「えどふみ」のいない日常

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かつてテレビばかり観ていた時代は、テレビが日常だった。好きな芸能人の番組を軸にテレビを観るのが日常だった。

だが10年ほど前より、私の動画メディア依存度はインターネットの世界に傾いていった。そしてその時、私はテレビの芸能人に変わる新たな日常を見つけた。

それがゲーム実況をやっていた「えどふみ」こと「えどさん”&ふみいち」だった。どこかコンビとして彼らが醸し出す空気が心地よく、私はそのまま彼らの番組を観るようになっていった。

えどふみは私の日常になっただけでなく、私の人生そのものにも影響を与えた。いきさつは省略するが、

【2016年】
・ふみいちさんが立ち上げた「NGC2」という組織に関わり「東京ゲームショウ」に出展
◆参考リンク:出展時の特設サイト
【2018年】
・えどふみの活動をきっかけに研究するようになった「ゲーム実況」について「CEDEC」という大きなイベントで講演を行う
◆参考リンク:IGNに掲載された講演レポート
・スタジオえどふみ(現・スタジオNGC)のイベントでスタジオの歴史を振り返る資料を作成、ついでにイベントの司会進行も行う
◆参考リンク:イベントのアーカイブ動画

ゲーム業界人ならば上から2項目は幾名かいそうなキャリアだが、無職とフリーターを繰り返すような男には十分すぎる経歴だ。特にCEDEC登壇は、えどふみがやってきた事はゲーム業界、ゲーム実況業界において歴史に名を残すレベルの事だと勝手に思っていたので、「どこかでっかい所でえどふみを語りたい」という私の密やかな野望はひとまずここで達成された。

とどのつまり、えどふみについていってから、人生がより楽しくなった。これはただ番組を観るだけの存在だったテレビ依存時代と大きく違う所だ。観る楽しさと関わる楽しさ、2つの楽しさがネットの世界にはあった。

だが、その日常も、もうすぐ終わる。

ふみいちさんは2018年いっぱいでスタジオを退職し、そして2020年1月13日の放送をもって、「えどさん”&ふみいち」というユニット自体も解散となる。

えどふみのいる日常が終わり、
えどふみのいない日常がはじまる。

この状況がいずれ来ることは解っていた。えどふみ2人だけで制作や出演まで殆ど賄っていた時代から、テレビ局の様に演者を変えて番組を構成するスタイルに変わった時、私は「これでスタジオが永続的に続けられるシステムを手に入れた」と思った。
そしてその想像は図らずも現実となった。

「えどふみ」としての日常はこれで終りを迎えるが、スタジオはまだまだ続いていくし、私自身もスタジオNGCの番組を観るのが日常な人生は続いていく。むしろここからが始まりなのかもしれない。何か私の愛する映画「キッズ・リターン」(北野武監督作品)のセリフを思い出す。

 『マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな?』
 『バカ野郎ぉ! まだ始まっちゃいねーよ!』

細かく言えばコンビとしては終わるのだが、
えどさん”も、
ふみいちさんも、
個人としてこれからまた、始まっていくのだ。

そしてそんな彼らの人生を、
私はニヤニヤしながら眺めていくのだろう。

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