人事の問題を考える・DXの壁(人がいればなんとかなるわけではないが人がいないといかんともしがたい)

■アホとしか思えない

驚いた記事があった。

○「Internet Explorer」サポート終了で、東京・調布市「なんで急に」報道 自治体DXに必要な“たった1つ”のこと
2022年06月18日

米マイクロソフト(MS)がWebブラウザ「Internet Explorer」(インターネットエクスプローラー、IE)のサポートを終了し、IEを利用する各組織が対応に追われる中、東京都調布市が対応に苦慮する様子を報じた記事がTwitterで話題となった。市のデジタル行政推進課の職員がTBSの取材に「最初の感想として何で今、急にというのが正直なところではあった。期間の調整や費用面の調整に苦慮しているところ」とコメントしていたためだ。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2206/17/news135.html

ブラウザだけでなく、OSなどもサポートが終了することは、それが企業としてどうかという議論は置いておくとしても、いつまでもメンテナンスできないという現実的なことを考えると受け入れることができる。

マイクロソフトも、突然ということはなく、数年かけて告知している。Windows7だって一昨年にはサポートが終わっている。アプリの問題でまだ使用しているところはネットワークを遮断してスタンドアロンで使っている。

当然担当者なら、そうしたIT環境に目を配っていなければならない。それを怠っておいて他責にする神経は呆れてしまう。「おまえがアホだ!」という意見も同調できる。

■機能しないデジタル庁

以前、デジタル庁のサイトで地方自治体向けに設計指針を提示し、DXに向けた取り組みのガイドラインを公表したという資料を見た。いわゆるシステム開発の常識が記載されており、間違ったことを書いているわけではないが、それなりの知識が無いと「一体何のことだろう」と言うことになりかねない。デジタル庁が現実を見ていないと感じた。

では、プラットフォームの整備は進んでいるのかと言えば疑問符がつく。

○デジタル庁の「事業所」データ整備事業が中断、目玉政策が実現困難と判明した経緯
2022.05.06

デジタル庁が目玉政策の1つに据える、法人や国土など公的データの整備事業。先行したはずの「事業所」のデータ整備が突然、中断に追い込まれた。公募していた入札途中の案件は取りやめ、既に開発したシステムは当面凍結される。原因は、行政分野ごとに「事業所」の概念が多様すぎると判明したからだ。分野を超えて事業所データを統合し多目的に使う政府構想は、簡単には実現できないと判断した。

「いったい何が起こった」─。

2022年3月下旬、デジタル庁からのシステム開発受託を狙っていたITベンダー各社は騒然となった。デジタル庁が存在意義をかけた目玉政策に関わるシステム調達案件の取りやめが、官報や電子調達システムで相次いで公表されたからだ。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01157/042800060/?n_cid=nbpnxt_fbad_2205_sqr_001&fbclid=IwAR1y5GvPkuEXIoaxtjfhdhOt4rnfDeZaQXum5qahhzADcPftljWzRyk3__A

いきなり、全国の自治体を巻き込んで大規模な改革はできない。まずは底上げが必要だろう。

それは「人材戦略」に手を付けろと言うことだ。

■宣言ぐらいして欲しい

危機感がある民間であれば、DX人材の不足は喫緊の課題であり、できるかどうかはともかく宣言はしている。政府は行政機関の組織能力を上げるという戦略がない。

○七十七銀行、行員の半数をデジタル人材に 25年3月末目標
2022年04月08日

七十七銀行は8日、2025年3月末までに行員の半数程度となる1300人規模をデジタル人材とする方針を発表した。同行は昨年5月に策定した長期戦略で、デジタルトランスフォーメーション(DX)を柱に掲げている。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022040801237&g=eco

○三井不動産、1,700人にDX研修「DxU」をスタート 22年度中に全社員がDX必須知識を習得へ人材育成
2022/04/05

「DxU」では重点研修ポイントを6つに整理。デジタル知識だけでなく、多面的なスキルアップを図るという。さらに、各社員のスキルレベルに応じたロードマップを用意。2022年度末までに全社員がステップ2(トレーニー)を修了し、DX必須知識を習得するとしている。2025年度末までに約100人がステップ4(マスター)を修了、DX実践スキルを習得し、DX推進をリードする人材へ育成することを目指しているという。

https://enterprisezine.jp/news/detail/15811

■自身を振り返れないのか

もっとも、こうしたことを行政に求めるのは難しいのかもしれない。

○デジタル化「進まぬ日本」「成功する台湾」決定的差
上から強制するのではなく「選択肢」を与える
2022/05/17

最初にお伝えしたいことは、台湾はここ数年「非常事態宣言」を出していないということです。ですからどんな対策をとるにしても、規制や予算の議会承認など、事前承認を取らなければなりません。そのため急を要する非常時には既存のもので対応せざるをえず、コロナ禍の前からある技術を使ったのです。

でも逆にこのほうが市民に説明もしやすいし、10年、20年と続いてきたシステムなら、サイバーセキュリティーやプライバシーの議論もスムーズなんですよ。技術的にも、コロナ禍で初めて発明されたものより、元からあるもののほうが、分析もずっと簡単ですし。これが1つ目です。

https://toyokeizai.net/articles/-/583939

簡単に「既存技術」というが、そもそもそうした技術を活用できる人材が行政にいるのか。いるとしたらどの程度いるのか。そもそも採用条件にIts草加関連の要素は入っているのか。

育てる仕組みがなければ、運任せの人材活用になる。
もっとも、行政機関の「機関」は英語では「Body」で”頭をつかうな”が基本らしい。

日本夜明けは遠い・・・

<閑話休題>

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