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責任から逃げた男

昔々、あるところにニゲタがいた。

ニゲタは、仲間とチームを組んで生活していた。

仲間との厳しい約束がつらくて、反発が最高潮に達したとき、ニゲタは、そこから逃げた。

何ものにも縛られない自由が欲しかった。

ニゲタはチームから離れ、自由になった。

自分の思うように生きられると思った。

チームとの約束。

それは役割を果たす責任。

責任を負うからこそ、ニゲタも豊かに生きていけることを忘れた。

ニゲタは、だんだん力を失っていった。

何をしても、上手くいかなかった。

昔の仲間と偶然、出会った。

仲間は言った。

……俺がリーダーに頼んでみるから。チームに戻ってこい。

仲間の目は必死だった。

ニゲタは、その手を振り払った。

……俺は自由がいい。俺は、もうチームには戻らない。

ニゲタは、孤独になった。

暗闇の中で悟った。

人のために生きないと、豊かにはなれない。

人とのつながりが、幸せなんだ。

ニゲタは、変わろうとした。

イヤなことも引き受けた。

イヤなことは、自由を失うことだった。

責任を負うことだった。

そして、そこから、逃げなかった。

ニゲタは、豊かになっていった。

新しい仲間ができた。

昔の仲間は、そんなニゲタを遠くから見ていた。

仲間は思った。

……いつか、チームに戻ってこいよ。お前の場所は、空けておくからな。

仲間は、ニゲタを優しく見守っている。


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