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【軽井沢】倒立と四足歩行の研究〜振り返る編〜」

今回でNAGANO ORGANIC AIR(以下、NOA)軽井沢滞在は全日程終了でした。

24日の夜。渡邉尚さんと儀保桜子さん、「油や」の斎藤尚宏さんと祐子さん、進行役の野村政之さん(NOAコーディネーター)でNOA軽井沢を振り返りました。その様子を少しお届けします。

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<タイムリー>

野村さんからはじめに、「NAGANO ORGANIC AIRはどうだったか?」と聞かれた渡邉さんは「最高」の一言!毎日のように儀保さんと「心から来て良かった。」とお話しされていたようです。

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NOA軽井沢のオファーはまさにタイムリーだったそう。渡邉さんは海外公演が多かったのですがパンデミックによって海外公演は全て無くなりました。沖縄の田舎で倒立の練習とオンラインレッスンの日々、アートに触れてなかったとのこと。今年の末まで公演の機会が無いところにこの企画のオファーが来たそうです。

実は渡邉さんは当初、この企画を断るつもりでいたそうです。舞台に興味もなく作品創りたくもない状態で参加するのは気が引けていたとのこと。しかし野村さんの「作品を創らなくてもいい。」という一言があって「じゃあ、四足歩行の練習でもしよう」と軽い気持ちで、企画の参加を決めたそうです。


<行き止まりからのスタート>

5月の頃は「修験道に行こう」「山を登ろう」と話していましたが、生憎の天気で屋外の撮影はほとんどできず・・・。「どうしよう?」と行き止まりのスタートでした。

屋内でどこか撮影できないかと悩んでいたところに、NOA運営より”美術館”の撮影の提案が!早速軽井沢ニューアートミュージアムを訪れ、「美術館で撮影しよう。」となったのです。

天候の関係もあったけれど、自然のままに流れるように進んでいった先には、小海町高原美術館ではスズキコージさんの展覧会、軽井沢ニューアートミュージアムのロナルド・ヴェンチューラ展との出会い。さらに美術館になったことで色々な挑戦をしたそうです。


衣裳を手掛けている儀保さんにとって今回は「衣裳の新境地」だったそう。フォーマル感を出しつつもしっぽが付いていて、動くと良い感じにアクセントに。「今までは野生人のような衣裳だったが、山から美術館のように野生人から社会人になった。」と話してくれました。

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また、渡邉さんは「ジャグラーとしていつもはボールを持っていたが、初めてボールを持たなかった。」と話してくれました。ボールを手放して身体一つで挑んだそうです。

「いろいろなところでレジデンスを経験したが、ここまでよい意味で放置プレイなレジデンスは無かった。そのおかげでプレッシャーもなく”やりたい”という気持ちが消されずに育っていった。」と渡邉さん。「オープンな対応だけどサポートが厚かった。」と儀保さん。”やりたい”が実って挑戦していただき、この話を聞いて、私たち側としてもこの”NOA”を実感できました。


<「油や」という場所>

「油や」をはじめとする軽井沢という土地についても話しました。

渡邉さんたちは「余計な情報量が無い。常に空気は爽やかで、油やの部屋は倒立をするにも読書をするにも集中できる。」と。1回目の5月の滞在が終わった後に、沖縄のご自宅で油やを再現しようと荷物を捨てたそうです。この軽井沢の滞在は生活が崩れず、作品に生活が持ってこれたのが良かったとのこと。

それに関して斎藤祐子さんは「油やが、土地が、人を呼んでいる。風水的にも落ち着く場所であるが、自然の厳しさもある。白いキャンパスを好む人に良い場所だと思う。また、ここが元々宿場であること。生活が繋いでいる”人の道”だったのも関係しているのかもしれない。」と。

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また斎藤尚宏さんは「ここは元々旅館だった。どう有効活用するか考えていたがアーティスト・イン・レジデンスの場にすることにした。今回渡邉さんたちが滞在したことで油やとして一つ進化できた。NOA軽井沢に合っていたと思う。今後もぜひ使って欲しい。」と話していた。

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<生活とアート>

先程も書きましたが、渡邉さんたちは「作品に生活を持ってこれた。」と話していました。

パンデミックで仕事が無くなり、どうアーティストとして生きていくか。渡邉さんたち以外の多くのアーティストたちもそれについて悩んでいると思います。

ビジネスとしてオンラインレッスンを始め、「その上で何がやりたかったのか?」渡邉さんは本当はもっと(倒立の)練習したかったと気付いたそうです。自分の生活を大事にしていくこと。「生活」を研究していくこと。そこから生まれる創作意欲だったり発見だったり。今回のNOA軽井沢では生活とアートとの良い距離感を見つけられ、人生的に色々な学びがあったと話してくれました。そして、今回のように色々なアーティストに出会ったことが刺激となったようで、人との出会いは人を豊かにするのかなと思いました。

そして、渡邉さんにとって”四足歩行”はアートと関係なく子供の頃からやっていたそう。ある意味”生活”の一部になっていたんだと思います。そして今回で「”四足歩行”を復活させてもらった」と笑顔で話されていました。

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<最後に>

NOA軽井沢は終わリますが、またいつか渡邉さん・儀保さんと油やさん、軽井沢でできた繋がりが今後も続いて欲しいです。その時はどんなことが起きるか今からワクワクです!

その時まで、また。

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(文:石坂杏子)

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