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聴覚分野に入りたてのSTさんへ

どうも!!!
長洲ヒアリングのみやたです!!!
耳鼻咽喉科で聴力検査の業務に就きながら、ずっと目標だった補聴器販売店を立ち上げて3年目を迎えました!!!

さて、今回は前回の続きで「聴覚分野に入りたてのSTさんへ」というテーマで「こんなことをすると良いよ!」と自身の経験からお伝えしていきます。

①    聴覚分野で働き始めたらこれをしよう!

聴覚分野へ飛び込んだものの何をすればいいのかわからないのは、新人の皆さんでは当たり前の事です。自分自身も初めの内は右も左もわからず、先々に不安を感じる日々を過ごしていました。

念願の聴覚分野、わからないなりにも日々の業務は刺激的で楽しい事ばかりでした。とにかく毎日のように聴力検査や聴覚障害の参考書を読み、その日のケースと照らし合わせながら理解を深めていきました。

例えば、聴力検査の結果に気導と骨導の差がある場合(A-Bgap)、「どの難聴の種類か」「症状はどんなものか」「他に行う補助検査には何があるか」といった関連する事柄を繋げていきました。自身で体験した事を、まだ記憶に残っているうちに復習をする、そしてまた同じようなケースの場合にはその時の復習を活かせるように検査に臨んでいました。これも言うなれば「基礎を固める」ことと同じで、そこから応用に変えていく事が大切です。

聴力検査でいう基礎を固めるというのは、「説明を行い理解してもらう、そして閾値を探っていく」という事です。よくある質問に「マスキングの量を教えてください」「閾値の探り方を教えてください」という内容がありますが、実はもっと大事な事がたくさんあります。前述のように検査を受ける方へ検査の説明をすることやそれを理解してもらうこと、これが出来ないと聴力検査は始まりません。

また、オージオメーターに異常は無いか、ヘッドホンから左右差の無い音がちゃんと出ているか、ヘッドホンの当て方はきちんとしているかという、あまり気にされていない事が、閾値を探る上でとても重要なポイントになります。

基礎が固まっていない時期はとにかくやる事!
患者さんではなく自身の耳や、同僚に協力してもらい、とにかくオージオメーターを触る事、そして説明が滞りなくできるようになってください。使い方がわからない、何を説明すればいいかわからないなどの課題は、実際に自分が行った数だけ自信に繋がるのは間違いありません。私自身、初めの内は機械をたくさん触り、どんな説明が良いのかをノートに書いたりしました。今読み返してみると、現在の説明文とは異なる内容なので、少しずつ自分の中で説明しやすい文、そして理解されやすい文に自然と変えていったのだと思います。

相手は人間なので、だれにでも同じような対応では上手くいかない事も多くあります。こんな方にはこんな対応が良いかもといった応用は、基礎ができて初めて身につくと思いますので、どんどん機械を触ったり、参考書などを使ってその日の復習を行ってください!

②    こんなこともできたら面白いよ!


聴覚は感覚であり、実際に目に見えないので、言葉で言ってもわかりにくい事が多くあります。例えば、MCL(快適なレベル)やUCL(不快なレベル)といった、個人によっても変わるものは早速自分の耳で調べてみてください。音の高さによっても変わりますし、左右の耳でも感じ方は異なります。特にUCLといった不快を感じるレベルでは、自分が感じた不快感を思い出し、患者さんもその不快なレベルに晒されている事を忘れてはいけません。これはマスキングレベルにも繋がる話ですが、大きな音は不快に感じる場合も少なくありません。自分が体験した事を糧にして、慎重に検査を行うことも意識してくださいね。

また、耳栓を付けた状態ヘッドホンをずらした状態で聴力を測定したり、一見ふざけているように思える事でも、ほんのちょっとした事で検査結果への影響を知ることができます。自分の考えつく限りの事は色々と試してみてください!

これまで聴力検査について主にお伝えしてきましたが、補聴器や人工内耳などにも同じような事が当てはまると思います。今、自身の置かれている環境で何ができるのかはあなた次第で大きく変わるので様々な視点から物事を考えていきましょうね!

― 聴覚STからのワンポイントアドバイス! ―
正しい検査方法だけでなく、あえてNGパターンを多く体験し、結果への影響を含めて理解しておくことも大切。

③    こんな聴覚系STになってほしい

私の行う業務は、オージオメーターなどを使用した聴力検査全般と補聴器に関わる業務です。その中で感じた事ですが、初めて検査を受ける方や初めて補聴器の相談に来られた方は基本的に緊張されています。その緊張の度合いは、人によって異なりますが、緊張が目に見えてわかる人、あまり緊張を出さない人(応答用スイッチが汗でびっしょりなど)、自分から「緊張する!」と言う人など様々です。見た感じ緊張していないから大丈夫、ではなく緊張しているだろうと想像し、少しでも緊張を解くことができるような対応を心がけて欲しいと思います。

患者さんの病態も他の分野とは違い、入院の方へのリハビリではなく基本的には、日常生活できこえについての困りがある方がほとんどです。どんな状態で、どんな困り事があるのかといった内容を、いかに単なる会話をしているように振舞いつつ、必要な情報収集が行えるかが重要です。

きこえに関わるSTさんには、きこえにくさで生じる不便を少しでも改善できるよう、色々な引き出しを持てるように、そしてその人の聞こえに携わる良きパートナーになってほしいと思います。これは聴力検査というよりかは、補聴器や人工内耳に携わるSTさんに言える事かもしれませんね!これからもともに聴覚に関わる問題を一人でも多く、そして少しでも改善できるようなSTを目指していきましょう!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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国内外11人の言語聴覚士を中心に執筆。このmagazineを購読すると、言語聴覚士の専門領域(嚥下、失語、小児、聴覚、吃音など)に関する記事や、言語聴覚士の関連学会に関する記事を読むことができます。皆さんからの体験談など、様々な記事も集めて、養成校で学生に読んでもらえるような本にすることが目標の一つです。

国内外の多くの言語聴覚士で執筆しているので、言語聴覚士が関わる幅広い領域についての記事を提供することが実現しました。卒前卒後の継続した学習…

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