『四角い円柱』第一話 あの絵を
ワシャワシャとうるさいセミの声の中。黒い二つのランドセルに、少し遅れて赤のランドセルがついていく。
「それくらいのケガなら明日には治ってるよ」
「それは岳だけだろ」
「そんなことねぇって」
いつもの自動販売機に立ち寄る。
お金を入れて、自動販売機の下段に並ぶ飲み物を一つ一つ指さしながら、どれにしようかな、てんのかみさまのいうとおり、これだ!と叫んで、一人が缶ジュースを買った。続けて、もう一人も自動販売機にお金を入れる。彼は迷いなく、ボタンを押す。
「静馬っていっつもそれ飲むよ