多分踊っている

 ドーナツが食べたい、と階段をのぼりながら娘が言う。階段のすぐ脇にドーナツ屋があり、その隣はパン屋で、クロワッサンも食べたい、と娘が続けるので、どちらかひとつね、とわたしは言う。
 絵は息子の幼稚園の年長さん全員、あと他の幼稚園や保育園の子のも飾られていていて、探して、見つけて、写真を撮る。
 2階にはフードコートがある。
 息子はフライドポテト、娘はうどん。フライドポテトは少々お時間かかりますとブザーを渡され、少し離れたうどん屋の列に並ぶ。
 並んでいたらブザーが鳴って、娘にフライドポテトを取りにいってもらい、うどん屋のメニューの横には、人手が足りないのでテイクアウトはお休みします、と書いてある。注文を立て続けに言う客に、覚えられないのでいったんやめてください、と店員は言った。
 うどんのお盆を持ち、フライドポテトを受け取った娘と息子が座る席に向かう。壁がガラス張りで、駐車場や空や道路が見える。フードコートの店から遠い席なので、いつも空いている。娘は、外が見えて明るいこの席がお気に入りだ。
 
 ドーナツ屋の列に並んでいて、ショーケースの奥に厨房が見えて、ドーナツを調理している人が、少し踊っているような感じで、体をゆすっていて、多分踊っている。ドリンクを作っていた人が、笑いながら隣にいる人と話している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?