明治時代の東京、その片隅で起きた「ミラクルニュース」
甲「気をつけやがれ、間抜けめ! どこに目を付けてやがるんだ!」
乙「ぶつかってきたのはお前だろ! お前が気をつけろや!」
人力車同士の衝突事故で、車夫と車夫が激しい口論を繰り広げている。
それぞれの車に乗っていた客も、立ち往生させられ、ほとほと弱ってしまった。
男は「おい、もういいじゃないか」と、若い車夫を止める。
もう片方の乗客である女も、車夫をなだめている。
ふと、お互いの客が顔を見合わせた。
男「あれっ、お前は妹の お留じゃないか!」
女「そういうあなたは、兄さん!」
生き別れた兄妹が、10年ぶりに、交通事故をきっかけに出会った。
奇跡の再会のテンションに押され、車夫どうしのケンカは掻き消されてしまったとさ。
めでたしめでたし。
それにしても、
こんなプライベートな話題が新聞記事になる時代って、じつに素朴ですね。
ニュースバリューというものの基準が、今よりも格段に緩かったんでしょう。
地方紙でも、同様の話が記事として採り上げられることは、なかなか無いでしょうし。
ただ、ほのぼの癒やし系の記事で知られる「ミニ事件簿」の大分合同新聞だったら、ひょっとすると有り得そうだが……?
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