3/20(日)中央競馬

【勝負レース】
・中山9R

【重賞】
・阪神11R(阪神大賞典)
・中山11R(スプリングS)


自信度
S→大勝負したいレース
A→しっかりとした額で勝負したいレース
B→ある程度自信のあるレース
C→ここから普通に買いたいレース
D→余裕があれば買いたいレース



【勝負レース】

中山9R 自信度D

◎⑮タガノパッション
○⑭スパイラルノヴァ

メンバーを見ると、逆瀬川Sで中盤タイトな流れを刻んだルヴァンやブリンカー効果でここ2走テンが強化されての延長となるレッドクレオスがおり、前半からある程度流れる事が想定される。ここは持続戦想定で組み立てたい。
そうなった時にオッズがかなり甘くなっているのがダガノパッションか。この馬で評価したいのは6走前スイートピーSの内容。前半からかなりタイトな流れが刻まれたレースで、1000m通過は58.3とこの時期の牝馬にはかなり厳しい流れ。これ自体は逃げ馬が後続離してのものなのだが、後続馬群も59秒前後では通過しており、やはりタフなレース質だったことがわかる。ダガノパッションはこれを中団後ろから差し切り勝ち。ペースを考えれば展開が向いたのは確かだが、それでもこのラップを馬群で追走して上がり34.3でまとめるのは優秀なパフォーマンス。
同レースは前半5Fが58.3、レース上がり3Fが35.9となっているが、2歳もしくは3歳限定戦において東京18以上で58.9以内かつ35.9以内が記録されたレースは過去に15例しかない。その内訳がキングカメハメハ、コディーノ、ドゥラメンテ×2、ワグネリアン、レイエンダ、マイネルミュトス、ロジャーバローズ、コントレイル、ウインマリリン、パラスアテナ、ボーデン、ジュリアバローズ、ドゥラドーレス、そしてダガノパッションということで、絶対能力がなければ出せない水準という事が分かる。
その後のレースについてだが、オークスは展開利があったとはいえ4着好走。ローズSはどん詰まりで度外視。西宮Sと寿Sは高速上がりが求められて適性とズレるレース。前走はイン前馬場かつコーナー区間速いラップで後方から大外ぶん回しのいかにもな負け方とどれも敗因は明確。
今回は得意の持続戦想定に加え、外差しに傾いている馬場状態で外枠と条件的には絶好の舞台。元の打点を考えてもこのクラスは突破できる水準で、オッズ溜め込んだここで狙い撃つ。
対抗にはスパイラルノヴァを。近走は一貫して高いパフォーマンスを見せている同馬だが、その中で特に評価したいのは3走前。前半から早いラップが刻まれた一戦。ハイペースでテン早→中盤緩む→再加速というラップ推移からも先行勢断然不利のレースで、ここの負け受け凡走組はその後軒並み巻き返し。その中で先行して勝ち切った同馬は破格のパフォーマンス。またここで破ったボーデンは、過去に前述の前半5F58.9以内かつ後半3F35.9以内という基準を東京18で記録しており、条件的には向こうの庭だった一戦。その中で不利展開ながら勝ち切った内容は秀逸で、この走りからも3勝クラスならまだまだ通過点にできる可能性が高い。
ここ2戦は本質的に合わない上がりの競馬でも結果を残しているように絶対能力も高い。そこから得意展開に替わる今回はさらにパフォーマンスを上げる可能性が高く、前述の打点と併せても好走は必至だろう。



