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ISO9001と経営:課題を明らかにするだけでは十分ではない(針のナガオカと箇条4.1、6.1)

■CDの登場
 初めてCDと言うものの存在を知ったのは、おそらくは1987年頃だったかと思う。当時は、その容量とポータビリティで大変な技術が出てきたと思ったのだが、まさかそれが音楽用CDで使われ、それと同時にレコードが駆逐され、レコード針のナガオカが破綻するとは思わなかった。その数年後1990年だった。
 突然の環境変化は考える時間もくれなかった。

 ISO9001:2015の「4.1 組織及びその状況の理解」には下記の様に記載されている。

組織は,組織の目的及び戦略的な方向性に関連し,かつ,その品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える,外部及び内部の課題を明確にしなければならない。

 課題を明確にするだけでは十分ではない。想像力を持って対処しなければならない。

■週刊朝日の休刊

 週刊朝日の休刊は、紙媒体のメディアの凋落を象徴している。週刊朝日だけでなく、漫画雑誌のアフタヌーンの休刊もそれを象徴している。もっとも、漫画週刊誌の部数激減は何年も前から続いており、新聞紙の購読者数も減ってきており、それは回復することはないだろう。

 日本製紙連合会のデータ(https://www.jpa.gr.jp/states/paper/index.html)を見ると、例えば新聞用紙の生産量は、2000年では342万トンであったものが2020年には200万トン、印刷・情報用紙が1175万トンから630万トンと、およそ2/3になっている、
 単純計算では市場の1/3がなくなったことになる。

 このことは、関連市場に大きな影響を及ぼすこととは想像できる。

■今までと同じ事業の継続はできない

○急増する印刷業の倒産、件数は前年度比31%増‐東京商工リサーチの調査
2023/03/14

印刷業界は構造的な不況が続き、そこにコロナ禍が追い打ちをかけた。業績回復がなかなか進まず、紙やインキなど資材高騰に加え、代表者の高齢化などの経営課題を抱え、倒産に加えて休廃業・解散も増勢局面に入っているとのこと。

https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230314-2625609/?lead&utm_source=smartnews&utm_medium=ios&utm_campaign=sp_app

コロナの影響だけではないだろう。経営自体が上向きになっていない印刷業を営む企業も多いはずである。設備の老朽化、インクや紙などの原材料の高騰、人件費の高騰は利益を圧迫しているはずである。

今のような業態ではいずれ袋小路になる。新たな市場を探すか規模の経済で力を着けるかなど戦略の変更を余儀なくさせられる。プリントパックなどの業態は強みがある一方で、いずれ低価格の呪縛で立ちゆかなくなる恐れもある。

権勢を誇っていたイトーヨーカ堂でさえ舵取りの方向性を変えざるを得ない。

○イトーヨーカ堂の14店舗を閉鎖へ アパレル事業撤退も セブン&アイ
2023/3/9
https://www.sankei.com/article/20230309-W2LMI6HHXFMGVPS5BUN62LYRJQ/?utm_medium=app&utm_source=smartnews&utm_campaign=ios

組織の状況を把握して分析するだけでは足りない。
対策まで落とし込まなければならない。

6.1 リスク及び機会への取組み
6.1.1 品質マネジメントシステムの計画を策定するとき,組織は,4.1 に規定する課題及び4.2 に規定する要求事項を考慮し,次の事項のために取り組む必要があるリスク及び機会を決定しなければならない。
a) 品質マネジメントシステムが,その意図した結果を達成できるという確信を与える。
b) 望ましい影響を増大する。
c) 望ましくない影響を防止又は低減する。
d) 改善を達成する。
6.1.2 組織は,次の事項を計画しなければならない。
a) 上記によって決定したリスク及び機会への取組み
b) 次の事項を行う方法

  1. その取組みの品質マネジメントシステムプロセスへの統合及び実施(4.4 参照)

  2. その取組みの有効性の評価
    リスク及び機会への取組みは,製品及びサービスの適合への潜在的な影響と見合ったものでなければならない。

というISO9001:2015の記載だけでは十分ではない。

<閑話休題>

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