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税制課の職員さんは申し訳なさげにナンバープレートを差し出す
試乗もせずその場の勢いで買います、となったスーパーカブC125。こちらへどうぞ、とカウンターへ案内されたものの、所持金は750円。うっかり契約しないようにわざとハンコとお金を持ってこなかったのです。
それなのに。やっちまいました。
これには店員さんも呆れてましたが私の顔を見て、お話させていただいた様子を見ると決めたお日にちにはお金を持ってきていただけると思うので契約して車体を押さえてしまいましょう、という流れになりました。
私も明日の月曜日にはお金を用意できるので午後にはお持ちしますと約束しました。
ではお世話になります、といただいた名刺には『店長』とありました。
こういう組織だと接客が主なんだろうな。どおりで営業がうまい訳だ…。
そして細かい金額を詰め、売買金額を確定しました。その際自賠責は何年にしますか?と聞かれ2年でお願いします、と言うと
「えっ、お客さん大事にしそうだから5年にしなくていいですか?」と。
あら、そんな風に思ってくださってたなんてとうれしくなりましたが、元来の私は飽きっぽいのでそんな先の約束はできません。とりあえず2年で、と再度お願いしました。
その間、ナンバーを取るための書類(名前忘れた)を別のお若い店員さんが手書きで作成してくださったのですが、とてもきれいな字で見た目とのギャップに驚いてしまいました。出来上がった書類を見てとても字がお上手なんですね、と思わず言葉に出てしまいました。
これなら市役所で好感度UPです。自筆じゃないけど。
こうして契約ーお金がまだなので(仮)を結んで帰宅しました。
家では夫にびっくりされ、お、俺はカブには乗らないぞ、と言われました。いや、乗って欲しいとは言ってない。
次の日。カブのナンバーを取りに市役所へ行きました。以前ライブディオのナンバーも私が取りに行ったので書類があれば要領はわかっていました。
まっすぐ税制課の窓口に行って受付で原付のナンバーを取りたいのですがと係の方に取り次いでいただきました。その係の方にバイク屋さんから預かった書類を渡して待つと、少しバツが悪そうにナンバープレートを見せてくださいました。
思わず笑ってしまいました。一般的には嫌われてるけど私にとっては縁が深い番号が入っていたからです。ああ、このカブとは本当にご縁があったんだ、と思いました。
係の方はなにか気まずそうに、すみませんこれちょっと数字が悪くて、とおっしゃいます。他の方にとって縁起の悪い数字でも私にとってはラッキーナンバーですからと言ってナンバープレートをいただきました。
でもライブディオの時も係の方がこんな風にきまりが悪そうにしてたなぁ、てなことを思い出して「これもし替えてくれって言ったら取り替えてくださるんですか?」と聞いてみました。
無言の笑顔だけ返ってました。
こちらも聞かなかったことにしました。
こうしてナンバーをもらい、近くのATMでお金の準備をしてようやくお店に。なんとなくいきなり行ったら悪いと思って今から行きますと電話を入れると「あ、カブの人ですね」と言われました。
その称号は早い。なんかむずがゆい。
そしてやっとお店でお金を払い、晴れて正式に契約成立しました。
あとは納車ねぐふふと思ったら先の店長さんから暗い声で言われました。
「あの…お急ぎですか?」
そりゃ早く乗りたいから急いでると言えばそうなのですが、店長さんはそういう意味で聞いておられるのではなさそうです。なので、いいえ、仕事で使う訳ではありませんし、家にはスクーターがありますから、とマダムの微笑みで答えました。
すると
「申し訳ありません。実は今、当店はお客さんのような納車待ちの方が他にもおられてみなさんにお待ちいただいているんです。こうでなかったら原付なので納車までそんなにお時間は掛からないのですが…。そういった訳で納車日は未定ということで…。」
はああ?!
声に出る言葉は飲み込めましたが目と表情はごまかしきれませんでした。
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