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人事の問題を考える(やる気のない人材)

■最善を尽くすという幻想

一時期、「働かないおじさん」という単語がネットで踊った時期がある。同じような文脈では「社内失業者」などという言葉もある。十分に働く機会を与えられず能力を発揮できないのは必ずしも彼らだけの責任ではないと思う。

最近の、言葉では「静かな退職者」という言葉だろうか。

〇会社への不満、キャリアへの絶望...「最低限の仕事しか」しない社員が急増した理由
2022年09月21日

米ギャラップ社が、約1万5000人のアメリカ人労働者を対象に調査を行ったところ、仕事に熱意を持つ人の割合は32%と前回調査より低下し、7年ぶりの低水準となった。一方、会社に不満を持つ人の割合は高まっており、約半数が仕事に対して意欲を持てず、最低限の仕事しかこなしていない状態だという。同社ではこうした労働者を「静かな退職者」と呼んでいる。

https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2022/09/post-202.php

こうしたことは、経営者にとっては望ましくはない。しかし、これは突然出てきた問題なのだろうか。全ての社員は我が社にふさわしい能力を持っており、パフォーマンスを発揮するために最大限の努力をしている。こうした幻想は辞めるべきである。

■「262」という相対論

「262」の法則というのをご存じだろうか。

〇「262の法則」とは何か? 組織のマネジメントや人間関係、職場などに活用できる対策も解説
2022/02/25

「262の法則」とは、“どのような組織・集団も、人材の構成比率は、優秀な働きを見せる人が2割、普通の働きをする人が6割、貢献度の低い人が2割となる”という理論を指す。

この考え方の発端は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートの研究にある。パレートは所得の分布について「社会全体の富の8割は上位2割の高額所得者に集中し、残りの2割が8割の低所得者に分配される」という理論を提唱した。この“パレートの法則”は、その後さまざまな方向に拡大解釈され、たとえば「企業の売上げのうち8割は売れ筋である上位2割の商品によってもたらされる」などと考えられるようになった。

「262の法則」は“パレートの法則”の発展形といえる。「世界は、2割の富裕層・高額所得者と、6割の庶民層、2割の貧困層で構成される」、あるいは「企業では、2割の人材が生産性の高い働きを見せ、6割は平均的、2割は成果に貢献できていない」など、1つの概念として定着していったのである。

https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=2728#:~:text=%E3%80%8C262%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E2%80%9C%E3%81%A9%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AA,%E3%83%91%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AE%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%81%AB%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82

では、このパフォーマンスが低い2割のヒトを除外すれば優秀なヒトが残るかというとそんなに簡単な話ではない。働き蟻を使った実験で、あまり活動的でない20%のありを除外したのだが、今まで普通に活動していた蟻が働かなくなり、結局「262」になったという話を聞いたことがある。記憶なので、本当かという疑問はあるがさもありなんと思う。

「262」は絶対論ではなく相対論である。つまり、組織のあるときの状態を見ると「262」似見えると言うことだと思う。

■安易な排除論

こうした「働かないおじさん論」がでると、それを排除する議論が出てくる。いわゆる早期退職などの理由付けだろう。本当にすべきことは。「262」という相対論を議論するのではなく、全体の底上げをしてゆくことであろう。
 それを怠っている人事制度を非難すべきである。

〇「年2回の人事評価なんてとんでもない」エディー・ジョーンズが分析する、日本人の生産性が上がらない理由
プレジデント 2022年6月17日

「集団において上位10%のメンバーにはコーチングは必要ない。なぜなら、彼らは放っておいても自分たちで成長しますから。コーチングで最も効果があるのは下位10%です。そこを手厚くサポートし、ボトムアップすれば、チーム力は大きくアップします」

https://president.jp/articles/-/61899?page=2

<閑話休題>

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