【重賞】

阪神11R 自信度D

◎⑥キングオブドラゴン
○⑪ディープボンド

基本的に年に1度しか施行されない特殊条件。過去10年に阪神3000mで行われた競争は12レースあるのだが、長距離戦ということもありそれぞれ前後半ラップなどにはばらつきがある。ただ全体の傾向として、一部の例外を除けば道中で極端なギアチェンジは起こらず、持続的なラップが淡々と刻まれるレースがほとんど。特に後半区間では3Fのトップスピード勝負はもちろん、5Fの後半力勝負になることも稀で、上記の文と重複するが淡々と持続的なペースを刻んでラストまでバテない能力が要求される。
今回断然人気に推されるディープボンドはこの能力を高いレベルで持ち合わせている。昨年の阪神大賞典、天皇賞春も例に漏れず前述の持続戦となっており、ここでの好走は素直に評価できる。また昨年の有馬記念もパンサラッサが作ったペースでこれに近い能力が要求されており、やはり持続戦においては現役トップクラスの存在である事がわかるだろう。状態面についても、叩きなのか疑うぐらいには中間時計を出しており、ほぼ間違いなく走れる状態にはあると考えて問題ない。
こうなると今回出走の既存勢力では逆転がほぼほぼ不可能となる。負かすとしたら新興勢力。
唯一その可能性があるとすれば3勝クラス勝ちから臨むキングオブドラゴンだろう。安易に「ハーツの覚醒」というワードを用いたくはないのだが、この馬に関してはその言葉がドンピシャで当てはまる。
昨秋に休み明けから帰厩すると、6走前時には休養前から約30kg馬体を増やして出走。元々デビュー時には500kg弱あったのだが、ただ単に緩くて馬体重があった当時とは異なりしっかり中身を伴っての500kg超えということで成長と捉えて問題ないか。実際それ以降成績は目に分かるように良化。そのレース自体は展開不利で5着に敗れたが、その後は1着→2着→1着→2着→1着と一度も連対を外さずオープンまで上り詰めた。
ただ実際のところ2走前までは毎回展開や馬場に恵まれていたこともあり、正直全く評価していなかった。それが良い意味で覆されたのが前走内容。
前半からハイラップが刻まれて縦長隊列で進んだ一戦。中盤でもほとんど緩まず、ラストまで持続的なラップで推移。コース形態上前半緩んでの後半5F勝負になりやすい中山22としては異質のレースラップが刻まれた。勝ち時計の2:12.4は3勝クラスとしては破格の水準。当時の中山は良馬場とはいえ開幕週にありがちなレコード連発の高速馬場と異なり、ごくごく常識的な時計の出方であった。その中で上記の勝ち時計は極めて優秀で、これは重賞(それもGII)に匹敵するレベル。この点からハイレベルな一戦だった事が分かる。
その中でレースの中身についてだが、同レースは前半1000mが59.1と条件を考えればかなりのハイペースで推移した一戦。この通過タイムは馬場改修後の同コースにおいて最速の記録となっている。当然このようなラップが刻まれては展開的には後方勢有利で、実際2〜5着までは道中2桁番手で追走した組が占めている。その中でキングオブドラゴンは逃げの形で勝ち切る圧巻のパフォーマンス。ともに逃げ争いを演じたエターナルヴィテスはもちろん、離れた馬群で追いかけた先行勢も軒並み沈むペースで逃げ切った内容は衝撃的であった。過去の馬と比較するならばリオンリオン辺りに匹敵するパフォーマンスを見せており、前述の時計面と併せても重賞レベルの能力を示したと見ることが出来る。この内容からも完全にハーツの覚醒期に入った印象。
前述の通り今回の条件は持続的なペースでラストまでバテない能力を要求されるということで、前走内容との親和性は高い。関東遠征後の中2週という点についても、間隔を詰めたローテを得意とする矢作厩舎なら特に問題はないだろう。実際最終追い切りでは前走以上の動きを見せており、状態面の不安がないことと、覚醒期に入っていることが読み取れる。
正直相手は持続戦の現役トップクラスなので逆転は容易ではないが、このオッズ差なら狙う価値はあるだろう。



