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米国大学院出願③ 研究インターン留学の機会を得るには

私の場合、志望研究室での研究インターン経験は、大学院合格に非常に効果的でした。研究インターンのメリットは、米国Ph.D.プログラム出願経験談に記載した通りです。

そこで、どのようにしてインターンの機会を得るかが問題になると思います。ここでは、興味のある研究室が絞られている前提での話になります。

方法とメンタリティ

興味を持った先生に連絡を取る方法

1. 自分の指導教員などに上手く繋げてもらう
 これが可能であればとても効果的。一方、紹介者の顔に泥を塗ることが無いように注意。
2. 自分で直接メールを送る
 何の繋がりが無い状態からでも、インターンを受け入れもらうことは可能。 自分はこのやり方だったので、こちらを説明します。

先に、メンタリティ面でのメッセージを書いておくと、
・遠慮せずもっとメールして良い(先生も失礼なメールでなければ、興味を示してくれるメールは嬉しいはず)
・メールは慣れ
・メールする機会、話す機会を増やし、情報を集め、人との繋がりを増やしていこう

です。


なぜ受け入れてもらえたか

私が志望した先生は滅多にインターンを取らないらしい(本人談・博士学生談)にも関わらず、私がインターンを受け入れてもらえた理由は、推測ですが、

1. いくつかの研究経験があった
 在籍大学で少し早めに研究室で研究させてもらった(研究経験1)
 2ヶ月の研究インターン留学をしていた(研究経験2)
 
2. 研究テーマへの興味とスキルがマッチ
 特にComputationalなスキルとバックグラウンド
 研究室や論文をよく調査し、研究室が求める要素をアピールできた

3. 受け入れ側の金銭的な負担が不要だった
 金銭的なバックアップがあると受け入れてもらいやすい
 在籍大学の支援プログラムを利用した

があげられると思います。
加えて、ラボの日本人ポスドクが活躍していることで、日本人もしくは私の出身大学に先生が良いイメージを持っていた(?)、可能性もありますが、これは完全な幸運です。

もちろん以前に研究経験がなくても受け入れてもらうことも可能だと思いますが、あった方がベターでしょう。
仕事でもありがちですが、研究経験を積みたいのに、研究経験がないと研究インターン受け入れをしてもらいづらいことはあると思います。最初は、国内や繋がりのある先生に、簡単なものでも良いので取り組まさせてもらうのも良いと思います。私も、何も経験のない状態で一番初めの研究経験を所属学科の研究室で積ませて頂けて幸運でした。この経験があったからこそ、二番目の海外での研究インターンを受け入れてもらえたと思いますし(理学部の短期留学プログラム(SVAP)の金銭支援も大きかったです)、一番目、二番目の研究経験があったからこそ、志望研究室でのインターンが可能になったと思います。

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メールを送る上でのコツ

興味のある研究室の先生を見つけたら、メールを送り(オンライン)ミーティングを打診してみましょう。

何らかの繋がりがある方がいたらまずはそちらにアプローチ
興味のある研究室に、日本人の方や、自分と何らかの繋がりがある方がいる場合、これはとてもラッキーです。自分は、興味を持った研究室に日本人の方がいたので、その研究室について知りたいことを色々と質問しました。有難いことに、非常に丁寧に質問に答えて下さり、とても参考になりました。研究室が求めているものを知り、自分がアピールできる側面を考える材料になりました。また、実際に先生にメールを送る際にも、CCで名前を入れさせてもらうことができたので、より返信をもらい易くなったのではないかと思います。日本人の方がいなかったとしても、自分はその研究室の大学院生やポスドクにメールを送ってみるのも良いかなと思っていました。

研究提案をする
著名な研究者は多くのapplicationメールをもらっているのでその中でどういうのが目に止まるのかという視点は参考になりました。ノーベル賞受賞者が話すPostdoc applicationへのアドバイスに関する動画を見ました。特に、一番目の動画を参考にしました。

この動画の内容は、彼がSociety for Developmental Biologyに寄稿したNewsletter, The Secret to Getting the Postdoc You Want, にも書いてあります(動画0:27で言及)。
以下、意訳・要約。

100個も研究室に応募するのではない、できても2つ(ドMなら3つ)。するべきなのは、その研究室の論文を時間をかけて読むこと。メールでは、その中で興味を持った部分を伝え、自分がやりたい研究・実験・アイデアを提案するべき
(動画1:30のドヤ顔が好きです。Dr. Martin Chalfieさんにはこの動画でとてもお世話になりました。ありがとうございます。)

単にCVを送り、「ポジションはあるか?」と聞くのではなく、自分がやりたい研究・熱意をアピールすることが重要だと学びました。
これは、ポスドクの応募メールについての話なので、大学院生の場合に当てはまるとは限りませんが、私は良いアイデアだと思ったので、自分でも実際にやってみました。他にも同様の動画も参考なるかもしれません。


実際に送ったメール

参考までに、以下が送ったメールです(一部変更)。

Subject: Request to set up an online meeting: (My name): From the University of Tokyo

Dear Prof. XXX
CC Dr. XXX (postdoc)

Nice to meet you. My name is XXX. I am from Japan and am a fourth-year student at the Department of Bioinformatics and Systems Biology, Faculty of Science, the University of Tokyo.
I got your contact information on your website. I am writing to inquire about the possibility of having an online meeting with you.

I am planning to apply to Ph.D. programs in the U.S. this year, and I am very interested in your lab. I want to visit your lab and see you in person, but I am afraid that it would be difficult under the current unprecedented situation - the COVID-19 outbreak. (it would be great if you could allow me to visit your lab after things get back to normal.)
Then, I appreciate it if you could take your time to have an online meeting with me (using zoom/skype/google hangout, etc.) because I would like to know more about you and your lab.

