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「先議後利」が無ければ、皆沈没する船から逃げだす

【記事探訪】

みずほが「システム障害8連発」で失う3つの信頼
退職者が続出、就活中の学生からも人気がない
2021/10/18
https://toyokeizai.net/articles/-/462388

みずほは人事制度改革を進める一方、「週休3日、4日制」の導入や、「兼業・副業」の解禁など、働き方の選択肢も増やしている。人事制度はほかのメガバンクも見直しに動いているが、働き方にまで踏み込んでいるのはみずほだけだ。

これは、「優秀な人材を集めるため」(みずほ幹部)。ところが、どうやら思惑通りに事は進んでいない。「就活の学生からの人気は低下の一途」(同)というのだ。さらに現場からは「そのせいか、入ってくる新人のレベルが毎年下がり続けている。採りたい人が採れていないのではないか」(30代行員)との声まで聞こえてくる。

(記事から引用)

【コメント】

●ISO9001:2015

7.1.2 人々
組織は,品質マネジメントシステムの効果的な実施,並びにそのプロセスの運用及び管理のために必要な人々を明確にし,提供しなければならない。

規格要求事項では、非常に短い文言ではあるが、経営者としてすべきことは多くあり、また難し問題を含んでいる。

経営資源として「ヒト・モノ・カネ」という考え方はもう古い。人は資源ではない。事業を営む主体になる。この主体となる人々がいなければ組織が価値を生み出すことはできない。

ISO9001:2015で示される上記の要求事項は組織の存在意義を揺るがしかねないリスクがあることを理解すべきである。

●社員に選ばれる会社でい続けないことのリスク

ヒトというものをそう簡単に提供できるわけではない。
多くの企業は相変わらず新卒一括採用に頼っている。

人事部の頭の痛くなる課題には、内定辞退と3年内離職だろう。平均値なので個別の企業に当てはまるわけではないが、おおよそ内定辞退率は50%と言われている。一人で複数の会社の内定をもらっているのが様態化しているのであれば当然の数字だろう。

また、3年内離職率も大卒で30%と言われている。20人に内定を出しても10人しか入社せず、そのうちの7人しか残らないとしたら採用コストのかなりの部分が無駄になる。

だが、これはまだましな方かもしれない、
銀行もかつてのような人気業種ではないようだ。

上記の記事は以下のように続く

近年、銀行の人気は芳しくない。将来の収益を心配するのはもちろんのこと、「コンサルティング会社や投資銀行に行けば、若いうちから稼げる」(新卒1年目の男性)と待遇面を意識した声もある。

コンサルが20代でも年収1000万円に到達できるのに対し、銀行の場合は30代まで給料の伸びが小さい。実際、みずほに入社した行員も「4年目で昇給するまでは手取りが少なく、ギリギリの生活だった」と口をそろえる。終身雇用の意識が薄く、転職もいとわない世代には、銀行の報酬体系は魅力的に映らないのだろう。

ましてや、社会的な信用が失墜している企業である。人気がないばかりではなく質の高い人材も獲得できないこともありうる。

ボディブローのように効いてくる。10年後にみずほが生き残るか不安になる。誰がそんな会社に行くかと思う人がいても不思議ではない。

●先議後利

みずほ銀行に関しては、「現在の不適合を解消すること」が取り沙汰されているが、平行して、「将来に向けてのビジョン作成」もしなければならない。経営の哲学には「先議後利」という考え方がある。これを怠ると、「金勘定が旨い人間」だけが出世する会社になりかねない。そうした会社がどうなるかを知りたいなら「山一証券」の例を振り返って見ると良い。


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