでよい時間でした。
ほのぼのとした音楽とともに可愛らしいコマ撮り映像が流れていました。建物の雰囲気、周囲のお家や景色の中で、のどかな良い空間となっていました。
4回にわたって行われた滞在の中で得られた学びや発見とともに、武井さんのアーティスト活動はこの先も色々な場所で続いていきます!
(文・村上 梓)