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五つ目の話題「『まぁいいか』って言えないことって何?」

大人になっていくにつれて、『まぁいいか』とよく言うようになりました。
私の頭の中の男子高校生2人が、今日はその言葉について語っているようです…💭


「あ、外れた。まぁいっか」
「一生懸命石貯めてたのにね」
「そーだよー!でも不思議と当たらなくてもそんなに気になんないんだよね」
「貯めてた頃は『当たらなかったら泣く!』って言ってたのに」
「うん。でも今回は推しじゃないけど強いキャラ当たったからなのかも」
「何も当たらなかったら気にしてた?」
「多分。めちゃくちゃ悔しかったと思う、ゲームに掛けた俺の努力と時間返せー!ってなってたかも」
願っていたものが手に入らなくても、別の価値を持ったものが手に入ったら願ったものはどうでも良くなる。
それは何となくほとんどの人がそうなんじゃないかと俺も思う。
「でもさぁ、たま~に『まぁいいか』って言えない時ない?」
「例えばどんな時?」
「……テストの点数とか?」
「俺は赤点じゃなければ『まぁいいか』って言うと思う」
「あ~、確かに。ヨウちゃんはそうだね」
「うん」
「あとは何だろう?告白して振られた時とか?いや、その答え俺ら持ってないか」
「そうだね。告白したことが無いから」
「う~ん。じゃあ『まぁいいか』って言えないことって何だと思う?」
シロの疑問に答えるため俺は具体的な状況を思い浮かべる。
〝無いかも〟なんて事はなく、あっさりと俺の中では答えが出た。
ただ今日はどう伝えていいのかが分からない。
だって俺の答えは『シロがいなくなってしまった時』だから。
それを願いながらも今を生きてるシロに、俺はなんて伝えたらいいんだろう。
「……ヨウちゃん?難しかった??」
「あるよ、あるんだけど」
「うん」
「なんていうか、上手く言葉にできない」
「珍しい。そんなに大切な事なんだ」
「大切な事……」
こんないつも通りの会話の中で、俺は俺自身がシロをどれだけ大切に思ってるのかを確認させられる。
「ヨウちゃんの答え難しいなら聞けなくても『まぁいいや』なんだけど、もし言える日が来たら教えてね?」
「それは『まぁいいや』なのかな?」
「そっか、結局答え聞こうとしてるや」
「俺思うんだけどさ、」
「うん?」
「自分のことは『まぁいいや』って言えたり、関係性の薄い相手には同じく言えると思うんだ。」
「うんうん」
「でも、大切な人相手には突き詰めると何も『まぁいいや』ってならないんじゃないかな?今のシロみたいに。」
「なるほど」
相手が無理をするなら『まぁいいや』ってその時は言ってしまうんだと思う。
でも最後にはその心を知りたいと思うし、もしも生きることを諦めようとしているなら口では否定出来なくても絶対に『まぁいいや』と思えるはずがない。
俺自身がそれをよく知っている。
「確かに。ヨウちゃんの事で『まぁいいや』ってなる事ないかも。くだらない事でも」
「くだらない事って」
「ごめんごめん。でもヨウちゃんが思ってるどんな小さな事も俺はきっと知りたいと思っちゃうのよ」
自信満々にそんな事を言うシロの目を、俺は見れなかった。
恥ずかしいような、嬉しすぎるような……とにかく体が熱くて仕方ない。
「お?もしやヨウちゃん照れてる?」
「どうしてシロは照れてないんだよ」
「照れないよ、ほんとの事だもん」
「……まぁ、俺も同じだから分かるけど」
「ほんと??嬉しいなぁそれは」
嬉しさを表現しているのか、シロはスキップし始めた。
こういう感情に素直なところが、俺は凄く良いと思う。
何も『まぁいいや』と言えないほどに、お互いを大切に思い合える。
こんな時間がずっと続けばいいと思う。

~続く~
⇒六つ目の話題「好きって何?」

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