I have been reading your work. Particularly, AAA, BBB, and CCC excited me the most. I believe my research interest and background best suit your research topics.
I have attached the CV that includes my research interest and background in detail. Please find the attached the slide, including my research proposals. I will explain them in detail to you at the online meeting if you want.

A postdoc at your lab, XXX, graduated from the University of Tokyo, to which I belong now. After finding him on your lab page, I contacted him and asked about your lab. He let me know how great you and your lab are. Then, I got more interested in your lab.

I am looking forward to hearing from you.

Best regards,
XXX

これに、CV(1~2ページ)とResearch Proposalを書いたスライド(pdf)を添付しました。

上記のように、オンラインミーティングの打診をしています。このミーティングの中で、インターンをさせて貰えないかとお願いし、快諾して頂きました。1回目のメールで、インターンの受け入れをいきなり打診したメールを他の教授に送ったこともありますが、返信は来ませんでした。個人的にはあまりお勧めしません。受け取る側のことも考えて、始めのメールは重すぎないようにするべきです。そのため、本文は短くし、CVやスライドに研究興味や提案などを含める形にしてみました(それでも長いかもしれませんが)。

これは補足ですが、メールを送っていた人が怪しい人でないと保証する意味でも、インターンの受け入れにも簡単な推薦状があると効果的な場合もあります。自分は不要でした。自分の指導教員などに、インターン申込にあたって推薦状を書いてもらえないか打診してみるのも良いでしょう。最初のメールの時に、指導教員の名前をいれても良いですし、オンラインミーティングの際に、必要であれば推薦状を指導教員などに書いてもらえる旨を伝えると良いでしょう。

メールは非常に重要なツールです。メールを送るのは億劫になりがちですが、文面が悩ましいというハードルも精神的なハードルも、慣れることで乗り越えましょう。メールを臆せずに送ることができるようになるかは、結構大事だと思います。

自分は友人が教授にメールを送るのを何度か手伝ったことがあり、どのような点がメールを送る上で障壁になり得るか多少なりとも理解しているつもりでいます。どうしてもメールが送れない、どうすれば良いかわからない等あれば、是非相談して頂いても構いません。Twitter: @nafoto_z(苦手な方は大体DMを送るのも躊躇してしまうと思いますが、遠慮なく。)

オンラインミーティング

オンラインミーティングでは、基本的に自己紹介、自分のスキル・研究の興味、研究提案をしっかり話せて、あとは適切に相手に質問すれば問題ないと思います。話すのに自信がない人は上手く質問して喋らせる術と相槌を身につけましょう。
細かいことですが、オンラインミーティングの前には、事前に先生の研究内容はもちろんの経歴なども様々調査しました。たまたま見つけたPodcastで、その先生が昔日本の研究室に研究留学していたことを知り、オンラインミーティングでの話のタネにしました。また時差の話や事前にポスドクの方に聞いていた話などを小ネタとして話すことで、研究以外の部分でも楽しく話せましたし、先生の人柄も少しわかった気がしました。

その後、COVID-19の影響で、結局オンラインでやることになりましたが、オフラインでやる可能性がある場合は、渡航費、滞在費は基本自己負担なので、それらを自分で払えることをきちんと示すと良いです。私はオンラインミーティングの際に、大学から金銭支援を受ける旨を伝えました。私は、東京大学のGLP-GEfILの海外プログラムに参加していたので、研究インターンを海外プログラムとして認めてもらい、金銭支援を頂く予定でした。最悪自腹でも行く価値はあると思います。(LCC渡航費往復10万、Airbnb滞在費2ヶ月で20万くらいはかかりそうですが)

先方に金銭的な負担がないことは、オンラインミーティングで伝えても良いですし、メールで伝えても良いです。このインターンの前に行った海外インターンの打診の際にも、理学部の短期留学プログラム(SVAP)の金銭的な支援を受けていることを強調したメールを送りました。


実際のインターンも頑張る

私が取り組んだのは、コンピューターのみを使う研究で、生物実験をおこなわなかったためオンラインでのインターンが可能でした。オンラインの場合、日本に居ながらにしてできるメリットが大きいです。
友人には、夏にCOVID-19の影響が強かったにも関わらず欧州の大学に滞在し生物実験をおこなった例もあるので、入国制限などがない限り不可能ではないと思いますし、やはり直接行くことは非常に効果的だと思います。

機会を得てから、インターンでの取り組みも当然重要です。
全てが選考プロセスの一部になり得ると考えるべきです。初めてのことも多かったですが、積極的にコミュニケーションを取り、解析を頑張りました。

オンラインだったので、週1で、日本の深夜22時から先生(と自分のメンター的な学生)と2,3人でミーティングをし、23時から研究室ミーティング(~1h)に参加していました。それ以外は、たまに別の時間にミーティングしたり、Slackのチャットでデータ解析に必要な情報のやりとりをしていました。

Slackなどのコミュニケーションツールや、ラボミーティングでの雰囲気から、研究室の雰囲気を感じていました。
また、全ラボメンバーとも1対1でオンラインでお喋りし、研究室のことや、先生の良いところ悪いところ、学科(プログラム)の違いなど様々なことを聞きました。これにより、自信を持って大学院・研究室を選ぶことができました。

Take home message

上記のようなコツを意識しつつ、失礼のないメールを勇気を持って送りましょう
くどいようですが、メールは遠慮しなくて良い、メールは慣れ、です。
志望研究室での研究インターンは大学院合格に大きく寄与すると思います。

他にも、米国大学院出願にあたりやってよかったことや反省点、お世話になったリソースについても紹介しているので、是非ご覧下さい!

(Thumbnail Image by Dank Memes and Gifs)

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