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ISO9001と経営:赤字事業の処遇(樂天の赤字に思うこと)

■赤字は予想できたのか

結果論で言えば、樂天の戦略はうまくいっておらず、赤字の報道がクローズアップされている。

○楽天の最終赤字、過去最大の3728億円に…携帯事業の先行投資が重荷で4期連続
2023/02/14

 楽天グループが14日発表した2022年12月期連結決算(国際会計基準)は、最終利益が3728億円の赤字(前期は1338億円の赤字)だった。最終赤字は4期連続で、赤字額は00年の上場以来で最大。基地局の整備など携帯電話事業への先行投資が重荷となった。

 売上高にあたる売上収益は前期比14・6%増の1兆9278億円で過去最高だった。主力のインターネット通販サイト「楽天市場」や、クレジットカードなどの金融事業が堅調だった。

 携帯事業の利益は4928億円の赤字。昨年6月に「月額0円」の料金プランを廃止したことから、売上収益は62・0%増の3686億円となったが、契約数が伸び悩んでいる。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230214-OYT1T50125/?from=smtnews

これに対し、樂天はどうするのか?
基本は、これを継続すると言うことであろう。

○楽天G三木谷社長、負債削減へ外部資本の活用検討-過去最大赤字
2023年2月14日

  楽天Gの三木谷社長にとって、モバイル部門の業績向上は喫緊の課題だ。継続的な損失計上でグループ全体の収益を圧迫している同部門は23年の単月黒字化を目指しており、人員削減や店舗閉鎖に取り組んでいる。

  三木谷社長は「今年は非常に勝負の年」と述べ、経費削減により「利益体制を確立する年」だと語った。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-14/RQ1NVKT1UM0W01

こうした言動から、「人員削減や店舗閉鎖」をせずとも赤字にならない、あるいはこれほど巨額の赤字にならないと考えていたのだろうか。正直分からない。

いずれにしろ、見通しが甘かったのだと思う。
しかし、これ自体を非難することはできない。
問題は、管理された状態かどうかであろう。

■リスクに取り組む

ISO9001では、リスクに対する考えを重視しており、その「0.1 一般」に「組織の状況及び目標に関連したリスク及び機会に取り組む。」ことがISO9001の役割として明示している。

ただし、この場合のリスクは、除去、逓減、回避などができることが前提である。したがって、「事業が赤字」になると云うことに対しては、
①除去
 赤字事業そのものを売却するか中止する。
②逓減
 赤字の要因を分析して、それに対しての施策を展開し赤字幅を減らす。
③回避
 いったん、事業を縮小して、あるいは休止して赤字の影響を少なくする。
などが考えられる。

三木谷社長は「人員削減や店舗閉鎖」と言う選択をしているので上記の②に取り組むつもりだろう。その選択に是非はない。しかし、それが単に経営上のわがままで行なっているのであれば賛同できない。

「6.1 リスク及び機会への取組み」の中で、下記の様に要求事項が展開されている。

品質マネジメントシステムの計画を策定するとき,組織は,4.1 に規定する課題及び4.2 に規定する要求事項を考慮し,次の事項のために取り組む必要があるリスク及び機会を決定しなければならない。
a) 品質マネジメントシステムが,その意図した結果を達成できるという確信を与える。

 顧客から「事業の継続」が求められており、それが「「人員削減や店舗閉鎖」で満たされるという確信のないままでの事業推進は、戦略のない活動になる。経営者の博打に社員を巻き込んではいけない。

■顧客へ提供できるもの

携帯事業というインフラに参入すること自体は、各企業の戦略的な枠組みにあるので、その是非を問うことはできない。しかし、いったん事業に参入したのならば、誠実な対応をして欲しい。

私自身は携帯電話の黎明期から使っており、Jフォン、ボーダフォン、ソフトバンク、AU、ドコモと渡り歩いている。初期の頃は、企業が安定せずいきなり企業売却がおこなわれ戸惑ったものである。
一時期Windows Phoneを使っていたが、早々に撤退され呆れたものである。

樂天が「月額料金0円」を廃止したことは、そのよくくもない唐突さから誠実さが感じられない。

顧客は利便性だけを求めているのではない。
「誠実」も顧客要求事項であるコトを自覚しよう。

<閑話休題>

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