キースムーンはドラムを叩くときにヘッドフォンがずれないように頭にテープみたいのを巻いていたのだとおもう、多分

　ローリングストーンズが、昔の映像だ、けっこう７０年代ぐらいだとおもう、格好とか、雰囲気とか、観客の人たちは黄色とか水色のカッパみたいのを着ている、それで、サーカスの舞台みたいな場所で、演奏して歌っている。
　君が欲しいものはそう簡単には手に入らないぜ、だけど頑張れば手に入るかもね、俺は君のために薬を買う列に並ぶぜ、みたいな歌詞が、歌っているぴたぴたの服を着たミックジャガーの下に出てくる。見ている女の人たちは、大好き大好き、が全身からにじみ出ていて、黄色いカッパはなぜ着ているのだろう。
　その動画の最後に、ジョンレノンみたいな人の横顔が、観客の中に一瞬映って、あれ、ジョンレノンじゃない、とおもったら違う動画になって、確認できなかった。
　それで、多分同じ舞台、サーカスみたいな場所で、今度はザフーが演奏し歌う映像。最初、みんなでアカペラで歌う。ザフーのはなぜか日本語訳の歌詞が下に出ない。英語で出てくる。観客はやっぱり黄色いカッパを着ていて、座っている。
　ザフーはフーアーユーのビデオが好きでたまに観る。みんな楽しそう。途中、キースムーンとピートタウンゼントがふざけたりする。前髪を気にしたりする。ロジャーダルトリーの最初からぐわっと声が出るところも気持ちいい。
　映像は昔のでも、今はきれいに見れるので、今見ている、という感じがする。
　それで、ブルーハーツがテレビで演奏している、１９８７年１２月３０日の映像、録画したのを誰かがアップしたのかな、リンダリンダを歌って、１９８７年に、わたしは５歳だった。５歳で、１２月３０日はなにをしていただろう。家でゆっくりしていただろうか。そんな中、甲本ヒロトは、飛び跳ねながらテレビでリンダリンダを歌っていた。
　情熱の薔薇、テレビＣМで流れていたこともある、有名な曲だ。サビは聴いたことがあった。他のとこの歌詞も、聴いたことはあっただろうけど、忘れていたわけでもないけど、改めて聴いて、

「見てきたものや聞いた事　いままで覚えた全部
　でたらめだったら面白い　そんな気持ち分かるでしょう」

　ここの部分、そんな気持ち分かるでしょう、と言われて、分かる！　とわたしはおもって、そうしたら、急にその分かる！　という気持ちが、分からない人もなかにはいるでしょう、だけど、分かるでしょう、ともう言い切ってしまおう、問いかけてみよう、だって分かる人もいるんだから、分かるか分からないかが問題じゃないけど、ここはもう、そう歌う、歌うって決めた、って感じがして、ぜんぜん違うかもしれない、というか違うだろうけど、わたしは、自分が５歳ぐらいのときに、そうやって歌っている、演奏している、歌詞を書いて曲を書いて、ありがとうございます、という気持ちがした。