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⭐️混迷する時代に読みたい一冊 ル・ボンの「群集心理」⭐️

SNSが普及し、一方で独裁政治が横行するこの乱世に自分を見失わないために 、一読をお勧めしたいのがル・ボンの「群集心理」という本です。
先日NHKでも再放送があったので、それを機会に読まれた方も多いかもしれません。

当時のフランスは市民の蜂起(市民革命)と産業革命により社会が大きく変化していました。 その中で一般市民という「群集」が急速に存在感を増し、王侯貴族にとって代わり、群衆が歴史を動かすようになります。
そんな中文明更新の時代に書かれた本であり、後にアドルフ・ヒトラーやフランクリン・ルーズベルトの愛読書となります。

個々人が善良な性格の持ち主であっても、一度群集の一員になると、 粗暴で偏狭になり、野蛮な行動をとってしまうのです。
この群集はばい菌のように増殖し、多数になり数の力を持つようになります。
群集の構成員は元々持っていた個々人の知能、個性、理性的な判断力は失われ人格を失います。
衝動的で動揺しやすく、興奮しやすくなり、また暗示を受けやすくなり物事を軽々しく信じやすくなります。(群集心理より抜粋)
そして一定の感情や観念を共有し、1つの方向に向かってゆきます。
時に盲目的な集団となり、誤った方向に向かえば戦争や文明の崩壊に向かい社会を蝕みますが、 正しい方向に向かえば社会や歴史を動かす原動力になることもあります。
単純なスローガンを、断定的に、繰り返し訴える(断言、反復、感染)、それを皆が模倣するなどが群集の作成に有効であるようです。

このようにして、群集を意図的に作り熱狂させ、世論を意のままに操ろうとする行為は、 政治、宗教、SNS上での炎上、詐欺に至るまで、あらゆるところで見られます。
人間は自ら考える労力を省きたいという心理があるので、考えなくてもいい状態の意見に同調しやすい(精神的感染)のです。
だれでも知らず知らずのうちに群集となって暴走してしまうかもしれない、今もその中にいるかもしれない。 そういった危機感が必要ではないでしょうか。
なぜなら現代の様な過渡期、混とんとした時代にこそ群集の力は威力を発揮しやすいからです。
SNSで見た他人の意見を自動的に自分の意見にするのではなく本当にそうなのか主体的に受け止めなおしてみる。 自分で考える力が大事であるということだと思います。
私自身、SNSに投稿する前は、時事問題に於いてはYouTubeやインターネットの記事の情報の受け手でした。 投稿するようになって情報を配信する側に少しシフトしてから、正直、読書量は半端なく増えました。
本はじめ様々なコンテンツを読んではメモし考え、毎日のデジタル配信、雑誌複数社に目を通しています。
それは過渡期の現代において、私自身が群集の一員に陥らず、自分の理性を保つために必要なプロセスであるようにも感じています。

中国のゼロコロナで白紙をもってテロをする人達を見ながら、共産主義国家、独裁国家は悲惨であると感じた人は多いと思います。
しかし、資本主義国家に生きる我々も、元気なうちは働き、病気などで弱れば早く死んでくれと言われ、残した資産は多く没収され、 搾取にあえいでいるのが現状です。 そんな中、理性ある個としてペンをとることは可能です。
ご参考にしていただければ幸いです。

ブーロボン王朝時代には、ナポレオンは、
一種荷風な愛すべき人物、博愛家で自由主義者、貧しい者たちの友となり、 詩人たちのいうところによれば、貧しい者たちこそ、その茅屋の中に彼の追憶をとどめたに違いないのである。
ところが30年後には、この好人物の英雄が、三百万人の人命をもっぱら野心のために犠牲にした、権力と自由の横領者、殺伐な専制君主となっていた。 =群集心理 より引用=


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