3人のプロポーズ
○高級イタリアンレストラン
高級感が漂う店内
向かい合わせに座る結木瑠夏(30)と秋浜
龍之介(33)。
龍之介「るーちゃん。今日は何の日かわか
る?」
瑠夏「うん。付き合って3年記念でしょ」
龍之介「じゃあもう一つに記念に・・・」
龍之介、胸ポケットから結婚指輪を出し、
瑠夏に見せる。
龍之介「るーちゃん。僕と結婚してくださ
い」
瑠夏「こんな私で良ければ喜んで」
龍之介「ウッ(悶絶)」
瑠夏「りゅうちゃん。大丈夫?」
顔を上げると、急に凛々しい顔になる。
龍之介「瑠夏、お前今日なんの日か知ってる
か?」
瑠夏「りゅう・・・もしかして文哉」
文哉「何だ瑠夏。記念日に浮かれすぎて誰か
わかんなくなったのか?ああん?」
瑠夏「まさか、そんな訳じゃない」
文哉「まぁいい。今日は、付き合って2年記
念だ。その記念に」
瑠夏「え?待って文哉」
文哉、スーツの内ポケットから結婚指輪の
ケースを出し、瑠夏に結婚指輪を見せる。
文哉「お前、俺の妻になれ」
瑠夏「え?え?え~!!」
文哉「(ウッ)」
瑠夏「文哉。大丈夫?」
ディエゴ「(イタリア語で)瑠夏、今日は何
の日か知ってる?」
瑠夏「今度はディエゴね。あなたとは付き合って1年になるわね」
ディエゴ「そう。だから」
ディエゴ、内ポケットから結婚指輪のケー
スを取り出し瑠夏に指輪を見せる。
瑠夏「え?ディエゴ?」
ディエゴ「ボクは、今までいろんな女性と付
き合って来たが、君のような天使は初めて
だ。僕と一緒にイタリアで住まないか?」
瑠夏「ちょっと待って。ディエゴ本気?」
ディエゴ「もちろん本気さ」
瑠夏「まさか、多重人格の彼氏の全人格にプ
ロポーズされるとはね。この場合どうすれ
ばいいんだ?」
龍之介「おいお前ら。るーちゃんはオレの彼 女だ。勝手にプロポーズするんじゃねえ」
文哉「ああん。何寝ぼけたこと言ってん
だ。瑠夏は俺の女だ。雑魚は引っ込んで
な」
ディエゴ「(イタリア語)2人とも、何か勘
違いしてる。瑠夏は俺の女だ」
龍之介「さっきから何言ってるかわかんねえ
だよ」
ディエゴ「ジゴクニオチナサイ」
龍之介「なんだとコノヤロウ!」
瑠夏「キャラが渋滞している。どうしよ
う。あっそうだ」
口論する3人。
瑠夏「あの・・・」
瑠夏の一言で静かになる。
瑠夏「3人のプロポーズ受け入れます。りゅ
ーちゃんは頭がいいし。文ちゃんは漢気あ
る。ディエゴは、力があって男らしい。ど
ちらも大切の人だから1人は選べない。だけどいま、1つの体に3人いるわけじゃん。だから、みんなで暮らさない?」
龍之介の体がモゾモゾする。
龍之介「るーちゃんならそういうと思った
よ。3人で暮らそう」
瑠夏「ふつつかな者ですが、よろしくお願い
します」
了
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