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ISO9001と経営:法令違反の誘惑(0.1 一般 で示す便益の可能性の前提条件)

「簡単に儲かる方法がある。法令違反である。」に勝てるか?

■規格要求事項の最初のパラグラフ

組織は,この規格に基づいて品質マネジメントシステムを実施することで,次のような便益を得る可能性がある。
a) 顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービスを一貫して提供できる。
b) 顧客満足を向上させる機会を増やす。
c) 組織の状況及び目標に関連したリスク及び機会に取り組む。
d) 規定された品質マネジメントシステム要求事項への適合を実証できる。

最初に出てくる「適用される法令・規制要求事項」とは、一般的な「法令・規制要求事項」ではなく、製品・サービスの実現方法に関することだと理解される。わかりやすい例であれば、アレルギー物質が入っていない食品に該当する物質を含んではいけないこととか、強度が満たない鉄骨材を使ってはいけないなどがあるだろうか。わかりやすく云えば、使ってはいけないものを使わないという単純な話である。

しかし、こうしたことは徐々に拡大解釈を行なわれてきている。例えば下記の箇条のために、労働安全衛生法や消防法、健康促進法なども関わってきている。

7.1.4 プロセスの運用に関する環境
組織は,プロセスの運用に必要な環境,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な環境を明確にし,提供し,維持しなければならない。

注記 適切な環境は,次のような人的及び物理的要因の組合せであり得る。
a) 社会的要因(例えば,非差別的,平穏,非対立的)
b) 心理的要因(例えば,ストレス軽減,燃え尽き症候群防止,心のケア)
c) 物理的要因(例えば,気温,熱,湿度,光,気流,衛生状態,騒音)
これらの要因は,提供する製品及びサービスによって,大いに異なり得る。

■法令違反の誘惑

企業は利益を追求するという欲求を内在化している。そのため、経営者が「金を優先する」言動を行なうと社員もそれに従う。品質よりも納期を、品質よりもコストを、こうした価値観は、産地偽装、下請法違反などを引き起こしかねない。

会社が儲けるための一番簡単な方法は「法令違反」である。それは身近なところから出てくる。これぐらいいいだろうという安易な発想である。それは「交通違反」である。運送業のスピード違反、過積載、労働安全無視など枚挙にいとまがない。

法令違反をすれば当然、競争には優位になる。しかし、これにてを出すことの危険性を認識すべきである。

■倒産のリスク

それは、最悪企業の撤退、すなわち倒産に結びつくと言うことだ。

○不正発覚による倒産が過去最多 サービス業、運輸・通信業が半数
2023.05.08

帝国データバンクは「今後も厳しい経営環境のなかで、企業存続のためコンプラ違反に手を染めていた、あるいは染めはじめるケースが表面化していくことが考えられる」と予測している。

https://forbesjapan.com/articles/detail/62903

当社は大丈夫と安心していることは危険である。法令違反をしている会社は「法令違反をしている」自覚がないことが多い。指摘されてからでは遅すぎる。

○1か月に156時間の時間外労働も ベトナム人技能実習生に違法残業させた疑いで縫製会社を書類送検 愛媛・西予市
2023年5月8日

労働基準監督署によりますと、小清水被服工業は、去年1月から6月までのおよそ半年間、ベトナム人技能実習生10人に対して時間外労働をさせたにも関わらず、法定の割増賃金を支払わないなど労働基準法違反の疑いが持たれています。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/itv/473342?display=1

今後、たち行かなくなることが想定される。
というか、退場してほしい。

<閑話休題>

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