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ギター・マガジン創刊号/渡辺香津美

(敬称略)


「ギター・マガジン」が創刊される前
ギター少年(小僧)だった
わたし(たち)の教科書は
「ヤング・ギター」一択でした。

「レイラ」とか
「ハイウェイ・スター」とか
エレキ・ギターを始めた少年が
「何とかものにしたい」と願う「名曲」を
斎藤節雄先生や
小林克己先生が
「やさしく」教えてくださる
ありがたい雑誌でした。

毎月1曲取り上げられる
徹底解説のほかにも
当時のヒット曲の譜面も
数曲載っていて
それも嬉しかったのです。

ギター・ソロ部分だけ
TAB譜になってたりして。

1980年の暮れ頃
突如書店に並んだ
新しいギター雑誌
「ギター・マガジン」は
エレキ・ギター初心者の少年には
ちょっとした衝撃でした。

まず表紙に
「FOR PROFESSIONAL , AMATURE GITARISETS&BASSISTS」と
謳ってあります。

「プロフェッショナル向け!!!」

へたっぴいなギター少年は
それだけでビビッてしまって。

譜面が載ってる曲も
「ストライク・トワイス」とか
「ローランド・ジュビリー」とかで
「スモーク・オン・ザ・ウオーター」を
やっとこさ弾いてるわたしには
とてもとても演奏できそうもないものが
多かったです。

譜面に添えられた解説文も
「特に難しいフレーズではない」とか
初心者を突き放すような記載が
たくさんみられました。

それは
穏やかで優しい先生のもとで
のどかに因数分解を解いて
得意になってる中学生が
いきなり
ゲッペルスみたいに冷酷な形相の教師に
高等数学の教科書を
「オラオラ」と
顔の前で広げて見せつけられたような
戸惑いがありました。

ギター小僧だったわたしは
「こういうのがスラスラ弾けるのが
プロってもんなんだ。」と
憧れと恐れの入り混じった思いで
眺めていました。

現在では
怖かった教師たちも
年を経て丸くなったようで
かっての教え子たちに向けた
「ギター・マガジン・レイドバック」なる教科書は
慈愛に満ちた
正に「手取り足取り」
「至れり尽くせり」の内容です。

(若干デイサービスで
お遊戯させられてる
後期高齢者のような
気持ち(知らんけど)になることが
ありますけど(笑)。

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創刊号の特集は
「渡辺香津美」でした。

わたしの高校では
高中正義のコピー・バンドが
ありましたが
渡辺香津美のコピーをしてたヤツは
いませんでした。

やはり
基本ジャズ・ギタリストである
渡辺香津美のアドリブ・フレーズは
一段も二段も
敷居が高いものでした。

(高中のフレーズは
鼻歌で歌えるので
スケール云々がわからなくても
何とかなるのです。)

アクティブ回路がどうのこうのなんて
全然知らなかったですが
アレンビックを抱えた姿は
(フュージョンじゃなくて)
クロスオーバー・ミュージックに
夢中だったわたしの憧れでした。

1980年は
すでに「ユニコーン」ですが
わたしにとって
クロスオーバーの渡辺香津美といえば
「ギター・ワークショップ(Vol.1)」と
「マーメード・ブールヴァード」です。

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わたしは
大貫妙子のミーハーなのですが
「何もいらない」の
渡辺香津美のギター・ソロは
「新しいシャツ」の大村憲司と並んで
超がつく名演だと思います。

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ご家族や
親しい方々のお気持ちを思うと
軽々しい慰めや励ましの言葉を
書くことができません。

だから
わたしの「思い出話」を
記事にしました。


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