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対処療法だけでは成長は見込めない(その場しのぎの政策がもたらすもの)

■方向性を示唆する記事

○給食パン、国産小麦100%に 熊本県内の小中学校で 九州初、地産地消を促進
熊本日日新聞 | 2022年9月13日

提供する県学校給食会(熊本市)によると、従来のパンに使う小麦粉は90%が米国やカナダなどの外国産で、国産は10%だった。国産小麦粉100%への切り替えは5道県が先行しており、県内でも昨年から同会と県パン共同工場(菊池市)、熊本製粉(熊本市)の3者が協議を進め、8月下旬から提供を始めた。

https://kumanichi.com/articles/788310

パンのブームが始まったのは5年ほど前からだろうか。その時期に、パンの事業を展開している方と話をする機会があった。

なぜ積極的な設備投資をする様になったのかと言う話の中で、パンに適した小麦粉の国内の作付面積が増えたからという話になった。その後のパンブームを支えるものであり、国の農業政策の強化の方向性により成長する産業も変わることを実感した。

■施策の副作用

前政権の安倍政権、現政権の岸田政権は対処療法的に施策を展開している。しかしそれにより成長を阻害していることを忘れてはいけない。

(1)雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、「新型コロナウイルス感染症の影響」により、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、「労使間の協定」に基づき、「雇用調整(休業)」を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

しかし、もともとビジネスモデルが限界に来ており市場から退場すべき企業が延命する、あるいは、ビジネスモデルを再構築しなければいけなかった企業が、社員を抱えてしまったために、人材の流動化が阻害されたかもしれない。

すべきことは、雇用を失った人々に他の市場に働き口を探せるるような人材流動化を促進する施策ではなかったのか。

(2)燃料油価格激変緩和対策事業

燃料油価格激変緩和対策事業とは?
コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」(令和4年4月26日 原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議にて取りまとめ)に基づき実施する施策であり、原油価格高騰が、コロナ下からの経済回復の重荷になる事態を防ぐため及び国際情勢の緊迫化による国民生活や経済活動への影響を最小化するための激変緩和措置として、燃料油の卸売価格の抑制のための手当てを行うことで、小売価格の急騰を抑制することにより、消費者の負担を低減することを目的としています。
https://nenryo-gekihenkanwa.jp/

激変緩和措置という意味と、生活必需品であるコトからこの施策は理解できないわけではない。しかし、抗したガソリン依存の社会生活を、脱ガソリンに向かわせるドライブをそぐことになっていないか。エネルギーの依存を変えるチャンスであれば、そのためのしさくもセットにするべきである。

(3)小麦粉

○小麦価格据え置き 10月以降 政府調整、家計負担を緩和 2022年8月13日

政府が、製粉会社などに売り渡す小麦の価格を10月以降も据え置く方向で調整していることが13日、分かった。ロシアによるウクライナ侵攻の影響で国際価格が高騰し、10月の価格改定で2割ほど値上がりする可能性があった。小麦が原料となるパンや麺類などの値上げ圧力を抑え家計への負担を和らげる。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO63418680T10C22A8MM0000/

分からないでもない。しかし、据え置いたことによる損失は税金でまかなわれる。どのぐらいの税金が必要なんかの議論がない。そして、これも、小麦粉の内製化、あるいは小麦粉からの他の穀物(例えば米)への転換促進など、日本国にとって望ましい姿に転換するための戦略が欠落している。

■ピンチをピンチのままで対応する愚

ピンチをピンチのまま対応することは、多くは長期展望(戦略)が欠落することが多い。傷口を塞ぐことは必要であるが、そのまま状況を指をくわえて容認していれば、変身するチャンスを逃すことになる。

行き着く先は袋小路だ。
これは企業であっても同じである。

<閑話休題>

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