C99の開催方針に関する疑義(追記あり)

2.11.18追記

当記事が投稿された時点で、「コミックマーケット99の開催時に「特定警戒都道府県」となっている都道府県在住者の参加」という表現に修正されていた。なお、本稿の作成を開始した時点では修正以前であったので、念の為申し添えるとともに、ここに追記する。

1 はじめに

令和2年11月17日、コミックマーケット準備会(以下「準備会」)は、公式サイト上で「コミックマーケット99(及び今後の開催)のご案内」とを公表した(以下「告知」)。

私も21年間社会に適合できていないので、当然コミケには人並みの関心を払っているため(そもそも並の人はコミケに関心を払わない。)、TL上で本告知を知り一読してみたが、オタクなのでどうしてもある一文に疑義を呈さざるを得なかったので、はけ口代わりに記していく。


2 「特定警戒道府県」の定義について

 (1)用語の定義

告知中、「コミックマーケット99の現時点での対策と変更事項」の中の「すべての参加者向けの対策と変更事項」を読むと、「特定警戒道府県在住者の参加、入国やビザの発給に制限がある国からの参加はお断りします(入国後の待機期間を過ぎた方を除く)。」とある。

さて、「特定警戒都道府県」(文中、東京都が除外されていたことについては後に論じる。)とは、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和2年3月28日(令和2年5月25日変更)新型コロナウイルス感染症対策本部決定、以下「基本方針」 )において定義された、「特に重点的に感染拡大の防止に向けた取組を進めていく必要がある都道府県として、本対処方針において特定都道府県(緊急事態宣言の対象区域に属する都道府県)の中でも「特定警戒都道府県」と位置付け」られたものである。

すなわち、「特定都道府県」とは、緊急事態宣言の対象区域である都道府県のことをいい、「特定警戒都道府県」とは、特定都道府県のうち、「特に重点的に感染拡大の防止に向けた取組を進めていく必要がある都道府県」と対処方針内で位置づけられた都道府県をいう。

 (2)定義の誤り

つまり、本年5月25日に緊急事態宣言解除宣言が政府新型コロナウイルス対策本部から発出された以降、特定警戒都道府県である都道府県は現在までの間、当然存在しないことになる。よって、告知内における「特定警戒道府県」の定義は、誤りがある。正確に定義づけるのなら、「特定警戒都道府県であった都道府県」というべきではないのだろうか。


3 告知文を解釈してみる

このブログを書くために対処方針をよく読んでみて初めて気づいたのだが、先述の定義その他をまとめるに、

○「特定都道府県」とは、緊急事態宣言の対象都道府県をいう。
○「特定警戒都道府県」とは、特定都道府県のうち、特に重点的に感染拡大の防止に向けた取り組みを勧めていく必要がある都道府県をいう(つまり特に感染状況がひどい都道府県、ということになる。)。
○準備会の告知文中には「特定警戒道府県」とある。
○対処方針においては、「特定警戒都道府県は、引き続き、『最低7割、極力8割程度の接触機会の低減』を目指して、法第45条第1項に基づく外出の自粛について協力の要請を行うものとする。」とされており、いかにいわゆる3密対策、クラスターを出さないための環境構築を試みたとしても、今後緊急事態宣言が再発出され、次回コミケ(C99)が開催予定の5月上旬に至るまで東京都が特定警戒都道府県に指定されていた場合、当然中止を余儀なくされると考えられる。

→つまり、先出「特定警戒道府県在住者の参加(中略)はお断りします」とあるのは、今後の感染再拡大による緊急事態宣言再発出を予期した上で、宣言下でも所要の対策の上、コミケの開催を目指すが、その当時において感染の拡大により、特定警戒都道府県に指定されている都道府県の在住者の参加を拒否する、という文意ではないか?

このように解釈すると、今年5月25日の変更が最後であり、半年近くアップデートされていない対処方針を来年5月のコミケ開催にあたって参加拒否者の定義に用いたり、現在緊急事態宣言が発出されていない状態で特に注釈もなく「特定警戒道府県」という語を用いたことに対する疑問は解消される。

東京都を除外した理由についても、東京都の他が特定警戒都道府県に指定されたとしても可能な限り開催を追求するが、東京都が指定された場合は中止とせざるを得ないだろう、という考えのもとであれば納得がいく。


4 おわりに

もし先述の解釈が正しいとすれば、あまりに曖昧な告知文によって、無用の混乱を引き起こしているといえる。「特定警戒都道府県」の対象自体緊急事態宣言発出間において度々変更されており、最広義においては東京都、大阪府、北海道、茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府、兵庫県、福岡県の13都道府県、最狭義においては北海道、埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県の5都道県となる。

「特定警戒道府県」の定義をいつに取るかを告知において明示しなければ、多くの参加者が、今日現在をもって自らは居住地の段階で参加を拒まれたと解することになる。実際、Twitterで検索してみても「〇〇在住だから参加できないわ」などといったツイートが散見される状況にある。

私の解釈が正しいのか、それとも緊急事態宣言発出下の定義によるのか。実際のところは準備会しか公式な解釈を取れる立場にないからなんとも言い難いが、丁寧な説明を期待したいところである。



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