見出し画像

神様の裸なら、みんな安心

 マネの『オランピア』(1863年)には裸婦が描かれている。  
 発表当時、この絵はすごい騒ぎになった。それまでにも、ボッティチェッリ『春』(1482年頃)のように女性が肌を露出した絵はあったんだけど、そこに描かれていたのは女性ではなくて、女神だった。
 描かれているのが神様の裸なら、みんな安心して見ていたんだけど、街中の普通の女の子をそのまま裸にして描いた絵には、激しい非難を浴びせた。
 神様の裸も、普通の女の子の裸も、どちらも女の人の裸であることには変わりなく、それにどちらも昔の絵画としてしか、わたしには見ることができない。
 わたしは絵の専門学校に通っていたときに、ヌードデッサンの授業であって、モデルさんがやってきて、裸になって、それをみんなで囲んでデッサンをやった。
 女の人も、男の人も、1回ずつ来た。
 ヌードデッサンをしている最中、クラスメイトたちは、ずっと静かだった。
 当時のわたしが、ヌードデッサン中になにを考えていたのかは正確に思い出すことはできないけど、目の前にヌードモデルがいて、デッサンをしている自分とクラスメイトたち、という光景は覚えている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?