中山11R 自信度C

◎⑩アルナシーム
○⑨ソリタリオ

例年の傾向からも持続戦になりやすい一戦。これは距離的にマイル組の参戦が多くなるという背景に由来する。近年でも少頭数かつ明確な逃げ馬不在となった2年前を除けば前半からそれなりに流れるレースが展開されている。今年のメンバーを見ると逃げ馬や持続戦を得意とするマイル組が多く、例年の傾向通りになる可能性が高い。
そのような展開となればアルナシームが1枚抜けているか。現時点で持続戦の世代最高打点が記録されたのは朝日杯で、ここでの4着は素直に評価できる。同馬は名門ドバイマジェスティ牝系出身ということでシャフリヤールやアルアインの近親にあたる。この牝系はとにかく持続戦に強いという特徴があり、実際上記2頭は3歳時にスローでキレ負け→持続戦となった毎日杯、皐月賞で快勝という道筋を辿っている。また2頭以外にも、ヒメノカリスやダノンマジェスティ、まだ勝ち上がっていないがアルファヒディなども中盤が緩まないレースで軒並み高いパフォーマンスを見せている。実際アルナシーム自身も実質スローで上がり勝負になった東スポ杯では道中折り合いが付かず暴走して6着敗戦→持続戦替わりの朝日杯でパフォーマンスを跳ね上げた。
ただ上記の馬を見ても分かるように「高速馬場での持続戦」がベストの牝系だけに雨の影響が残る馬場は歓迎ではない。しかしアルナシームは父がモーリスになった影響で同牝系の中ではまだタフ馬場への対応力も備えてるだけに大きな減点とまでは行かないか。実際朝日杯でも馬場が荒れて伸びないインコースを通って4着まで追い込んでおり、極端な道悪にならなければこなせる範疇だろう。
前走はドスローから究極の上がり勝負になった一戦で適性的には向かないレース。それでも32秒台の上がりを使って0.2差2着にまとめる上々の内容。敗れた相手は世代屈指のハイレベル戦であった東スポ杯3着のテンダンスで、その相手がドスロー逃げでポジション利があったとなれば敗れたこと自体は全く悲観する必要はないだろう。
今回は前述の通り得意の持続戦になる可能性が高い。牝系的な適性に加え、この馬自身の特徴(折り合い難)を考えてもこのペース替わりは大きなプラス。朝日杯のパフォーマンスからもここは勝ち負けの筆頭候補だろう。
対抗にはこちらも持続戦で高いパフォーマンスを見せてきたソリタリオを据える。
新馬〜こうやまき賞についてはシンザン記念の予想記事で説明しているので割愛。評価したいのはそのシンザン記念の内容。時計が出やすい馬場だったことを踏まえても優秀なタイムが記録された1戦。1:34.1は1回中京で金杯、エルフィンSに次いで3番目の時計であった。開催終盤のタフ馬場でこれより早い時計が記録されたエルフィンSはかなりのハイレベル戦なのだが、シンザン記念を勝利したマテンロウオリオンは前走でエルフィンS勝ち馬のアルーリングウェイを持続戦で完封しているので相対的な面でもレベルは担保されている。
その上でシンザン記念の中身だが、同レースは持続戦の中ではややスロー気味で推移した一戦。加えて道中でもほとんどラップが上下しておらず、展開的には先行勢有利。さらにインが伸びる馬場ということで前述のラップ面と併せても外を回した差し勢には厳しい展開であった。
ソリタリオはここで中団から4角でもしっかり外を回す競馬。上記の説明通り展開的にはかなり厳しいレースの中でタイム差なしの2着と強い内容。勝ったマテンロウオリオンがイン好位からロス0で抜け出し、ラスト3F11.9-11.5-11.7とほとんど減速していないことを考えれば、これを外回して迫った内容は見た目以上に秀逸なものであった。
前述の通りこのレースは時計的にハイレベルな一戦で、実際に同レースに出走した組はその後軒並み巻き返している。その中で後続を千切った上2頭は当然能力高く、その中でもより強い競馬を見せたソリタリオは世代トップレベルの能力を有していると見て問題ない。
今回は前走に近い持続戦が想定されており、そうなれば能力的には勝ち負けの水準。個人的にもPOG馬で期待しているだけに、ここは是非皐月への権利を獲得してほしいところ。


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