【コラム】ロードデルレイ〜四半世紀紡いだロードの血脈〜


はじめに

過去に幾度となく名馬を輩出してきた東京18新馬。現3歳世代からも既に多数のスター候補が誕生しているが、1/29にそれら全てを凌駕するパフォーマンスを披露したのがロードデルレイ。

今回の記事では現世代間はもちろん、過去の名馬なども物差しにラップ面の比較を行う。
短い文章なので是非一読頂きたい。



ドゥラドーレス基準

古くから私の記事を読まれている方ならピンときたかもしれないが、東京18新馬の評価軸として自分が多用しているのがドゥラドーレス基準というもの。これは「2歳東京18新馬」「勝ち時計1:48.9以内」「レース上がり34.5以内」という条件から構成されている。
今回取り上げるロードデルレイは1月新馬の勝ち馬という事で、年齢の適用範囲を3歳まで広げて該当したレースの一覧を複数の項目とともに以下に示す。

東京18新馬1:48.9以内かつレース上がり34.5以内


こう見ると大成しなかった馬も多少は混ざっているものの、それでも全体的なラインナップから優秀な水準であるという事実に変わりはない。



基準の価値を押し上げる複合要素


〈上がり時計〉

前章ではドゥラドーレス基準について「優秀な水準であるという事実に変わりはない」という思考放棄とも取られかねない記述をしてしまったが、当然基準該当馬間での優劣を決める要素は多く存在する。

その一つが上がり時計。前述の表でいまいち伸び悩んだ、もしくは現在進行形で伸び悩んでいる馬を見ると、いずれも自身の上がり時計が地味な水準である馬が多い。
対照的に高速上がりを記録した馬を見るとジオグリフ、インダストリア、ドゥラドーレスなどいずれもGIレベルで通用している事が分かる。
ちなみに上がり上位馬は以下の通り。

1位ロードデルレイ(33.2)
2位ジオグリフ(33.3)
3位インダストリア(33.4)
〃  ドゥラドーレス(〃)
〃  ラレーヌデリス(〃)
〃  レッドロワ(〃)

レッドロワは思いのほか伸び悩んでいるものの、その他は現3歳を除いていずれもGIレベルで鎬を削っている面々が並ぶ。

〈風向き〉

また上がり上位馬間での比較で多いに役立つのが直線の風向き。当然同じ数字でも追い風なのか向かい風なのかでその価値は大きく変わる。
上記6頭の中でインダストリア、ジオグリフ、レッドロワの3頭はそれぞれ追い風寄りのバイアスを活かしており、相対的にそれ以外3頭の数字的価値が高くなる。
バイアスの恩恵が無い中で錚々たるメンツを抑えて1位にランクインしているロードデルレイは当然高く評価すべき1頭となる。


〈レース上がりとの差異〉

最後に上がりの価値を評価する上で個人的に最も効果的だと思っているレース上がりとの差異について。これについては昨年のドゥラドーレスのコラムでも用いた手法となる。
記事前半で取り上げた12レースのうち、自身の上がりとレース上がりの間に0.5秒以上差異があったのは以下の4頭。

・ドゥラドーレス(0.9差)
・レッドロワ(0.8差)
・ロードデルレイ(0.6差)
・ドゥラメンテ(0.6差)

ドゥラドーレスのコラムでも述べたが、レース上がりと自身の上がりに乖離が生まれればそれだけ展開的な不利を被ることになり、実際レッドロワとドゥラメンテはそれぞれ初戦を取りこぼしている。
この項目に関しては0.9差を記録しながら直線不利込みで差し切ったドゥラドーレスが他を圧倒しているものの、33秒台のレース上がりを0.6秒上回って後続に4馬身差付けたロードデルレイもその他との比較では1枚抜けた内容と見て問題ない。



あとがき

複合的な要素から、単にドゥラドーレス基準をクリアしただけでなく、それらの中でも極めて優秀な水準を記録しているロードデルレイ。
レディバラード〜レディアーティスト〜デルフィーノとロードホースクラブが四半世紀紡いで来た牝系に、同クラブの最高傑作であるロードカナロアを配合した本馬は、”ロードの血脈”を体現する存在と言えるだろう。
是非とも現3歳世代の混戦を断ち切る活躍を期待したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?