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マジの昔話するだけ

昨日、母親と家で晩酌していた時、話の流れは忘れましたけど、こんな話が出てきました。

父方の家系は代々、男子が短命で、三十路あたりで死ぬようなこともまあまああったとか、なかったとか。父もその影響を受けており、自分が産まれてからはあまりなかったんですが、それまでは悪運が強かったらしいとか。

自分の知っている範囲では、子供の頃に何度も色んな要因で死にかけたり(ヤンチャしてたのもあると思いますが)、そのせいで名前の画数が悪いのかお寺に疑われ、名前を戸籍ごと変えられそうになったり。そういうトラブルがありました。

私が確か5歳位の頃、バイクに乗っていた時にベンツと衝突事故を起こしたというのもあります。その頃の私は父の車椅子をしょっちゅう押していたので、走り回って遊ぶべき時期に走り回らずよく病院に行っていました。

父の感想は『やっぱベンツって高いから固いんだな。俺のバイクぐっちゃぐちゃなのにベンツ側ほぼ無傷だもん』とのこと。バイクぐっちゃぐちゃ、腰バッキバキの人がベンツに感心してました。

その話の流れで思い出したんですが、確か去年の暮れに死んだ祖父は90近くの大往生でした。唐突な病気だったので、私は帰ることもできませんでしたが、祖父は父方の一族でも長生きな部類っぽいです。

私は祖父の享年を超えられる気がしません。普通に親より先に死んでもおかしくないと考えています。

そういえば、私は祖父のお葬式に行くみたいなこともしてませんでしたし、あれから父と母の住んでいる実家に帰ってきましたが、現在父方の祖父と祖母の住んでいた家には行けていません。祖母にも顔を見せたいし、祖父も成仏できてるか怪しいので、父方の家には行きたいです。

本家は大阪なんですが、私にとっては地元にある、現在祖母の住んでいる家の方が馴染み深いので、とりあえずはそっちだけでも行きたいです。タイミングあるかな。改めて行くとなると、勘当されそうで怖いです。

そこでまた思い出したんですけど、これもまたいつかに母親から聞いた話で、今から十数年前、私が言葉を喋り始めたくらいの頃、その祖父と祖母の家に行ったことがありまして。

うちの親を含めた親戚10人くらいが集まって酒盛りをしていたので、普段2人でしか使わない居間がギチギチになっていたことでしょう。そういう祝い的な日だったことは覚えているけれど、具体的にいつだったかは母も覚えていないそうです。多分、正月か大晦日でしょう。

その日、もう3歳か4歳かの自分は退屈そうだったみたいで、酒も飲めないわ偏食で食べるものもほとんどないわで、お菓子ばかりつまんでいたそう。

自分がそうしてお菓子の入った入れ物を抱えて何やら食っていたので、母は静かにしてくれて有難いわとばかりに酒をガブガブ飲んでいて。酒盛りが始まってから何十分か経った後、母はふと自分の方を見たそうで。

その時の自分は、手に飴をひとつかふたつ持って、みんなのいる居間のひとつ隣、襖をへだてた和室の方へと歩いていったそうで。

ありゃ、寝たくなったのかなという感じで母は襖の隙間からこちらを覗いていたんですね。で、自分は何をしてたかっていうと、居間から見て奥の壁に向かって、何か話してたみたいなんですよ。

立ちっぱなしで。電気もつけずに真っ暗な和室で。何を話しているのか。これ全部、母親から聞いた話で、私自身は別に覚えてもないんですが、もう意味わかんないですよね。

で、私に向かって声をかけたみたいなんですよ、母が。「何してるの?」って。そしたら私は、「おじいちゃんと話してる」って言ったんですって。

その場における私にとってのおじいちゃん、母にとっての義父は居間で熱燗がぶ飲みフィーバーしてたので、えっ?おじいちゃんこっちだよ?みたいに疑問に思ったそうです。

そこから続けざまに私、「おじいちゃん、黙ってる。飴は食べない。でも、おなかすいてるかな。何か食べさせてあげて」って覚えたての日本語で母に話したそうで。

母はその時『こいつはまあベラベラ喋るな』と思うと同時に、『祖父でも誰でもない自分には見えない者と話している』と感じたそうで。もしかしたら、上に立てかけてある遺影か何かに話しかけていたのかもしれませんが、何となく母は私を居間に戻したらしいです。

あれは何だったんだろう、と今でもたまに思い出します。別に喋りかけてもこずに、かといって取り憑きもせずに(多分ね)ただ黙って佇んでいたであろう、おじいさんの正体は。

確かに幼い頃の私は霊感がありましたけど、幽霊て。そんな明確に見える幽霊は流石に怖いです。ガチ幽霊だったとて、多分親戚の誰かの霊だと思うけど、怖いので流石に遺影とかの写真に話しかけてたんだと思います。幼い頃の私、霊感があるだけではなく、普通に電波だったので。

でも、あの和室の居心地自体は、半端なく良いものなんですよ。すっごい落ち着く。今度帰った時は、ちょっと畳に寝転がってみようかなと思います。

皆さんも余裕がある日は実家に帰ってみてください。自動で晩飯が出てくる感動、ヤバいですよ。

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